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JAL、福岡県太宰府天満宮「梅の親善使節」の北海道派遣をサポート

北海道へ春を届けて2016年で60回目の出発式

2016年1月21日 出発式実施

 JAL(日本航空)は1月21日、毎年恒例となっている「梅の親善使節」を福岡県の太宰府天満宮から北海道へ派遣するための輸送業務を行なう。1956年から続く当行事の出発式が、2016年も福岡空港で執り行なわれたので、その模様をお届けする。

福岡県から北海道へ春の便りを届ける使節

 菅原道真公が祭られていることで知られる太宰府天満宮の神木である「飛梅」を、友好親睦のために北海道に送られるようになって60回目を迎える。

 北海道に到着する使節者は、千歳市の警察署や商工会議所、北海道庁など札幌市内の合計19カ所をまわり、計100鉢の梅鉢などを配布する。日程は1月21日と22日の2日間。太宰府天満宮に仕える2名の神職、さらに2名の巫女の計4名が使節として北海道を訪れる。

 輸送を行なう便はJAL3513便。使用機材のボーイング 737-800型機(JA343J)は、この日165名の満席搭乗となっていた。

出発式は国内線6番搭乗ゲート前で行なわれた
受け渡しに使用される梅鉢と梅の花束
太宰府天満宮に咲く紅白の梅が北海道に運ばれる

梅鉢を使節団より預かる出発式と安全運航のお祓い

 出発式は11時10分に予定どおりスタート。JALの九州・山口地区支配人である柏頼之氏が挨拶し、「この長い期間、JALが梅の親善使節をお手伝いし続けられることに、あらためて意義深いものを感じています。さらに、北海道の皆様に春の便りを喜んで頂くお手伝いができてうれしく思います。60回目という節目に気が引き締まる思いもあり、引き続き安全運航で北の地までお運びします」とコメントした。

出発式の冒頭に挨拶した日本航空株式会社 九州・山口地区支配人 柏頼之氏
今回、北海道を訪れる梅の親善使節者が整列
まず、梅鉢と梅花束のお祓いから
続いて、使節者のお祓い
JAL関係者もお祓い
最後に参列している搭乗者をお祓い

 続いて、使節者よりJAL関係者へ、梅鉢と梅花束の受け渡しが行なわれた。副機長の山本圭一氏は「通常どおり、安全運航に徹することに違いはありませんが、本日のような節目のフライトを担当できることは誇りでもあります。さらに気を引き締めて務めます」とコメントした。

紅白それぞれの梅鉢と花束がJAL関係者へ手渡された
副機長の山本圭一氏と客室乗務員の籔本早起子さん。両名とも地元福岡県の出身

新千歳空港の天候悪化により出発に遅れ

 出発式自体は、予定どおり終了し乗客の搭乗を待つのみとなったが、新千歳空港の上空の天候と滑走路の除雪作業の状況によって、出発時刻の変更がアナウンスされた。当初は定刻の11時40分に対して40分遅れの12時20分発だったが、最終的には12時30分発となり50分遅れ。状況によっては羽田空港に引き返す可能性がある条件付きのフライトとなった。

 今回のフライトに搭乗する人に向けて、JALからは太宰府名物の「梅ヶ枝餅(うめがえもち)」がプレゼントされた。こちらは、使節者が梅鉢を配布する北海道の各所でも提供されるとのこと。

 太宰府天満宮の参道には、梅ヶ枝餅を提供する店舗が多く立ち並ぶ。各店による微妙な味の違いが楽しめるシンプルな餡入りの薄生地焼き餅だ。福岡空港でも購入することができるが、空港内の土産店に朝方入荷すると、夕方には購入できないことがままある。福岡県内では、太宰府天満宮のほかに初詣の出店でよく見られる比較的スタンダードなスイーツとして知られている。

客室乗務員によって、梅鉢が慎重に機内に運び込まれていく
搭乗は12時20分という案内表示
搭乗が始まり、乗客には梅ヶ枝餅が手渡される

 昭和31年(1956年)から始まった「梅の親善使節」は当初、羽田空港を経由しての乗り継ぎ便で輸送されていたが、昭和46年(1971年)にJALの直行便が就航。翌昭和47年(1972年)からダイレクトに派遣するようになった。

 これらの梅鉢の返礼として、5月には北海道から「すずらん」が太宰府天満宮に奉納される。

 いまだ雪深い北国へ、一足早い春が福岡から届けられるこのイベントは今後も続けられるとのこと。また、使節者が新千歳空港へ到着した際は、特大絵馬の修祓式も行なわれるとのことで、道民に福岡をアピールする機会にもなっている。

使用機材はボーイング 737-800機(JA343J)
プッシュバックが始まったのは12時47分
13時3分に離陸。北海道の天候の影響により遅れが生じたが、安全運航には代えられない

(赤坂太一)