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NTTドコモ、訪日外国人旅行者向けプリペイドSIMサービス「Japan Welcome SIM」を7月1日開始
広告閲覧で15日間無料で利用できるプランも用意
2017年6月26日 21:53
- 2017年6月26日 発表
NTTドコモは、6月26日に東京都内で記者会見を開催し、外国人旅行者が日本滞在中に利用できるデータ通信専用プリペイドSIMサービス「Japan Welcome SIM」を、7月1日より提供すると発表した。
Japan Welcome SIMは、15日間利用できる訪日外国人旅行者向けのデータ通信専用プリペイドSIMで、広告動画の閲覧やパートナー企業のサービスを利用することなどによって、高速データ通信量を無料でチャージできるという点が特徴。
7月1日のサービス開始当初は、128kbpsのデータ通信を無制限で利用できる1000円(税別)の「プラン1000」と、128kbpsの無制限データ通信に加えて、受信時最大682Mbpsの高速データ通信を500MBまで利用できる、1700円(税別)の「プラン1700」の2プランを提供するが、どちらも広告動画を視聴したり、アンケートに答えたりすることで、無料で高速データ通信量をチャージできる。また、10月を目途に、事前に広告動画の視聴などを条件として、128kbpsのデータ通信を無料で利用できる「プラン0」も用意する計画。
加えて、パートナー企業との協業によるサービス提供も展開される。7月1日のサービス開始時では、東急ホテルズおよびブッキング・ドットコムと提携し、それぞれがJapan Welcome SIMを付帯させた宿泊プランなどを提供する。
Japan Welcome SIMの料金プランや、詳しい仕様は、以下にまとめたとおり。訪日前にJapan Welcome SIMの申し込みサイトで申し込みを行なっておき、日本到着時に空港などでSIMを受け取り、スマートフォンなどに装着して利用する。
なお、無料のデータ通信量チャージについては、広告主との相談になるとしつつ、目安としては30秒程度の広告動画で10MB程度のチャージになるという。また、SIMの受け取りは、当初は成田国際空港、羽田空港、関西国際空港ターミナル内のカウンター、およびドコモショップ博多バスターミナル店のみだが、今後ドコモショップでの販路拡大も考えていきたいという。
Japan Welcome SIMの料金プラン
プラン0(2017年10月提供開始予定):無料、データ通信 128kbps(無制限)
プラン1000:1000円(税別)、データ通信 128kbps(無制限)
プラン1700:1700円(税別)、データ通信 128kbps(無制限)/受信時最大682Mbps(500MB)
利用期間:15日間
Japan Welcome SIMサービス仕様
対象:満20歳以上の訪日外国人旅行者
対応言語(専用サイト):英語、中国語(繁体字/簡体字)、韓国語、タイ語、日本語
SIMカード受取場所:空港内JALエービーシーカウンター(成田国際空港第1ターミナル、成田国際空港第2ターミナル、羽田空港国際線ターミナル、関西国際空港第1ターミナル)、ドコモショップ博多バスターミナル店
SIMカード種別:標準、micro、nano
利用エリア:NTTドコモのLTEエリアおよび3Gの利用可能エリア
通信速度:
・高速データ通信時:下り最大682Mbps、上り最大50Mbps
・128kbps通信時:下り最大128kbps、上り最大128kbps
利用可能機種:
・自国にてNTTドコモのローミングパートナーと契約中のSIMカードを挿入して利用している端末、あるいは技術基準適合証明などを受けている端末
・LTE(バンド1/3/19/21/28)、3G(バンドI/VI/XIX)のいずれかの周波数をサポートしている端末
通信量チャージ:
・無料チャージ例:広告動画視聴 10MB、アンケート回答 10MB、アプリインストール 50MB、広告記事閲覧 10MBなど
・有料:100MB 200円/500MB 700円(税別)
決済方法:クレジットカード(VISA/Master/American Express/JCB)
記者会見には、NTTドコモ ビジネス基盤戦略室 室長の太口努氏が登壇し、Japan Welcome SIMの詳細を説明した。
現在NTTドコモは、「ドコモ中期戦略2020『beyond宣言』」として、利用客に感動を感じてもらえるようなサービスの提供や、パートナー企業との新しい価値を作り上げていく“+d”という戦略を掲げており、今回のJapan Welcome SIMの提供は、その+d戦略の一環であるという。
現在、訪日外国人旅行者数は右肩上がりに増えており、2020年には旅行者数が4000万人、消費額が8兆円に達するといわれているが、訪日外国人旅行者からの不満として、通信事情への不満が3割ほど占めているという。そこで、「NTTドコモは通信を生業としていることから、解決できないかと考え、7月1日からJapan Welcome SIMを提供開始」することになったという。
太口氏は、「訪日外国人旅行者にお得に、便利に使っていただける」とJapan Welcome SIMを紹介し、その特徴として、広告動画の視聴などによって無料でデータ通信量をチャージできる点と、APNの設定不要で利用できる点を挙げた。
訪日前に専用Webサイトで「dアカウント」の登録とSIMの申し込みを行なうとともに、広告動画の視聴などによって事前に無料のデータ通信量チャージの権利を得ておけば、日本でSIMを受け取り、スマートフォンなどに装着してアクティベート作業を行なうと、すぐに利用できるという。
また、訪日中にも広告の閲覧や、有料のデータ通信量チャージによって、高速データ通信量をチャージできる。なお、7月1日のサービス開始時点では、広告動画の視聴に加えて、アンケート回答、アプリのインストール、記事の閲覧などによって無料のデータ通信量チャージが得られるようになっており、将来はクーポンの利用や食事・アクティビティの予約、交通の利用などでも得られるようにしたいという。
もう1つの「APNの設定不要」という部分について、詳しい仕組みについては非公開ながら、端末に設定されているAPNを変更することなく、ネットワークに接続できる仕組みを用意することで実現しているという。一般的なプリペイドSIMで必要になる、煩わしいAPN設定不要で利用できるため、手軽で便利と紹介された。
Japan Welcome SIMは広告を収益モデルとしていることから、「ユーザー数と広告数を増やす必要がある」と太口氏。そこで、無料データ量チャージの仕組みを用意したり、APN設定を不要にしたり、またパートナー企業と一緒になってビジネスを盛り上げていくことで、ユーザーへの訴求を高めたいという。広告数については、確実に訪日するユーザーにアプローチできるという、特化型のメディアとして強みがあると指摘し、パートナー企業のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムと連携して拡充していきたいという。そのうえで、早い段階でユーザー数100万人の獲得を実現したいとした。
記者会見には、Japan Welcome SIMの提携企業として、東急ホテルズ マーケティング部長の佐久間智義氏と、ブッキング・ドットコム・ジャパン 日本地区統括リージョナルマネージャーのアダム・ブラウンステイン氏が登壇し、それぞれが用意するプランを紹介した。
まず東急ホテルズは、Japan Welcome SIMを宿泊プランのオプション設定として用意し、ホテルの予約と同時にSIMの申し込みを完了すると、料金を宿泊費と一緒に支払えるようにするという。東京の「ザ・キャピトルホテル東急」から発売を開始し、都内や国内大都市の外国人宿泊比率の高いホテルへ展開していく計画とのこと。
佐久間氏は、Japan Welcome SIMへの参画の狙いとして、「新しいコンセプトの訪日外国人旅行者向けサービスで、興味深かった」と話し、「訪日外国人旅行者の宿泊客から、SIMカードをすぐに使いたいけどなかなか手に入らないという声があり、今回のサービスが顧客への新たな価値の提供につながり、我々の自社サイトへのアクセス機会を増やし、ブランド価値や認知度を高めてくれると考えた」と説明した。
一方、ブッキング・ドットコムは、サイト内でJapan Welcome SIMを案内するとともに、ブッキング・ドットコムユーザーに対して100MBの高速データ通信量をボーナスとしてプレゼントする。Japan Welcome SIMを利用したブッキング・ドットコムサイトへのアクセスや、Booking.comアプリを利用する場合は、高速データ通信量が消費されないサービスも提供する。
ブラウンステイン氏は、国別渡航先人気ランキングで日本が2015年に10位に入ってから右肩上がりで人気が高まっていることを紹介しつつ、ブッキング・ドットコムでも日本は重要なマーケットであると指摘。そして、「今回の取り組みで、訪日外国人旅行者に対して自由と柔軟性を提供できます。このような、有益かつイノベーションあふれる取り組みによって、訪日外国人旅行者が日本での滞在をより楽しみ、より深く楽しい経験ができるようになるでしょう」と述べた。