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トリップアドバイザー、高評価の施設を認定する「エクセレンス認証」2017年版発表

東京都、京都府、北海道、沖縄県、大阪府が上位

2017年6月23日 開催

エクセレンス認証を取得した施設数上位5位の都道府県代表者を表彰

 トリップアドバイザーは6月23日、優れたサービスを提供している施設を認定する「エクセレンス認証(Certificate of Excellence)」の2017年版を発表した。日本では、1846カ所の宿泊施設、2599カ所の観光施設、2120カ所の飲食店、合計6565カ所が認定施設として選ばれた。

 また、認定施設数の多かった東京都、京都府、北海道、沖縄県、大阪府の上位5都道府県の代表者を招き、都内で表彰式を行なった。

トリップアドバイザー株式会社 代表取締役 牧野友衛氏

 まず最初に、トリップアドバイザー 代表取締役の牧野友衛氏が同社の概要について説明した。トリップアドバイザーはアメリカ・マサチューセッツ州に本社を置く、世界最大の旅行口コミサイトであり、今までサイトに寄せられた口コミやコメント数は5億件を数える。月間ユニークユーザー数は3.9億人に上り、49カ国のドメインを持ち、28言語に対応している。現在は宿泊施設、飲食店、観光施設など、約700万件が登録されている。

 そのなかで、口コミなどで一定以上の高い評価を受けている施設にエクセレンス認証を授けることにより、評判のよい施設が一目で分かるようになっている。この制度は2011年に開始され、今年で7回目を数える。認定基準は過去1年間において、「評価が平均4.0以上(最高は5.0)」「一定数の口コミ数を獲得」「トリップアドバイザーに継続して掲載されている」の3点であり、2017年は194カ国、59万5323の施設が認証を獲得している。こうしたエクセレンス認証へのブランド価値は年々高まっており、「アンケートによると85%の旅行者が高評価されたホテルを予約し、75%の旅行者がアワードを受賞した観光スポットを訪問しています」と牧野氏は話した。

 2017年版でエクセレンス認証を獲得した日本の施設は6565カ所となっており、昨年と比較して500件ほど増加している。だが、牧野氏は「世界に比べると、まだまだ伸ばせる余地があります」とし、日本は世界で16位、アジア太平洋地域においても、オーストラリア、インド、タイに続いての4位であることをグラフとともに説明した。

 同社としても、エクセレンス認証の普及活動に力を入れていくとのこと。今年は認知度の向上に努めたということで「都道府県別の数の発表、施設一覧の開示」「認定施設へのプロモーションキット送付」「ユーザー向けの特設ページの開設」を行なう。プロモーションキットの送付については、従来までは希望した施設へのみ発送していたものを全施設に一斉に送付することにした。キットの内容は、認定証と認定ステッカー、活用法を記載した資料。ユーザー向けの特設ページは、エクセレンス認証を取得した施設が分かるように、トリップアドバイザーのギャラリー内に7月中を目途に開設する予定とのことだ。

2011年から始まったエクセレンス認証は、3つの評価で決定される
日本におけるエクセレンス認証を取得した施設数は6565カ所だが、各国と比べるとまだまだ少ない印象を受ける
日本観光振興協会 副理事長 久保田穣氏

 続いて日観振(日本観光振興協会)副理事長の久保田穣氏が登壇。日観振について「民間や地方の観光局などへ、情報提供やビジネスマッチングの機会を多く提供しています」と紹介し、そのなかで「日本の地域が世界の人々に直接つながっていくツールが、登録するだけで簡単に得られるわけです。訪日観光客に対するアプローチとして真っ先に使った方がよいと思っておりまして、具体的な取り組みを一緒になって行ない、地域の方々に広めているところです」と、同サービスを使ったインバウンド強化を訴求している現状を語った。

 世界における日本の順位については、1月に行なわれた世界経済フォーラム(WEF・通称ダボス会議)で発表された日本の観光ポテンシャルが4位という結果を踏まえ「4位と16位では大変ギャップがあるなと感じます。ダボス会議はポテンシャルを示すものなので、地域の努力によってまだまだ伸びると思います。情報発信は地域のインバウンド振興に必ずやプラスになっていくと考えております」と話した。

 表彰式では都道府県別のランキングの発表、担当者に対する表彰が行なわれた。1位に輝いたのは東京都で1236カ所、2位は京都府で565カ所、3位は北海道で543カ所、4位は沖縄県で481カ所、5位は大阪府で305カ所となっている。そのほか、20位までは以下のとおり。

2017年エクセレンス認証 都道府県ランキング

1位:東京都 1236カ所
2位:京都府 565カ所
3位:北海道 543カ所
4位:沖縄県 481カ所
5位:大阪府 305カ所
6位:神奈川県 285カ所
7位:長野県 266カ所
8位:兵庫県 191カ所
9位:福岡県 171カ所
10位:静岡県 163カ所
11位:広島県 143カ所
12位:千葉県 141カ所
13位:岐阜県 128カ所
14位:愛知県 117カ所
15位:鹿児島県 113カ所
16位:石川県 108カ所
17位:栃木県 96カ所
17位:長崎県 96カ所
19位:山梨県 91カ所
20位:大分県 90カ所

2017年エクセレンス認証 都道府県ランキング
1位に輝いた東京都は、東京都 産業労働局 観光振興担当部長 浦﨑秀行氏が表彰式に出席した
2位の京都府は、京都府 商工労働観光部 観光政策監 古川博規氏が出席
3位の北海道は、北海道 東京事務所 副所長 田中浩之氏が出席
4位の沖縄県は、沖縄観光コンベンションビューロー 東京事務所 所長 新本康二氏が出席
5位の大阪府は、大阪観光局 プロモーション部 部長 奥村大祐氏が出席
トリップアドバイザー株式会社 シニアマーケティングマネージャー 三橋竜二氏

 表彰式のあとはシニアマーケティングマネージャーである三橋竜二氏より取得や活用について説明があった。三橋氏によれば、エクセレンス認証はそれほど取得するのに対してハードルが高いものではないとのこと。先に牧野氏が挙げた3点「評価が平均4.0以上(最高は5.0)」「一定数の口コミ数を獲得」「トリップアドバイザーに継続して掲載されている」については、「日本の施設のレーティングの平均は3.8なので、平均的なサービスよりも少し上を維持して、口コミを多く獲得すればチャンスはあります」と話した。

 エクセレンス認証のアピール方法としては、オフラインでは店頭や店内はもちろん、チラシやパンフレットに認証ロゴを入れることでPRできるとし、オンラインではWebサイトやSNSで受賞報告をしたり、認証ロゴの掲載したりするのも効果的だという。また、認証の獲得を記念した特別プランなどでプロモーションを行なう事例も紹介した。ほか、メディアに対してプレスリリースを発信して記事にしてもらう方法も挙げていた。

エクセレンス認証のオフライン、オンライン、メディア向けに対するPR方法を紹介
株式会社ワンダーテーブル 営業第2部長 河野博明氏

 最後に実際のエクセレンス認証の活用事例について、国内で52の飲食店、海外で57の飲食店を展開する企業、ワンダーテーブル 営業第2部長の河野博明氏が説明した。国内におけるトリップアドバイザーを使った取り組みは2014年から始め、2015年におけるエクセレンス認証を取得したのは2店舗だったとのこと。そこからさまざまな取り組みを行なうことで、2016年は8店舗、2017年は12店舗に増えた旨を報告した。

 実際の取り組みについては、全店で「オーナー登録」「正しい情報に修正する」「写真は最低5枚以上投稿する」「口コミに対して返信する」を行なった。なかでも口コミに対する返信はとくに力を入れ、毎週店舗に対して投稿された口コミに返信するよう本部から指示したとのこと。その結果、2014年は返答率0%だったのに対し、2016年は84%に向上し、「お客さまの口コミに対して返答するということは、それだけ改善するということであり、リピート率も上がりました」と成果をアピールした。

 店内施策としては「トリップアドバイザーのステッカー貼り付け」「QRコード付きのカード設置」「Webサイトにバナー設置」「Facebookとの連動」を行なっており、Facebookで7000のいいね!があるレストランでは、エクセレンス認証を獲得した旨を投稿することで3万リーチほどの反応があり、大々的にアピールすることができたそうだ。

 そのほか、口コミの評価を上げるためにゲスト対応時に実施したこととして「外国語接客ハンドブックを全社員に配布」「Webサイトの全店舗英語対応」「スマートメニューを使用したメニュー説明」「多様な食文化に対応したメニュー提案」を挙げていた。

 最後に「現在は23%の取得率ですが、今後は全店舗がエクセレンス認証を取得できるように取り組みを強化していきたい」と語った。

自社が運営する店舗においてエクセレンス認証を取得するための取り組みを紹介。口コミに対する返答は大変効果があったとのことだ

【お詫びと訂正】初出時、キャプションの順位に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。