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タイ王国のMICEプロモーション促進イベント「Thailand CONNECT:Japan Business Events Road Show 2017」を開催
記者会見では駐日大使が登壇し日本・タイ修好130周年を祝う
2017年3月6日 14:58
- 2017年3月2日 開催
タイ王国においてMICE産業を担う公的機関であるTCEB(タイ国政府コンベンション&エキシビション・ビューロー)は3月2日、日本・タイの修好130周年を記念するとともに、MICEプロモーション促進のためのイベント「「Thailand CONNECT:Japan Business Events Road Show 2017」(3月2日~3日開催)に先駆け、記者発表会を東京都内において開催した。
MICEは「Meeting」(会議・研修・セミナー)、「Incentive tour」(報奨・研修旅行)、「Convention」(大会・学会)/「Conference」(国際会議)、「Exhibition」(展示会・見本市)の頭文字をとった言葉で、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称。
一般的なレジャー観光と異なり、スケジュールや人数など直接的な集客効果を見込めるうえ、「ビジネス・イノベーションの機会の創造」「地域への経済効果」「国・都市の競争力向上」といった効果も期待できることから、日本ではMICEの開催・誘致は国策として推進されている。
タイ王国でもMICEへの取り組みは重要な政策に位置付けられており、とくに日本とは2007年からMICE産業の協力関係を締結し、2017年で10周年を迎える。
発表会ではまず、バンサーン・ブンナーク駐日タイ王国特命全権大使が登壇し、「タイと日本との交流関係の歴史は古く、15世紀のアユタヤ王朝時代までさかのぼります。今日では貿易のみならず、政治、経済、社会、文化など多くの分野で交流が持たれています。
今年はタイと日本との近代外交を樹立して130周年の記念すべき年でもあります。両国間ではさまざまな事業やイベントが予定されています。そのハイライトの1つがこの『Thailand CONNECT:Japan Business Events Road Show 2017』です」と、MICEプロモーション促進イベントについて説明した。
続けて、「近年ではタイにおけるMICEビジネスはますます発展を遂げ、タイの経済成長に大きく貢献しています。『Thailand CONNECT:Your Vibrant Journey to Business Success』キャンペーンのもと、観光地としてだけではなく、ビジネスにおいてもグローバルハブであることを訴えていきたいと思います。
このコンセプトはビジネスとレジャーの両方を兼ね備えた目的地を求める日本の市場に大変適しています。そして喜ばしいことにタイは日本の皆さまにとって大変好まれる訪問先となっています。2016年は日本からタイへ140万人が訪れています。タイから日本に訪れた観光客は90万人であり、今年は記念すべき年でもあることから、100万人が見込まれています」と、自国のMICE産業地としての魅力やタイと日本との交流人口の多さを語った。
さらに「両国のMICE産業を牽引するタイ展示会協会『TEA』と日本の展示会協会『JEXA』のより深い協力関係を築くきっかけとして、明日、タイ大使館において両者の将来の協力関係を強化するための覚書締結が予定されています」と、今後も協力関係を継続していく旨を発表した。
次にTCEB代表であるノパラット・メタヴィクンチャイ氏が登壇し、「今年の日本におけるTCEB巡回展示会では、タイ・日本の修好130周年を迎え、長期間にわたってタイと日本のMICE産業が円満に結びついてきたことが明確に示されています。
この10年間、タイは850万人のMICE観光客を受け入れ、7825億9400万バーツ(約2兆5043億円)の収益を生み出しました。この旅行者のうち、4.9%にあたる41万7千人は日本からの旅行者であり、タイのMICE産業において上位10位に入っています」と、タイのMICE産業の実績を説明。
「今年は、日本からのMICE観光客数が5%増加することを期待しています。全体としては、110万人のMICE観光客がタイに訪れ、1010億バーツ(約3232億円)の収益を見込んでいます」と話した。
具体的な戦略については、TCEBの副代表であるスパワン・ティララット氏が登壇し、次のように説明した。
2017年においても、世界各国で確かなブランドを築き上げた「Thailand CONNECT」というブランドコミュニケーションキャンペーンは継続展開していくとのことで、今年は「Thailand CONNECT:Your Vibrant Journey to Business Success」というキャッチフレーズのもとで行なっていく。
これは、タイのMICE産業がASEANの中心、グローバルリーダーとして位置付けるためのものであり、「多彩なディスティネーション」「無限のビジネス」「タイの人々」の3つの実績に基づいたもの。
「多彩なディスティネーション」とは、タイのアクセスに優れた施設や会場、物流やインフラ、そして素晴らしい観光地がビジネスとレジャーの融合から、さらに質の高い体験として楽しむことができるとし、バンコクは2つの空港から東南アジアのあらゆる主要な都市へ飛び立てることを表わしている。
「無限のビジネス」とは、タイはASEAN諸国への玄関口であり、活気あるビジネス市場を保有しているとし、さらに新しい経済モデル「Thailand 4.0」に言及。Thailand 4.0ではデジタル産業育成策も盛り込まれており、それらに関連するビジネス開発やリサーチ場所としての発展にも役立つと語り、コミュニケーションとボーダーレスなつながりにより、国際的にコラボレーションできる機会を提供するとしている。
「タイの人々」とは、高いスキルを持ったプロフェッショナルな人材がタイには豊富におり、MICE産業におけるサービススキルは、しばしASEAN地域におけるベンチマークとされていると紹介した。
2017年はタイと日本がMICE産業において協力関係を結んでから10周年の記念すべき年であり、今後もその流れを維持するためにもマーケティング戦略を打ち出し、5%の成長を目指す。内容は「CONNECT INDUSTRY」「CONNECT Partner」「J-Marketing」「J-CONNECT PROMOS」の4つのマーケティング戦略で構成されている。
CONNECT INDUSTRYは、Thailand 4.0を戦略的アプローチとして採用し、農業・食品、物流・自動車、デジタル技術・通信、健康・医療、クリエイティブ・文化といった将来的な産業のターゲット市場を指定して展開していく。
CONNECT Partnerは、日本のMICE産業に関わる公的機関および民間セクターとのコラボレーションを強化し、今後さらなる両国間のMICE産業を加速・拡大していく。
J-Marketingは、東京・大阪・名古屋・福岡といった都市の企業、あるいは協会、主催者など、主要な意思決定者に対し、タイが理想的なMICEディスティネーションであることを訴求していく。さらに学会や国際会議といったコンベンションにおいては東京と京都に焦点を絞り、展示会や見本市といったエキシビションに対しては、タイの7つの団体と日本の政府機関や関連団体、企業組織などと東京において展開していくとのこと。
加えて、ホビーやアニメコンテンツ、コスプレイベントなどといったエンタテイメント市場においても、ディスティネーションとしての可能性を訴求するため、タイと日本とのビジネスマッチングを民間団体で行なった。
J-CONNECT PROMOSは、MICE産業を行なう企業や団体を支援するためのものであり、規模や期間、内容によって助成金を出す仕組み。2000名以上の大きなMICEイベントでは最高で200万バーツ(約640万円)を支援し、1000名以上の国際会議、もしくはターゲット市場に指定された産業の500名以上の会議においては100万バーツ(約320万円)を用意するとのことだ。
また、タイの国際貿易エキシビションにおいて、36m2以上の出展者に対しては、1500ドルの支援といった、スペースに対する助成金もある。そのほかでは、多数のビジネスマッチングミーティング(商談)を実現したバイヤー、タイにおいてコンサートなどを開催する芸能活動においても支援プログラムが用意されているとのことだ。
発表会の最後は質疑応答となり、バンサーン・ブンナーク駐日大使とノパラット・メタヴィクンチャイ氏が質問に答えた。
「海外からの投資を増やすためには今後どうしたらよいのか?」という質問に対し、バンサーン・ブンナーク駐日大使は「タイ政府は投資に対するルールや規制を少しづつ変えています。日本はタイにとって第1位の投資国であります。現在、タイでビジネスを展開している日本企業は4000社以上もあります。今、改正している規制に関しては、よりインセンティブを増やし、とくに日本の方々にもタイへの投資を促進してもらいたいと思っております」と回答した。
続いて、「かつて政情不安定な時期があり、国際会議が開けなくなったこともありました。今の状況や対策などは?」との質問には、同じくバンサーン・ブンナーク駐日大使が「数年前は『どちらの色なのか?』といった状況でありましたが、現在は政治的に安定しており、ロードマップに沿って歩みを進めています。
2016年は国民投票によって新憲法草案が6割の賛成をもって可決されました。この結果を受けて、一番最初にサポートしてくれたのは日本政府でした。この点においては感謝を申し上げます」と話した。
また、ノパラット・メタヴィクンチャイ氏が「大使が先ほど申し上げたとおり、現在のタイの状況は大変安定しております。2017年も大規模な会議が予定されており、来週には農業関係の大きな展示会が予定されております」と、タイ王国の政情について説明した。
バンサーン・ブンナーク駐日大使が日本とタイの修好130周年を記念して作成されたロゴ・マークについても言及。ゾウの鼻が8の字になっているのは永遠を表わし、ゾウは1949年にタイから日本にやってきたゾウの「はな子」がモチーフとのこと。また、公募デザインで選ばれた高橋正広氏の作品であり、「本来は桜はピンクのはずですが、赤にしてくれたことで色をあまり使わずに配慮してくれたこともありがたいです」と笑いを取る一幕もあった。
閉会の前に再びバンサーン・ブンナーク駐日大使が登壇し、「2016年の10月、タイ人はもっとも悲しい日を迎えました。前国王であるプミポン・アドゥンヤデート国王が崩御されました。その際に日本においては、皇室、政府・議会、ビジネスセクター、国民の皆さまが深い哀悼の意を表わしてくださいました。
これは大変大きな意味を持ち、悲しみのなかにあるタイ人を勇気づけるものでした。皆さまの友情にタイ人を代表して感謝を申し上げたいと思います。そして、現在ベトナムを公式ご訪問中の天皇・皇后両陛下ですが、日本にお帰りになる前にタイにお立ち寄られ、前国王陛下へ最後のお別れとして弔問に訪れるということになっております。こうした行為に対し、タイ人は大変感激しております。ありがとうございます」と前国王の崩御に触れ、感謝の意を述べた。