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大阪府南部と和歌山県北部を結ぶ無料道路「国道26号 第二阪和国道」が全線開通
関空から和歌山への新たなネットワークにも
2017年4月2日 06:36
- 2017年4月1日15時 開通
国土交通省 近畿地方整備局は4月1日15時、大阪府阪南市と和歌山市を結ぶ国道26号 第二阪和国道の未整備区間であった淡輪(たんのわ)~平井間を開通。これにより第二阪和国道の全線が開通した。
第二阪和国道は大阪府の泉南地区と、和歌山県北部を結ぶ延長20.6kmの自動車専用道路で、関西国際空港から和歌山県方面へのアクセス向上や、国道26号の一般国道部など並行区間で頻発している渋滞解消、災害時などの緊急輸送道路としての活用が期待されている。
今回開通したのは、大阪府岬町の淡輪ランプから、和歌山市の平井ランプの延長7.6km。途中の深日(ふけ)ランプも開通した。ただし、深日ランプと平井ランプの間に位置する孝子(きょうし)ランプについては今回は未開通。
この開通により第二阪和国道の全線が開通。2003年に開通した大谷ランプから南側となる和歌山北バイパス区間のみ4車線で、ほかの区間は2車線となる。
同道路の開通を記念し、同日午前中に岬町の道の駅「みさき―夢灯台―」で開通式典が行なわれた。この道の駅「みさき―夢灯台―」は第二阪和国道全線開通に合わせてオープンするもので、4月1日にプレオープン、4月2日にグランドオープンを迎える施設となる。
冒頭、国土交通省 近畿地方整備局長 池田豊人氏が「長年の課題だった国道26号の交通混雑の緩和および交通安全の確保が本日の第二阪和国道の全線開通で大きく改善される。第二阪和国道が末永く地域の発展につながることをお祈りする」と挨拶。続いて、大阪府、和歌山県の両知事が挨拶にたった。
大阪府知事 松井一郎氏は、「堺市から和歌山市に至る第二阪和国道の全線が開通し、大阪~和歌山間のアクセスが飛躍的に向上する。観光需要の拡大や、沿線地域における産業の立地促進、災害時の避難、物資輸送ルートの確保など、大阪と和歌山に大きな効果をもたらすことが期待できる」と同道路を紹介。
加えて、「第二阪和国道は、愛称が『緑と風のマリンロ―ド』という海や山の豊かな自然を肌で感じられる非常に魅力的なツーリングコース」と、その景観のよさにも触れた。
和歌山県知事 仁坂吉伸氏は、「かつて、(有料の)阪和自動車道を使わないで大阪の南の方から和歌山へ帰ったときに、ものすごい渋滞だった。そのとき私は大阪から和歌山へ帰っていて、ちょうど夕方のラッシュ時だった。和歌山から大阪へ通勤している人が多いのだろうと思ったが、逆方向もものすごい渋滞。あ、双方向の関係が強いんだな、ということを改めて思った」とのエピソードを紹介し、第二阪和国道開通による渋滞解消に期待を寄せた。
さらに、「和歌山からすると兄貴分の大阪と一体になれるとうれしいわけだが、うんと高いところ、例えば宇宙から日本を見ると、東京と大阪という双極構造が見えるはず。しかし東京は、都県間で渋滞や道が狭い、東京の人たちが不便で関東平野が使えないとは、聞いたことがない。しかし大阪は、そういうところがいっぱいある。大関西として発展するために、そしてその一員として和歌山が発展するためにも、このように変えていって、広く国土を使うことが大事だと思う」との視点にも言及。
「幸い、第二阪和国道ができた。今日(4月1日)は父鬼バイパス、鍋谷峠道路もできる。つい先日は、和歌山県側の京奈和道が全線開通した。奈良県側がもうすぐできる。大阪の南の方と和歌山が、中京圏や関東圏に便利につながり、地政学的に地位が向上するはず。そういう未来を皆さんとともに楽しみにしたい」と関西の広域的な発展に期待した。
続いて、来賓祝辞として、衆議院議員 二階俊博氏が、「喜びの気持ちをいっぱいにして大勢の皆さんがここにお集まりになっている。いつものこのような式典の3倍ぐらい(の人が)集まっていると思うが、喜びと経済効果は3倍や5倍じゃきかないと思う。みんなで道路を活用して、大阪と和歌山の発展をお互いに頑張ろうではありませんか」と呼びかけた。
衆議院議員 北側一雄氏は、「本当に長年の課題だった(第二阪和国道の)全線開通がようやく実現した。これで、和歌山と大阪はさらに連携が密になってくると思う。経済効果はもちろん、救急医療や災害対策を考えても、この全線開通は大きな意味がある」と府県の連携強化に期待。
参議院議員 鶴保庸介氏は「ここに来る前に時間があったのでコンビニに寄ったら、お客さんが『今日(午後)3時らしいな~』と話し合っていた。開通する今日の気持ちを忘れずに、私たちはしっかり連携して頑張っていかなければならないと改めて思った」と、同様に府県の連携強化に期待するコメント。続けて、「先輩2人が短かいご挨拶だったので、これ以上しゃべりません。言いたいことはいっぱいある。感無量」と笑いを誘った。
このほか、大阪と和歌山から選出された衆参国会議員が多数臨席し、一言ずつ祝辞を述べた。そのなかで参議院議員の太田房江氏は、松井知事の2代前の大阪府知事の経歴があり、「大阪府知事をやらせていただいた折の8年間。大きな仕事の一つは関西国際空港に2本目の滑走路を完成させること。もう一つは、和歌山県との間の府県間道路を充実し、事業化し、関空へのアクセスをよくすることの2つだった」と、その取り組みの一つである第二阪和国道全線開通を喜んだ。
式典では、開通区間の地元である岬町長の田代堯氏が期待のメッセージとして、「国道26号などが府県間をまたいでいるが、朝晩を中心に慢性的に渋滞が発生しているほか、各道路とも異常気象時には通行止めとなり、近隣医療機関への救急搬送などを含む住民生活への影響を避けられない宿命を背負っている。2010年の大雨の際には和歌山市にいたる道路のすべてが通行止めになった。本町にとって命の道となる第二阪和国道の開通で、渋滞解消や交通確保が図られ、交流も深まり、さらなる発展に期待される」と、喜びのコメント。
併せて、道の駅「みさき―夢灯台―」をオープンすることについて、「町外の方々が素通りすることなく、本町に立ち寄り、さまざま地域資源に触れていただく」と目的を語った。
このほか、今年で開園から60周年を迎えるという地元の岬公園は、「長年にわたり国道26号の渋滞に悩まされてきた。ゴールデンウィークやお盆などの繁忙期は、渋滞で疲れ切ったお客さまに心苦しかった。第二阪和国道開通で渋滞解消に期待。スムーズにアクセスしていただけるということは、思う存分楽しんでいただけるということ。気軽にご来園いただけるとなればリピーターが増えるのでは」との期待をビデオメッセージで伝えた。
式典終了後は、場所を開通区間の本線に移し、テープカットとくす玉開披、通り初めが実施された。