ニュース
京奈和道の和歌山県区間が全通し阪和道と接続。開通式典には石井国交相が臨席
岩出根来IC~和歌山JCT間が3月18日16時開通
2017年3月18日 16:34
- 2017年3月18日16時 開通
国土交通省 近畿地方整備局とNEXCO西日本(西日本高速道路)は3月18日16時に、京奈和自動車道路の岩出根来IC(インターチェンジ)~和歌山JCT(ジャンクション)間を開通した。京奈和道を構成する紀北西道路(延長約12.2km)のうちの約6.5kmが開通し、和歌山JCTで阪和自動車道路と接続。京奈和道は和歌山県区間が全線開通となり、和歌山JCTから五條北IC(奈良県)までが通じることになった。
京奈和道は無料通行が可能な道路となるが、和歌山JCTには料金所がなく、岩出根来ICから阪和道方面へ行く場合、阪和道から京奈和道へ入って岩出根来ICで降りる場合のために、NEXCO西日本管轄の料金所を岩出根来ICに新設した。
また、近畿圏で初めて高速道路ナンバリング標識も導入。京奈和道の路線番号は「E24」、阪和道は和歌山JCTを境として、JCT以北の区間が「E26」、JCT以南の区間が「E42」と分けられる。
開通日となった18日には、岩出根来IC付近で開通式典を実施。通常は関係者のみが集まることが多い開通式典だが、この日は岩出市によるウォーキング大会が実施されたこともあって、伝統芸能のパフォーマンスや地元産品の提供などもあり、多くの人が集まった。
式典には、主催者を代表して国土交通大臣の石井啓一氏が臨席。今回区間の開通で、和歌山JCTから五條北ICまでの約50kmが阪和道と接続することなどを説明するとともに、過去に開通した京奈和道の和歌山県内区間の沿線の企業立地が10年間で100件を超えたことや、災害時の救援、救護活動に欠かせない緊急輸送道路としての機能を持つことをアピール。「近畿地方の社会経済活動を支える京奈和道は、全体の約7割が開通することになる。国交省としてはストック効果をさらに大きく発現させるため、全線の早期完成を目指し、引き続き事業を推進してまいりたい」と述べた。
続いて、同じく主催者を代表して、和歌山県知事の仁坂吉伸氏が挨拶。10年ほど前の予算交渉で「このぐらいあれば国体にギリギリ間に合う、という話をしていたのが、ついこの間のことのよう。ちょっとだけ国体には間に合わなかったが、できあがったことは本当に喜ばしい」と語るとともに、古来、奈良から海へ出る主要な道路があった地域だったことに触れ、「紀の川の先には岩橋千塚古墳群があり、古墳群としては特別史跡になっている日本で2つしかないところ。それだけ、この地域が栄えていたということであろうかと思う」と紹介。「国土軸はあっち(大阪)へ行ってしまったが、京奈和道は和歌山県内が全通し、もうちょっとで奈良県側ができるので、大阪あるいは名古屋にも、東京にも行くのが便利になる。関西の地域軸の2つ目ができた」と開通に喜びを表わした。
来賓には、地元選出の衆参国会議員、沿線地域の首長や県議会/市議会議員らが参列。
衆議院議員の二階俊博氏は、「今日は大臣が2人も出席している。私たちが叫び続けてきた道路は一通りの見通しがついたわけだが、これからのことも引き受けてあげますよ、と来てくれた」と笑いを誘ったのち、「我々は地元としての対応、対策をしていく。いつまでも道路のことばかり言っているのではなく、和歌山県はその次のステップに歩んでいかなければいけない時期に来ているのではないかと思う。この道路を一つの起点にして、他県に負けないように、大阪に負けないように、しっかりやっていこうではありませんか」と呼びかけた。
その2名の大臣の1人である内閣府特命担当大臣(沖縄および北方担当)で参議院議員の鶴保庸介氏は「私はここから5分ほどのところに住んでおり、この開通で利便を感じる者の一人であろうかと思う。ほしい、ほしいと思っていたものが手に入ると、ありがたいが、ホッとしてちょっと寂しい気もする。この先、この道路をいかにして使っていくことが大切」と気を引き締める言葉で挨拶をスタート。
この日は関西国際空港の関係者も臨席していることに触れ、「関空に直結し、関西の玄関口に私たちの地域が一番隣接する地域になっていくということなので、海外との出入り口をいかにして構築していくか」と課題を挙げるとともに、「初当選をした19年前に、これから高速道路の自動運転という時代が来る、鉄道も大切だが、高速道路が絶対必要なんです、なんて言ったらバカにしたような顔をされたが、実用化がすぐそこまで来ている。3月20日から沖縄でバスの自動運転の実証実験を初めて行なう。今後こうしたことが進むと、高速道路限定であっても、自動運転がどんどん進んでいって、物流にも大きな変化をもたらす、そういう道路になってくれるのではないかとも思っている」と次世代につながる道路となることに期待した。
このほか、衆議院議員の石田真敏氏、岸本周平氏、門博文氏、浮島智子氏、参議院議員の足立敏之氏が祝辞を述べ、和歌山県区間全通と阪和道への接続による地域振興への期待を述べるとともに、京奈和道路の奈良県区間全通や、4月1日に全通する第二阪和への延伸を待望する言葉が並んだ。
次に、“期待の言葉”として関西エアポート 代表取締役CEO 山谷佳之氏からのメッセージを、専務執行役員の機谷俊夫氏が代読。「2016年は1年間で関空を利用いただいた外国人旅客は前年から2割以上の増加となる1200万人を超え、過去最高となった。これは訪日外国人観光客全体の4人に1人が関空を利用した計算になる。とくに訪日客が多い韓国、中国、台湾、香港からの利用者数は成田空港を上まわり日本一となっている」と2016年4月に同社が運営を引き継いでから順調に利用者が増えていることを紹介。
今回の阪和道との接続にあたり、「関空から、(京奈和道)沿線の紀北、高野山、奈良などへのアクセス時間が短縮されるので、外国人観光客にくだもの狩りなど新しい魅力ある観光ルートを提供できるのではないか。とりわけ沿線地域は柿、ミカン、桃、イチゴなどの産地として有名で、外国人観光客からも美味しいと好評なので、私どもも大変期待している」と訪問者への利便性に触れる一方で、「沿線にお住まいの皆さまが海外旅行、国内旅行に出かける際にもこの道路を利用して関空の豊富なLCC便などを利用いただき、気軽に旅行を楽しんでいただければ」と関空からの出発にも便利であることに触れた。
その後、式典ではNEXCO西日本 取締役会長 山中諄氏が、「和歌山県内では今回開通を迎えた京奈和道のほかに、湯浅御坊道路、阪和道の4車線化、和歌山南スマートICの事業を進めている。これらの事業もさらなる道路ネットワーク強化に資するもので、一日も早い完成を目指すので引き続きご支援をたまわりたい」と挨拶。
和歌山市長 尾花正啓氏、岩出市長 中芝正幸氏が音頭をとって締めの万歳三唱が行なわれた。
式典後には、ウォーキングイベント参加者への主催者と来賓による餅まきを実施。引き続いてテープカットとくす玉開披、通り初めとセレモニーが進行した。