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西鉄、鉄道部門における安全の取り組みや立体交差事業について説明会実施
運転シミュレータの体験会や西鉄天神大牟田線の高架事業の進捗を説明
2017年2月27日 07:06
- 2017年2月24日 実施
西鉄(西日本鉄道)の鉄道部門は、同社が掲げている安全への取り組みや運転士育成のための教育内容、さらには福岡県や福岡市とともに進めている西鉄天神大牟田線の高架事業の進捗やこれからの工事内容の説明会を、福岡県久留米市にある電車教習所で実施した。
ソフト・ハードの両面から取り組む安全対策
西鉄の鉄道部門が日頃の安全の取り組みについて、メディア向けに公開するのは初めてとなる。安全マネジメントに関する訓練の内容や設備投資による安全対策、さらに今回の会場ともなった電車教習所で行なわれているスタッフ育成といった内容におよんだ。
教育訓練は、有毒化学物質が使用されたテロや踏切での障害事故からの復旧を想定した内容で、乗客の避難誘導、交通整理訓練、対策本部設置、負傷者救出、不審物撤去といった化学物質の除去までを行なう訓練や、二次災害を誘発させないための情報伝達、列車防護、救援列車派遣といった線路・踏切上での訓練など、本番を想定した大規模訓練の様子も公開された。
施設や設備に関して、ATS(自動列車停止装置)や列車防護無線といった列車本体に搭載されるものや、ホーム上での内方線付き点状ブロックの整備、転落防止幌などの設備について説明があった。
続いて車両の整備や線路の点検について、列車の検査・点検ペースや、変電所・橋脚といった施設の巡回内容がスライドで紹介された。
最後に、教習所の概要に触れられたが、運転士を育成するまでに95日間で述べ350時間が必要とのことだった。運転士として独り立ちしたあとも、この教習所で定期的に研修が行なわれている。
教習所内の各所をオリエンテーション
安全の取り組みについての説明が終了すると、教習所全体で行なわれている授業や研修を追体験するためのオリエンテーションとなった。特に3000形の車両を用いた運転シミュレータは、さまざまなシチュエーションを再現できることから、予防安全にも効果的な研修を行なうことが可能だ。シミュレータの後ろには、5000形を輪切りにした実習設備もあり、現役の研修設備として稼働しているとのこと。
まず、実習室に移動し、木原氏より運転士向けのカリキュラムの一部を学習。モニターに表示されるアニメーションでモーターの原理(フレミングの左手の法則)の説明があり、「運転士全員に電車が動く原理を知ってもらうため」とのことで、運転士は基礎から多くの項目を、この部屋で学ぶ。
続いて、運転シミュレータのある部屋に移動し、田島敏之氏のデモンストレーションから報道陣向けの体験会へと移行した。筆者も運転シミュレータを体験したが、マスコンを手前に引き速度を上げていくところから、惰性で前進していく感覚や駅ホームに入り停止位置でキチンと停まるには、かなりの習熟度が必要だと痛感した。しかも画面内には、線路内に立ち入っている作業員に対して警笛を鳴らし、退避させるのと同時に緊急停止の動作を行なうなど、さまざまな難題が待ち構えている。
西鉄天神大牟田線の連続立体交差事業について
説明会の最後には、西鉄天神大牟田線の雑餉隈(ざっしょのくま)から下大利までの5.2kmにわたるエリアで工事が進む連続立体交差事業についての説明があった。
この工事は、このエリアを往来する自動車の往来のスムーズ化や、踏切事故をなくすために、現在地上を走行している線路を高架化するもの。現在の線路脇に仮線を用意し、現在線の真上に高架線を通す「直上型」とすることによって、自動車の通勤ラッシュ時の渋滞が緩和される。
説明会の最後には、ウォーキングイベント「レールあんどハイク」の紹介があった。3月4日に行なわれるイベントは、「幻の仮線路&福岡外環状道路コース」と名付けられ、井尻~雑餉隈間の仮線路を歩くことができる。
事前予約は不要で、9時30分~10時30分の受付時間内に日鉄天神大牟田線 雑餉隈駅東駅に集合。歩行コースは約5km、所要時間は約1時間30分を予定している。