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エアアジアX、関空~ホノルル線は他路線より多くの座席を日本市場に。発表会レポート
6月28日に週4便で就航。ハワイ州観光局は若年層の渡航に期待
2017年2月10日 21:17
- 2017年2月10日 発表
エアアジアグループは2月10日、大阪市内で記者発表会を開催し、LCCとして初めてとなる日本~ハワイ間の路線として、エアアジアXによる関西国際空港~ホノルル線を6月28日に開設することを発表した。路線概要やキャンペーンについては別記事「エアアジアX、LCC初の日本~ハワイ線開設。キャンペーン価格で1万2900円から販売」でお伝えしているとおり。本記事では開設の背景や展望などが述べられた発表会の模様を紹介する。
同路線について簡単にまとめると、LCCによる日本~ハワイ直行便として初めて、かつ太平洋横断路線としても初めてのLCC就航となる。機材は377席(プレミアムフラッドベッド12席、エコノミークラス365席)のエアバス A330-300型機を使用。運航ダイヤは下記のとおり。
エアアジアXのホノルル便、運航スケジュール
D7 001便:クアラルンプール(14時00分)発~関空(21時25分)着/(23時25分)発~ホノルル(12時30分)着、月・水・金・土曜運航
D7 002便:ホノルル(16時00分)発~関空(翌日20時25分)着/(同22時00分)発~クアラルンプール(翌々日04時00分)着、月・水・金・土曜運航
関空~ホノルル間
D7 001便:関空(23時25分)発~ホノルル(12時30分)着、月・水・金・土曜運航
D7 002便:ホノルル(16時00分)発~関空(翌日20時25分)着、日・火・木・土曜運航
この就航を記念し、諸税費込みでエコノミークラス片道1万2900円、プレミアムフラットベッド片道6万9900円のキャンペーン価格を提供するほか、往復航空券を5名にプレゼントするSNSキャンペーンを展開する。詳細は上記別記事を参照されたい。
エアアジアX CEO「米国乗り入れはエアアジアXに対する米当局の信頼の証」
記者発表会で挨拶したエアアジアX CEO ベンジャミン・イスマイル氏は、「この新路線の就航は長く待ちわびていたもの、先月以来、米連邦航空局から米国への初めての運航の承認を得た。これに1年半かかったが、私たちにとって大きな節目になること」と喜びを表現。マレーシア航空が米国路線を運休してからは、マレーシアの航空会社が米国路線を運航していない状態が続いていたが、「これは、弊社に対する、米当局からの信頼の証だと思っている」とした。
ハワイ路線に対しては、「ハワイは日本人にとって、もっとも人気のある旅行先だが、マレーシア、ASEAN各国、エアアジアグループが運航する120都市の皆さんにとっても人気の旅行先となるよう尽力していく」と意欲を示す。
初めての太平洋路線に関空便を選択した理由としては、「いくつかの市場を分析した結果、関空のハワイ路線に見込みがある。3便しかない(編集部注:季節運航などで4便などになることもある)。さらに関空は国際旅客の伸びが2桁台で、来年、再来年とさらに成長を期待できる。よって、関空を選んだのは一番よい選択だったと考えている」とした。
エアアジアXの羽田便、関空便は25~30%程度が日本人乗客とのことだが、ハワイ路線については、もっと多くの割合の座席を日本市場に提供するという。その理由して、一つは日本人にとってハワイが人気の旅行先であることはもちろん、マレーシアから米国への渡航にビザが必要なため、マレーシアの人にとってややハードルが高い国であることも理由という。
この関空~ホノルル間の搭乗率については、80%台半ばを目指すという。同社の販売は、売り上げの70~80%がインターネット販売が占めているそうだが、市場によっては旅行代理店などと連携しているといい、日本市場でもそうした取り組みの可能性を示唆した。さらに、ハワイでのエアアジアXの認知向上に努め、ハワイから関西、マレーシアを訪れる人、特にFIT(個人旅行)客に対してもアプローチする意向を示している。
料金については、現時点でキャンペーン価格の最安値のみが発表されている状態で、キャンペーン終了後の価格については明らかになっていない。この点については、「市場を刺激する、競争力のある魅力的な価格を常に提供できる」とし、具体的な金額には言及しなかった。
また、大手航空会社のハワイ路線との競争については、「競争では補完する関係にある。利用者に新たな選択肢を用意するもの」とし、クアラルンプール空港に大きなハブ機能を持っていることからASEAN周辺国からの利用者も見込めることなど、新たな選択肢を生んだという点を強調した。
このほか、貨物スペースのビジネスへの活用については、基本的には旅客を中心としたビジネス展開が中心ではあるものの、物流会社とも話をしているといい、就航までの今後5カ月の間に検討を進めたいとした。
需要過多の関空~ハワイ路線に新たなオプション
続いて登壇した関西エアポート 代表取締役副社長(Co-CEO)のエマヌエル・ムノント氏は、約1年前に関空が関西エアポート株式会社による運営になったことに触れ、今回の就航を「大きなマイルストン」と表現して歓迎。
新たにホノルル線が開設されることについて、「旅行の需要がどんどん高まり、キャパシティ(座席数)を拡大することにプレッシャーがかかる。同時に価格にもプレッシャーがかかってくると思う。これまで長い間、ハワイへ行きたい日本人は多かったと思うが、価格で断念していた人もいるだろう。新しいオプションができ、関空とホノルルの間を結ぶ便の座席数も21%増加するし、このフライトは夜に出発することからも新たな選択肢を生むことになる」と、LCCの価格だけでなく、提供座席数増や運航時間帯のメリットに言及。「この市場は、これまで数年間にわたって、お客さまに十分な座席を提供できていなかったので、楽しみにしている」と、座席数増への期待の高さを示した。
エアアジアXは2011年に関空便を開設して以来のパートナーシップとなり、「ともに成長してきた。この関係を非常に大切にしている」と述べたほか、「関空とLCCは非常に補完的なよい関係を構築してきた。関空は24時間開いているし、キャパシティ(発着枠)の問題もない、LCCにも対応できる、ロケーション的にも素晴らしい。ほかの空港ではスケジュール的に対応できない部分がある。35%の我々のフライトはLCCになっている。我々とLCCの関係は成功しているということ。エアアジアXは世界有数のLCCなので、関空とエアアジアXの関係が深まれば深まるほど、我々も注目されると思うし、我々の戦略にも合っている」と述べた。
さらに、「関空は米国へ行くのにもっとも便利な空港」とし、「エアアジアXは、クアラルンプールだけでなく、ネットワークを介してタイのバンコクなどからも来られる。今回のホノルル路線というのは、日本におけるエアアジアXにとって米国へ向かう太平洋路線のハブになる。こうしたLCC向けのハブ機能を提供できることは、関空にとっても重要な戦略の一部。この関空から将来、アジア各国から太平洋の先の各国へのハブとしての役割を提供していきたい」と将来の展望にも言及。エアアジアXに対して、「もっともっと便数、路線を増やしてほしいと思っている」とリクエストした。
将来のリピーター客になる若年層の開拓に期待
就航先となるハワイからは、ハワイ州観光局 局次長のミツエ・ヴァーレイ氏が挨拶。「日本市場からは約150万人のお客さまがハワイに来ている。近年、関西からの定期便は稼働率が90%を超えており、座席が足りず苦戦しているところで、(今回の就航に)期待している」と今回の路線開設を歓迎。
ハワイ州観光局では2017年に「ごほうびハワイ」を銘打ったプロモーションを展開している。「アクティブシニア、3世代ファミリー、ロマンス、カップル、お友達女子グループの旅など、さまざまなセグメンテーションでプロモーションしている。今後、エアアジアXともさまざまな形でコラボレーションできれば」と希望を述べたほか、「ハワイは、カウアイ島からハワイ島まで6つの(旅ができる)島があり、さまざまな体験をできるし、小さなお子さまから、年配の方々まで、どなたが来ても旅作りできる素晴らしいデスティネーション」とアピールした。
今回のエアアジアX就航で期待する顧客層について尋ねると、「2016年のハワイ州のリピーター率は61.6%、リピーターが多いデスティネーション。いらっしゃる方の9割が次にもう一度行きたい、リピーターになりたいという、満足度が高いデスティネーション。今後の新規顧客という意味では若年層がターゲット。今のリピーターは30~40代とアクティブシニアの方が多い。長期的に考えたときにリピーターになりうるファーストタイマーの若年層が弱い。そちらの新規獲得をしたい」とした。
取り組みとしては、「ハワイにはいつか行きたい憧れの土地であるというブランドが確立できている。ここ1~2年で行ってみたいと思ってもらえるキャンペーンをやっていきたい」とし、行くきっかけ作りとしての、新しいプロモーションや旅行会社との新商品造成などに取り組む意向を示した。
このほか、ハワイ州観光局からは2016年ミス・ハワイのアリソン・チューさんが来場したほか、フラダンスチームによるパフォーマンスも披露。エアアジアXからは、関西エアポートのエマヌエル・ムノント氏、ハワイ州観光局のミツエ・ヴァーレイ氏に記念品が贈られた。