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ANAの短距離国際線向け新型機「エアバス A320neo」が日本到着、まずは年内に国内線で運航開始

国際線での運航は中国路線などで2017年1月中旬から

2016年12月17日 到着

富士山が見える澄んだ空気のなか羽田空港に到着した、ANAにとってのエアバス A320neo初号機

 ANA(全日本空輸)は、現地時間の12月15日にドイツ・ハンブルグで受領した国際線向け新機材「エアバス A320neo」型機の日本へのフェリーフライト(回航)を実施。日本時間の12月17日17時ちょうどに、羽田空港に着陸した。国際線用機材として運用されるが、それに先だって年内から国内線で使用を開始する予定。国際線では、2017年1月中旬に中国路線などで運航を始める。

 日本の航空会社でエアバス A320neoシリーズを導入するのは同社が初めて。ボーイング 737-500型機や従来型のエアバス A320ceo型機の後継としての導入で、2014年3月にエアバス A320neo型機を7機、A321neo型機を23機発注。2015年1月にはエアバス A320neo型機を3機、A321ceo型機を4機の追加発注を行なっていた。このうちエアバス A321ceo型機の1機(プレミアムクラス8席、エコノミークラス186席)は10月に受領し、11月より国内線に投入している。

 エアバス A320neoは、従来型のエアバス A320ceoからエンジンの変更、主翼先端にシャークレットと呼ばれるウィングチップを搭載するなどのリニューアルを施すことで燃費効率や航続距離を改善した新鋭機。2016年1月にルフトハンザドイツ航空に導入されて以降、導入が進んでいる。エアバスの仕様では、エンジンはCFMインターナショナルの「LEAP-1A」ファミリー、またはプラット&ホイットニー「PW1100G-JM」ファミリーを用意しており、ANAではPW1100G-JMファミリーのエアバス A320neo向けモデル「PW1127G-JM」を採用している。

 ANAにとってのエアバス A320neo型機初号機となる「JA211A」(登録記号)は、15日にANAに引き渡されたあと、16日18時20分にドイツ・ハンブルグを出発。ロシアのノボシビルスクに17日6時31分に着陸して給油。その後、ノボシビルスクを17日8時35分に出発し、羽田空港には17日17時ちょうどに着陸。整備場前のスポットには17時08分に到着した。ノボシビルスクは大雪に見舞われたそうだが、おおむね天候のよいなかを航行できたという。

羽田空港のA滑走路(34L)に姿を見せたANAのエアバス A320neo型機
整備場の前を通過して着陸。着陸は17時ちょうど
地上走行して整備場前に姿を見せたエアバス A320neo型機
スポットへ
機体後方に「AIRBUS A320neo」のマーキング
垂直尾翼
プラット&ホイットニーの「PW1127G-JM」
シャークレットにもANAロゴ
垂直尾翼近くに備える機内インターネットサービス用の衛星アンテナ
メインギア
ノーズギア
エアバス A320neoをフェリーした3名の機長を横断幕で出迎え、記念撮影を行なった

 ANAが今回導入した国際線向け機材は、ビジネスクラス8席、エコノミークラス138席の計146席仕様。ビジネスクラスは2-2の4アブレストで2列、エコノミークラスは3-3の6アブレストで23列を用意する。

 全クラスでタッチ対応のシートモニターを装備。ビジネスクラスでは12インチ、エコノミークラスでは10インチのモニターを搭載する。サーバーからのストリーミング配信だけでなく、モニター側に備えたフラッシュメモリにデータを蓄積しての再生も可能となっているほか、それぞれが独立したシステムとして交換が可能になっており、例えばフライト中に1カ所のシートモニターに不調をきたした場合でも、そのモニターを交換するだけで復旧できる仕組みになっている。

 機内エンタテイメントシステムは「ANAスカイマスター4」と呼ばれる最新の機内エンタテイメントシステムを採用。このほか、機内では機内Wi-Fiインターネットサービス「ANA Wi-Fiサービス2」を提供している。ANA Wi-Fiサービス2では、有料のインターネットサービスのほか、無料でライブテレビや電子書籍を楽しむことができる。

ANAの国際線向けエアバス A320neo型機のシートマップ
ANAのエアバス A320neo型機内

 ビジネスクラスシートはレカロ製で、電動リクライニング機構を装備。130度までリクライニングできる。フットレスト、レッグレスト、隣席との間を仕切るプライバシーディバイダー、ユニバーサルAC電源、USB電源も備える。

 シートピッチは50インチ(約127cm)。シート幅は52cmと、既存のボーイング 737-500型機で使用されているシート幅50cmのシートよりも広く取っている。

 エコノミークラスは薄型のシートを採用することで、従来機と同等レベルの31インチ(約79cm)のシートピッチながら、足下はより広い空間を確保している。全席にユニバーサルAC電源とUSB電源を装備している。

ビジネスクラスシート
テーブルとシートモニターを出したところ。シートモニターは12インチ
レッグレストとフットレスト
パーソナルライト
リクライニングやリラックスポジションへ電動で変更できる
機内エンタテイメントシステムのコントローラ。前面にはユニバーサルAC電源とUSBポートを備える
エコノミークラス。薄型シートの採用で、31インチのシートピッチながら足下の空間を広げている
エコノミークラスを後方から見たところ
アームレストも幅が広め
2段階に開閉できるシートテーブル
各席の足下にユニバーサルAC電源を備える
エコノミークラスのシートポケット
シートモニターは10インチ
シートモニターのコントローラ。シートモニター下部にUSB電源を備える
オーバーヘッドコンパートメント
上部の送風口や読書灯
コックピット
前部のギャレー
後部のギャレー
後方のラバトリー。ラバトリーは前方1カ所、後方2カ所