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楽天トラベル、「朝ごはんフェスティバル 2016」ファイナルステージを開催
宿泊施設の日本一の朝ごはんが決定。神田川俊郎氏、坂井宏行氏らが審査
2016年12月5日 16:21
- 2016年11月30日 開催
楽天の旅行予約サービス「楽天トラベル」は11月30日、全国の宿泊施設で提供される朝食の日本一を決める「朝ごはんフェスティバル 2016」の頂上決戦を、東京・代々木にある服部栄養専門学校で開催した。
「朝ごはんフェスティバル」は、日本全国のホテルや旅館で提供している“おいしい朝ごはんを旅のきっかけにしてもらいたい”とのコンセプトで始められたもので、今年で7回目を迎える。
決勝戦を行なうにあたって、第1ステージでは過去最高の1500以上のエントリーのなかから、Web投票および口コミ評価による審査、10月に行なわれた第2ステージでは、初の試みとして楽天会員と一般来場者約500人と特別審査員2名での試食審査が行なわれた。この予選を勝ち抜いた6つの朝ごはんのなかから日本一を決定する。
決勝戦では、第2ステージを勝ち抜いた料理ともう一品を加えた2品を審査。実際に宿泊施設で提供している料理を条件とし、代表調理人1名、アシスタント2名で調理する。審査基準は、「味」「表現力」「独創性」「朝ごはんらしさ」「朝ごはんにかける思い」で、その結果をもとに優勝、準優勝、第3位、審査員特別賞が贈られる。
それに加え、今回からは「地産地消de朝ごはん賞」が加わった。この賞は、地域ならではの歴史、文化、資源を大いに活用し、朝ごはんを通じて地域に還元しているかを見るものだ。事前に提出しているエントリーシートと当日の審査員による評価で審査され、受賞された宿泊施設は「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」の“コト”部門に楽天より推薦されるとのことだ。
決勝戦は、「神田川」本店の店主であり、全日本調理師協会名誉会長、日本食普及の親善大使である神田川俊郎氏、「ラ・ロシェル」のオーナーシェフである坂井宏行氏、「CREA WEB」編集長の井上孝之氏、「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」の総料理長である田中耕太郎氏(朝ごはんフェスティバル 2015 優勝)、楽天株式会社 常務執行役員で、ライフ&レジャーカンパニー プレジデントである武田和徳氏の5名で審査される。
開会式では武田氏が「第7回目を迎えるにあたり、今回からは色々新しい施策を試みました。これにより、質のさらなる向上、食べたときの感動を多くの人たちに提供できたかなと思います。審査員にも素晴らしい方々を迎え、決勝戦も熱戦が繰り広げられることかと思います。また、地産地消で、日本のいいモノを調理でさらに美味しくして、多くの方に味わっていただき、一日一日を元気に過ごしていただける“朝ごはん”の向上を祈願して始めさせていただきたいと思います」と挨拶した。
楽天トラベル「朝ごはんフェスティバル 2016」のファイナルステージに進出した朝ごはん
安比八幡平の食の宿 四季館 彩冬(岩手県)
「3種の八幡平スムージー」
安比八幡平の高原で育った、完熟山葡萄、ほうれん草、ブルーベリーのスムージー。地元産のハチミツ、もとみやの甘麹、ふうせつ花の豆乳が味わいを添え、郷土の発酵調味料や昔ながらの調理法を取り入れている。
「八幡平豊洋卵の厚焼き卵」
八幡平の遠藤夫妻が育てている鶏の「豊洋卵」を贅沢に使用した、だし巻き卵。穀物類を中心に木酢液を薄めたエサに、山麓から湧き出す地下水を与えて育てられており、なめらかな口ざわりと味わいのある風味が特徴。これに無農薬栽培された山葡萄で作った「山葡萄塩」と、隣町の「エゴマ」を用意。だし巻き卵のほんのりした甘さと山葡萄の塩がベストマッチし、エゴマのぷちぷちした食感を楽しめる。
武田氏は「スムージーも厚焼き卵も、地元の地産地消の新鮮さと思いが伝わってくるいい朝食だなと思いました。優しくて、穏やかに元気に一日をスタートできる、美味しい朝食でした」とコメント。
神田川氏は「見た目が素晴らしい。色鮮やかな七変化で、味も味わいがありますね。普通は、だし巻き卵だとダシを使うんですけど、卵を活かすために水と塩だけで調理されており、卵の旨みがバッチリ出ておりますわ。このエゴマも体にいいということで今流行ってますから、それを取り入れているのも素晴らしい。家庭では健康第一で子供さんにも喜ばれると思いますので、新しい扉が開いたと思います。本当にごちそうさん。美味しかったです」と感想を述べていた。
秋保温泉 ホテル瑞鳳(宮城県)
「清流育ち秋保米と気仙沼産フカヒレの中華あんかけ粥」
宮城県を代表する品種である「ひとめぼれ」を化学肥料、化学農薬を従来の半分以下で栽培した環境にやさしい「秋保米」と、気仙沼の特産品であるフカヒレを使用した中華粥。3時間かけて鶏とホタテの貝柱からとったスープで生米から調理し、とろみのあるフカヒレ餡と香り立つネギ油を入れて完成。お好みで、ザーサイ、ネギ、三つ葉をトッピングしていただく。
「大地の恵み地元野菜で目覚めの一杯!活力黄金スープ」
地元野菜をふんだんに取り入れたスープ。黄金色が美しいスープは、野菜や肉などを煮込んで作る濁りの無い透き通った西洋スープに、ホタテの貝柱を加えてさらに旨みを凝縮させている。鮮やかな赤色の「紅くるり大根」、美しい黄色が特徴の「きんぴニンジン」、ほか「あやめ雪カブ」など、珍しい地元産の野菜を使って見た目にも美しい一品に仕上がっている。
坂井氏は「調理しているところから見ていたのですが、米から1時間ほどですか、お粥は常にかき回していないといけないので水分と米とのバランスが難しいのですが、これはメチャクチャ美味しい。おかわりしたいくらい(笑)」とお粥に関しては非常に満足されていたが、「スープが少し冷めていたのが残念。味も香りも立ってこないのでもったいなかった。野菜の下ごしらえとかは丁寧な仕事をされているので、熱いものをいただきたかった」とのコメントを残した。
井上氏は「実家が宮城県で米穀店を営んでいるので宮城県のお米に関しては詳しいのですが、この秋保米は大変美味しかったです。また、スープの見た目は美しく、一つ一つの野菜に物語性があって、家族で食べるときなどは盛り上がるのではないでしょうか」と語っていた。
温海温泉 萬国屋(山形県)
「山形牛の旨味がたっぷり染み出た具だくさんの芋煮汁」
毎年山形で開催される日本一の芋煮会をイメージした、大鍋を用いた芋煮汁。山形牛のバラ肉を使用し、出汁には山形牛の甘い脂がとろけだして旨みがたっぷり。牛肉は霜降りしてあく抜きをしているので、澄み切った出汁に仕上げてある。
「磯の香 吟醸茶漬け~山形の恵みを添えて~」
原材料に「つや姫」を100%使用し、まろやかな風味とふくよかな香りが自慢の吟醸酒「庄内誉」を出汁に使用。トッピングされている海苔は、硬く歯応えがあり、磯の香りがただよう天然の岩海苔。磯の味と日本酒の旨みを堪能できる一品に仕上げてある。好みで、地元特産の食用菊、キュウリ、大根、ミョウガ、しその実、ニンジン、ショウガの7種類の野菜を使うことで見た目も楽しめる。
坂井氏は「河原で食べる芋煮は最高に美味しいので本日は楽しみにしてきました。こちらの料理は、山形の地産地消の素材とスープの味のバランスがよくて美味しかったです。もう一つのお茶漬けは、僕はアルコールがまったくダメなので、ちょっとヤバイかなと思ったんだけど、旨みだけ感じられてお酒は感じられなかったので、非常に美味しくいただけました」と述べていた。
田中氏は「山形の情景が目に浮かんで非常に美味しくいただけました。野菜もいっぱい入っていて要所が押さえてあってとても美味しかったです」とコメントした。
大泉高原 八ヶ岳ロイヤルホテル(山梨県)
「ふわふわフレンチトーストに自家製ジャムを添えて」
朝食の定番である「パン」「卵」「牛乳」。この3つにこだわったフレンチトーストで、近場のパン屋に特別に作ってもらったバケットに、中村農場の「八ヶ岳卵」、それに「八ヶ岳高原牛乳」を使って、ふわふわに仕上げたもの。添えてあるジャムは、JAS認定の無農薬で栽培されたルバーブを使った酸味のあるもの、富士川町特産の今が旬である“ゆず”を使った、香り豊かでほろ苦いものの2種類を用意。残ったゆずジャムは、お湯を足して“ゆず茶”としても楽しめる。
「あけの金時と温泉たまごのサラダ りんごのドレッシングで」
日照時間が日本一である山梨県北杜市明野町で生産されている上品な甘みと栄養価の高いサツマイモ「あけの金時」を、蒸かし、ピューレ、チップスの3種類の食べ方で楽しむことができ、温泉たまごとお好みの野菜で作れる自慢のサラダ。
坂井氏は「食欲をそそる、素晴らしいプレゼンテーションでした。ルバーブの酸味と甘みのバランスがよかったです。ゆずのジャムが結構甘いので、ルバーブがいい仕事をしています。フレンチトーストをバケットに変えたというのも新鮮なんですが、食パンと違って歯切れがいいですよね。ごちそうさまでした!」とコメント。
田中氏は「私どものホテルでもフレンチトーストをやっているのですが、火の通し方が難しいんですよね。こちらのバケットは非常に美味しくいただけました。サツマイモの三つの技法、朝から手間かけて大変かと思うのですが、サラダとの相性もよくて美味しかったです」と語った。
湯原温泉 我無らん(岡山県)
「岡山のブランド牛『千屋牛』の熟成フィレカツサンド」
高級和牛のルーツと言われ、和牛の中の和牛と称される岡山県のブランド牛「千屋牛」を使った贅沢なカツサンド。その千屋牛のなかでも最高であるA5ランクの肉を低温で熟成させ、最高級部位であるフィレ肉を揚げ、絶妙な火加減でレアに近い状態で提供。柔らかな食感と肉本来の旨みを楽しめる。ソースは岡山県産のタマネギやトマトなど、数種類の野菜や果物を煮込んだオリジナルだ。
「湯原温泉名産 青大豆豆乳ポタージュ」
湯原温泉の名産である青大豆「キヨミドリ」を使ったポタージュ。湯原温泉のある真庭市で栽培されるキヨミドリはショ糖含有量が豊富で風味豊かなのが特徴で日本一とも言われている。そのキヨミドリの豆乳をベースに蒜山高原のジャージ牛から生産される牛乳、バター、生クリームで仕上げ、季節に応じた旬の食材を使用することで、オールシーズン楽しめる。
神田川氏は「最高、最高、最高! 青大豆の豆乳がバッチリ合ってました。料理は一に心、二に材料、三に細工という言葉がありますので、その細工をうまいことしてはる。そしてまたお肉、これA5と言わず、あったらA8くらいのお味です(笑)。柔らかいし食べやすいし、とても美味しいです」とご満悦だった。
井上氏は「朝ごはんにピッタリの組み合わせだと思いました。カツサンドの見た目のインパクトが大きくて、もしこれを女性が見たら絶対に写真を撮ってSNSに投稿するような、かわいらしくて、サイズもちょうどいい感じです。パンも薄いんですが、存在感バッチリな焼き具合で、肉は言うまでもなく味付けも噛み応えも素晴らしく、とても美味しかったです。ホテルの規模、隠れ家っぽい雰囲気、かけ流しの温泉、美味しい朝食という点で、女性にぜひオススメしたいと思いました」と、女性向けメディアを運営している目線で語っていた。
城山観光ホテル(鹿児島県)
「朝〆たばかり 鮮度抜群の鹿児島県産真鯛潮茶漬」
鮮度にこだわって、朝市で〆た真鯛の刺身を使用した潮茶漬け。かけるスープは、丁寧に下処理をした鯛のカマ、中落ちをベースにした潮仕立ての出汁と野菜などをあわせたもので、新鮮な真鯛を余すことなく使用。お好みで、特製胡麻ダレやあられなどをトッピングでして盛り付けできる楽しみもある。
「ニガウリと豚耳のソテツ味噌炒め」
鹿児島の名産であるニガウリ(ゴーヤ)と豚耳をソテツ味噌で炒めたもの。ソテツ味噌は、奄美大島で生産されるソテツの実と玄米と大豆を原料にした奄美大島の名産品。苦味のあるニガウリと味噌の甘さが絶妙なハーモニーを奏で、豚耳を混ぜることで食感も楽しめるようにした一品。
神田川氏は「最初は強火、あとは弱火で、甘みのあるお酒で潮汁を作っているのですが、これがお米とベストマッチ。鯛が天然の素晴らしいものを使っていますね。これは朝から目がぐっと覚めまんな。いや、ホントにこんな美味しいもの食べたら元気出ますわ。薬味のバランスも素晴らしい。ゴーヤと豚耳で朝から元気出て、二日酔いも解消。この潮汁、鯛だけに大したもんだと思います(笑)」と、神田川節で講評。
武田氏は「美味しくてすぐに完食してしまったのですが、神田川さんにすべてのコメントを言われてしまいました(笑)。僕は感動だけを伝えられればと思います。今はもうお昼ですけど、もう一回朝の感じで、今日一日が元気で過ごせそうです」と語った。
表彰式では、まず新設された「地産地消de朝ごはん賞」、続いて審査員特別賞が授与された。
審査員特別賞
秋保温泉 ホテル瑞鳳(宮城県)
大泉高原 八ヶ岳ロイヤルホテル(山梨県)
安比八幡平の食の宿 四季館 彩冬(岩手県)
残るはトップ3の発表となり、プレゼンターとして坂井氏が登場。「今回はファイナルということで、みなさんのレベルが非常に高くて審査するのも大変だったのですが、料理もプレゼンテーションも朝ごはんに対する思いもすごく伝わってきました。ぜひ、みなさんのホテルや旅館に一度はおうかがいしたいと思っておりますので、そのときはよろしくお願いいたします。お疲れさまでした」と、講評を述べた。その後、第3位が発表され、「湯原温泉 我無らん」(岡山県)の伊藤氏に記念品が手渡された。
第3位
湯原温泉 我無らん(岡山県)
第3位の表彰が終わり、残るは準優勝と優勝の発表。「城山観光ホテル」(鹿児島県)の前田氏と「温海温泉 萬国屋」(山形県)の大滝氏が前に出て、それぞれに結果が書かれた封筒が手渡された。結果は、準優勝が城山観光ホテル、優勝が温海温泉 萬国屋となった。
準優勝となった城山観光ホテルの前田氏は「全力を尽くしましたので悔いはありません。また次、挑んでいきたいと思います」とコメントし、優勝した温海温泉 萬国屋の大滝氏は「考えてもいなかったので言葉が浮かんできません。今回の大会に出るにあたって色々な人からアドバイスをもらい『行ってこいや!』『頑張ってこいや!』と言われたのがうれしく、支えになりました。どうも、ありがとうございます」と、感極まった表情で喜びをかみしめていた。
優勝
温海温泉 萬国屋(山形県)
最後のプレゼンターとして神田川氏が登場。「私もずっと審査員をやっていますけど、今年はレベルがもの凄く高かった。本当の僅差でございました。これからも二十一世紀にはばたく、素晴らしい料理人になってほしいと思います。出発点があって、終着駅がないのが料理の世界です。だから、病気も元気も“気”の持ちようです。やる気がある、根気がある、負けん気でいかなイカン、弱気になったらイカン、みなさんみたいな旅館の人は人気がなかったらイカン、人気いうことその気をわからなイカン。それがおもてなしの心でございますので、これからも大いにもてなして、楽しくお客さんに帰っていただくということを頑張ってください。おめでとうございます」と、最後まで神田川節で熱く語り、大会を締めくくった。