ニュース

「楽天トラベル 朝ごはんフェスティバル2015」頂上決戦開催

宿泊施設の日本一の朝ご飯が決定

地区大会を勝ち抜いた7つの宿が集結し頂上決戦が行なわれた

 楽天の旅行予約サービス「楽天トラベル」は11月18日、全国の宿泊施設で提供される朝食の日本一を決める「朝ごはんフェスティバル 2015」の頂上決戦を山手調理製菓専門学校で開催した。

 “朝ごはんフェスティバル”とは、全国のホテルや旅館などの宿泊施設を対象に、その朝食のメニューや味を競い、3段階の選考を経て日本一の朝ごはんを決定するコンテストだ。2010年からスタートし今年で6回目。今回は1000以上の宿泊施設が参加した。

 選考の第1ステージでは「楽天トラベル」のサイト上でWeb対決を行なった。対決では投票を行なったうえで、投票結果に楽天トラベル利用者による「食事」評価を加味し、全国の7地区から各5施設の35カ所を選出。第2ステージでは各地区の5施設の料理担当者が実際に調理し、審査の結果、優勝した施設が頂上決戦に進んだ。関東大会の様子については「楽天、全国宿泊施設の朝ご飯日本一を選ぶ「朝ごはんフェスティバル 2015」関東大会を開催(http://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/20151008_724810.html)」でレポートしているので、そちらをご覧いただきたい。

 開催当日、調理室では開会式前からスタッフミーティングや下ごしらえが行なわれた。頂上対決だけあって真剣な雰囲気だ。

参加者による下ごしらえの様子。全国の地区大会を勝ち抜いた7つの宿泊施設が対決
調理室の外には、各宿の応援団が料理人を見守っていた

 頂上決戦の会場には、地区大会を勝ち進んだ以下の7つの宿が集結した。

・北海道大会代表 北海道「シャトレーゼ ガトーキングダムサッポロホテル&スパリゾート」
・東北大会代表 福島県「離れの隠れ宿 オーベルジュ鈴鐘」
・関東大会代表 栃木県「塩原温泉 四季味亭ふじや」
・中日本大会代表 長野県「野沢温泉 ホテルハウスサンアントン」
・西日本大会代表 兵庫県「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」
・中国・四国大会代表 鳥取県「皆生温泉 海色・湯の宿 松月」
・九州・沖縄大会代表 沖縄県「ホテル 日航アリビラ」

 今回の頂上決戦では2品を用意し、実際に会場で調理して審査員の実食のうえで審査を受ける。日本一の朝食を決めるとあって、審査員陣も豪華だ。「神田川本店」店主 全日本調理師協会名誉会長 神田川俊郎氏、ファミリークッキングスクール主宰 料理研究家 浜内千波氏、「レストラン中村孝明」オーナーシェフの中村孝明氏、「四川飯店」オーナーシェフ 日本中国料理協会会長 陳健一氏、「リストランテ・マッサ」オーナーシェフ 神戸勝彦氏、「レストランタテルヨシノ」パートナーシェフ 吉野建氏、「たいめいけん」オーナーシェフ 茂出木浩司氏。

 おなじみの料理界の大御所が集結したのに加え、2014年度チャンピオンの「下呂温泉和みの畳風呂物語の宿小川屋」料理長の川向和美氏、楽天 取締役常務執行役員 武田和徳氏も参加し、合計9名で審査が行なわれた。

審査員の左から神田川俊郎氏、中村孝明氏、吉野建氏、陳健一氏
左から茂出木浩司氏、神戸勝彦氏、浜内千波氏、川向和美氏、武田和徳氏

 審査員は料理を様々な観点からチェックする。味や食べやすさはもちろん、見た目の美しさ、料理内容に創意工夫があるかどうかの独創性、栄養バランスや目覚めた身体に対する配慮、さらにおもてなしの心も審査項目に入っている。

開会式を終え調理の審査スタート

開会式で挨拶を行なった楽天株式会社 武田常務執行役員

 開会式では、イベントの主催者を代表し、楽天 武田常務執行役員が挨拶。「近頃、朝ごはんが非常に注目されております。宿に泊まった際、その近辺の観光のみならず、その宿でお時間を過ごし、朝食を食べ1日をスタートする。また、日々の仕事においても朝ごはんをどう健康的に摂って1日を過ごすかということでいろんな話題になっております」と昨今の朝食事情を説明しつつ参加者にエールを送った。

 開会式の後、調理室では調理が進む中、審査員による料理工程の視察がスタート。

料理研究家の視点からレシピについて詳細な質問を行なった浜内氏
2人で軽妙なかけあいをしながら素材や作り方を聞いていた神田川氏と陳氏
ユーモアあふれる陳氏のトークに終始笑顔の武田常務執行役員
ダシを味見する吉野氏と茂出木氏
素材の質についての質問を行なっていた中村氏
真剣な表情で審査シートを記入する川向氏と神戸氏

 調理終了後、各宿の代表料理人がメニューについて審査員にプレゼンテーションし、実食による審査が行なわれた。どんなメニューを出してきたのかその内容と特徴、審査内容を宿ごとにプレゼン順で紹介していこう。

実食による審査。実際に盛りつけた状態で配膳され見た目も採点対象に
野沢温泉 ホテルハウスサンアントン(中日本大会代表)

・「朝が待ち遠しくなる程のジャムと贅沢な一日の始まりを」/「とろっとろスクランブルエッグ」

 片桐健策シェフの母親が考案し、長野県の最高のフルーツを使ったジャムはホテルの名物。さらにジャムと相性のよいチーズ、ナッツ、ドライフルーツを用意し、味の変化と奥行きを深めている。

 今回用意されたジャムは4種類。スライスして食感を残した酸味の強い紅玉リンゴ、果肉を大ぶりにカットすることで果肉感を残したプルーン、雪国パッションフルーツと黄金桃、バニラと風味が強い食材を組み合わせたジャム、それぞれの味の個性を活かしたストロベリーとブルーベリー、ラズベリーの3種のベリーのジャムだ。

 また、「とろっとろスクランブルエッグ」では、卵液を混ぜながら火にかけてはおろして低温をキープしたまま30分と長い時間加熱することで、口の中で溶ける食感に仕上げている。スクランブルエッグに添えられているケチャップも自家製だ。

 神戸勝彦氏は「大変美味しくいただきました。特にフルーツのジャムですね。果樹を育てるだけでも大変なのに、こうやって生で食べるだけではなく保存食として、また美味しいものとして提供されているのが素晴らしいと思いました」とジャムを絶賛した。

野沢温泉 ホテル ハウスサンアントンの2品
クリームのような見た目の「とろっとろスクランブルエッグ」
自家製ジャムを5種類にナッツやチーズを添えて味の彩りにしている
スクランブルエッグは30分、混ぜながらゆるやかに加熱することでとろとろに
ホテル ハウスサンアントンのシェフ 片桐健策氏
シャトレーゼ ガトーキングダム サッポロ ホテル&スパリゾート(北海道大会代表)

・「北海道野菜の白いプリン~道産の海鮮をのせて~」/「朝からサラっと薬膳スープごはん」

「北海道野菜の白いプリン~道産の海鮮をのせて~」は牛乳、海の幸、野菜と北海道の食材を使い、北海道の魅力が表現した料理。自然な甘さの枝豆とトウモロコシのソースをかけることで、海鮮のうまみが生きながらもすがすがしい味わいになる。また、「朝からサラっと薬膳スープごはん」は9種の薬膳素材を活かしつつダシと白醤油で味付けして和風に仕上げたスープだ。

 ホテルの洋食調理部 片山雄介氏によると調理スタッフの間でコンペを行ない、試食と検討を重ねて完成したメニューとのこと。

 試食スタートを待たずに食べ始めた陳健一氏は、「僕は枝豆とトウモロコシが大好きなんだよ。こんな味が出てきたらね、すごくハッピー。それからこのプリンがちょっと濃厚で、薬膳スープごはんがさっぱりしていて。2つ食べると『もう、朝がんばっちゃうぞ!』って感じになりそうですね」とプリンの美味しさとメニューの組み合わせの絶妙さを語った。

シャトレーゼ ガトーキングダム サッポロ ホテル&スパリゾートの2品
ご飯は和風に仕上げた薬膳スープでさっぱりとした味わいに
濃厚なプリンはすっきりした2種類のソースと組み合わせて食べる
プリンにかけるソースを調味。北海道産の材料をそろえて作っている
プレゼンテーションを行なう洋食調理部 片山雄介氏
ホテル日航アリビラ(九州・沖縄大会代表)

・「やさしい甘さの沖縄黒糖風味フレンチトースト」/「ゴーヤードリンクと沖縄風サラダのグラス盛り グリーンのコントラスト」

 沖縄の黒糖を使った今までありそうでなかったアイディアのフレンチトーストに、ゴーヤの素材を生かしたホテル日航アリビラのメニュー。

「やさしい甘さの沖縄黒糖風味フレンチトースト」ではパインを混ぜ込んだバターと紅いもを混ぜ込んだバターも添えられ、味に変化を加えながら食べられる趣向だ。ゴーヤードリンクはホテルの手作りジュースのラインアップから特に人気が高いゴーヤのジュースを用意。サラダと共にグラスに盛ってあり、サラダをジュースに和えて食べられるようになっている。

 武田常務執行役員は「私はこんな美味しいゴーヤを食べたことがございません。このゴーヤの甘みとジュースのドレッシングのような感じが美味しいです。メインのフレンチトーストとの色合いも併せて、沖縄を体感できますね」と沖縄ならではの食材と盛り付けについて述べた。

ホテル日航アリビラ」メニュー
フレンチトーストは月桃の葉やパイン、紅いもで沖縄らしい装いと風味に
ゴーヤードリンクはサラダを添えて一緒に食べられるようになっている
パインバター盛り付け用のミニパインをカット
ホテル日航アリビラの「レストラン ブラッスリーベルデマール」料理長 仲本寛氏
ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド(西日本大会代表)

・「ル・パン オリジナルベーカリー」/「兵庫県で育てた新鮮な野菜と瀬戸内産天然真鯛のスープ仕立て」

 2年連続で準優勝している実力派、ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド。ホテル直営のベーカリーで作られたパンは厳選された素材を使い、自家製天然酵母で発酵させている。また、兵庫県産の野菜と瀬戸内産天然真鯛のスープは兵庫の食材を活用し、味わいを1皿に濃縮。

 自家製パンは5種類を用意。クロワッサン、兵庫の茶葉「母子茶」を抹茶にして練りこんだパン、グラノーラやチョコ、プルーンを練りこんだスティック、グラハム粉の全粒粉を使ったグラハムパン、古代米を練りこんだパンだ。ジャムやバター類も自家製のイチゴジャム、ブルーベリーのジャム、バター、六甲味噌とバターを合わせたもの、ヨーグルトにハチミツを添えたものを出している。

 中村孝明氏は「お野菜のスープと魚、天然の鯛を合わせるの、失敗すると味がケンカするのね。こういうプロ的にいうと難しいのを何でやったのかな、って思った。スープにハムを添えるの、すごくいい。パンも美味しい」と料理人の視点から講評した。

ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドのメニュー
5種のパンとバター類で様々な味のバリエーションが楽しめる
瀬戸内産天然真鯛をはじめ兵庫の食材を活用したスープ
スープに使われた食材
ホテル ラ・スイート神戸 ハーバーランド 統括料理長 田中耕太郎氏
離れの隠れ宿 オーベルジュ鈴鐘(東北大会代表)

・「天然黒ムツのあっさり西京焼きとメロのしっとり西京焼き」/「和風焼売」

 福島復興という願いと「1日のスタートをゆっくりとした癒しのひと時と「朝の極上贅沢」をお客様へ味わって頂きたいと考えております」という思いが重なった和の朝食。

 料理には県内産の名物食材を使われ、西京焼きは天然黒ムツとメロの2種類を用意。どちらも脂が多い魚ながら、調理方法を変えることで天然黒ムツはあっさり、メロはしっとりとした2種類の西京焼きに仕上げられている。

 また、和風焼売はイセエビをベースに会津地鶏の卵の卵黄、地元の有機野菜を使用。台座と中には歯ごたえがある野菜であるヤーコンを使い、深い味わいの中にシャキシャキした食感を加えている。

 神田川俊郎氏は「まさに器に絵を描いた感じですね。それに西京焼き、味のパターンが全然違いますし、味がしつこい黒ムツを西京焼きにしたことは正解でした。メロは食べて美味しくてメロメロになるような味があります。焼売はイセエビを包丁入れずに手むしりにしているのがいいですね」とジョークを交えつつも鋭い視点で感想を語った。

離れの隠れ宿 オーベルジュ鈴鐘のメニュー
黒ムツとメロの西京焼きはそれぞれ脂の乗りや味わいが違っている
福島県の食材がひとつになった焼売
焼売に使うイセエビは身をはがした後、手でむしって食感を活かしている
離れの隠れ宿 オーベルジュ鈴鐘 料理長 根本正和氏
皆生温泉 海色・湯の宿 松月(中国・四国大会代表)

・「地採れ! 新鮮野菜の彩スムージィー」/「境港産シロイカのおろし丼」

 皆生温泉の中で最も歴史ある旅館、海色・湯の宿 松月。食材を旬に合わせて変えて作っているスムージィーは2色に仕立てたものが5種類を用意されている。健康的なだけでなく、見た目の美しさと栄養バランス、胃腸へのやさしさなど様々な気配りが施された1品だ。また、海に面した宿は夜になるとイカ釣り漁船の明かりが見え、その漁船で釣ったイカを使っているのがシロイカのおろし丼。地元の食材を活かした味に加え、朝に昨晩の風景を思い出しながら味わえる、といった趣向が凝らされている。

 また、シロイカのおろし丼には消化酵素が入っている大根おろしのタレをかけることで、胃にもたれることなく食べられるメリットも。

 茂出木浩司氏は「スムージィー、僕も毎日作っているのですが、本当に体によくて肌に特にいいんですね。出し方もセンスがいい。イカの方も大根おろしをかけて食べるとすごく美味しいですね。こんな美味しいイカ、初めて食べました」と盛り付けから味まで絶賛。

皆生温泉 海色・湯の宿 松月のメニュー
シロイカのおろし丼には揚げたゲソも添えられて味のアクセントに
トマトやナシなどが使われた2色スムージィー。見た目も鮮やかだ
丼に使われたシロイカは若女将が境港から直送したもの
皆生温泉 海色・湯の宿 松月の調理長 里村正志氏
塩原温泉 四季味亭ふじや(関東大会代表)

・「極上ふかひれ茶わん蒸し」/「ふじやパパの手作り野菜と自家製味噌のふわふわつみれ汁」

 細井邦彦板長の父親が作る自家菜園の野菜や米を使い、料理に使用する野菜も父と子で相談しながら作っている朝食メニュー。ふんだんに使った新鮮な食材と丁寧にとったダシの味わいが魅力だ。今回の頂上決戦ではうまみと甘みが増した冬野菜を使用しているという。ダシにはマグロ節だけでなく、玉ねぎなどくず野菜も使用し、薄味に仕上げるため味噌汁ではなくあくまで「味噌仕立てのスープ」にしている。

「極上ふかひれ茶わん蒸し」は那須御用卵を使い、ダシを多く使うことでふわふわの仕上がりに。中華風のあんとふかひれを添え、豪華な仕上がりに。

 吉野建氏は「スープの出来が素晴らしいですね。クセもなく、でも味があり、優しい。で、味噌の香りもする。フランスでも野菜のスープがあるんですけど、これは我々も勉強しないといけないところがありますね」とスープを讃えた。

塩原温泉 四季味亭ふじやのメニュー
味噌の量を抑えることでダシの味わいを活かした汁物になっている
ふかひれが見た目にも贅沢な茶碗蒸し
板長の父親が作った新鮮野菜をふんだんに使用
塩原温泉四季味亭ふじやの板長・代表取締役社長の細井邦彦氏
最終審査では「みんなよくて、誰を選べばいいのか」という声が

 コンテストは残すところ審査と発表のみ。審査員が別室で審査を行なったが、武田常務執行役員は審査の席で「それぞれ、前回の大会の時よりもグレードアップしていますね」とコメント。最終審査では「みんなよくて、誰を選べばいいのか」という声が聞こえてきた。

 表彰式ではまず、特別賞と3位までの順位が紹介された。審査員特別賞は野沢温泉 ホテルハウスサンアントンとホテル日航アリビラ。5位はシャトレーゼ ガトーキングダムサッポロ ホテル&スパリゾート、4位は離れの隠れ宿 オーベルジュ鈴鐘、3位は塩原温泉 四季味亭ふじやだ。

 残ったホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドと皆生温泉 海色・湯の宿 松月。両者には審査結果が入った封筒が渡され、両方の料理人が封を開けて結果を知ることに。封筒の中に入っていたレターは皆生温泉 海色・湯の宿 松月が準優勝で、ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドが優勝という内容。これまで2回、準優勝していたホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドのメニューが初の優勝を獲得し、日本一の朝ごはんが決定した。

優勝かどうかの結果が書かれた封筒を開く上位2人
優勝した「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」の田中氏と盾を手渡した神田川氏
最後に行なわれたフォトセッションの様子

 今回出品された各宿泊施設の朝ごはんは、コンテストだけのメニューではなく、すべて楽天トラベルの宿泊プランとして実際に宿で食べられるようになっている。地区大会を勝ち抜いて頂上決戦に至った珠玉の朝食が、実際に味わえるというのは魅力だろう。旅行の楽しみとして食のウエイトは大きいが、“日本一の朝ごはん”を体験したい人は、楽天トラベルをチェックしてみるのもよさそうだ。

結果が刻まれた盾を持った今回の参加者たち

(丸子かおり)