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イベリア航空、成田~マドリード線を運航開始、週3往復

最高統括営業責任者に今後の運航やA350導入も聞いてみた

2016年10月18日 運航開始

イベリア航空の保有機体。日本向けはエアバス A330-200型機を使う。10月19日に成田への到着した初便のみエアバス A340-600型機を使用

 イベリア航空は、成田~マドリード線の運航を開始した。日本国内からマドリードへの唯一の直行便で週3往復運航する。10月19日には就航第1便が成田空港に到着、同日午後には都内でスペインの駐日大使のゴンサロ・デ・ベニート・セカデス氏、イベリア航空の会長兼CEOのルイズ・ガジェゴ氏らが出席して記者説明会を開催したほか、最高統括営業責任者のマルコ・サンサビーニ氏にインタビューを行なった。

日本語対応可能なスタッフが乗務するエアバス A330-200型機で週3往復運航

 イベリア航空の成田~マドリード線の運航スケジュールは以下のとおり。

成田~マドリード線

IB6800便:成田(11時20分)発~マドリード(18時20分)着、※月・水・土曜日運航
IB6801便:マドリード(13時20分)発~成田(翌9時35分)着、※火・水・日曜日運航

 使用機材はエアバス A330-200型機を使用し、新しい設計のビジネスクラスとエコノミークラスを導入。各席には電子機器向けの電源やプラグ、WI-FI環境を装備、ビジネスクラスは15.4インチ、エコノミークラスは9インチのモニターを装備、日本語のコンテンツも用意されるという。

 機内サービスでは、機内雑誌「RONDA」を日本語で用意、日本人クルーを配置し、機内では日本食も提供、全クラスでみそ汁、ご飯を提供するほか、メインディッシュはビジネスクラスではしょう油仕立ての鴨肉の蒸し煮、クルマエビ、チキン、シーフェンネル、大葉とわさびが入ったタラバガニのパイを用意、エコノミークラスでは、カレー風味の豚肉と菜心ご飯としいたけ、あるいは緑色野菜とチキンを添えた焼きそばが選べる。

 また、地上サービスではマドリード空港に日本人スタッフを配置するほか、公式FacebookおよびTwitterにて日本語で情報発信を行なっている。

 イベリア航空を利用した場合の特徴としては、マドリードに直行できるだけでなく、マドリードをハブとして中南米に毎週250便運航しているため、ラテンアメリカへ経路としての活用も可能だ。

ビジネスクラスの仕様
エコノミークラスの仕様
提供されるサービス
マドリード線を再開する理由
マドリード線の特徴
日本語サービスが充実

毎日運航も視野に入れる

 記者説明会では、駐日スペイン大使のゴンサロ・デ・ベニート・セカデス氏をはじめ、JETRO(日本貿易振興機構)副理事長の赤星康氏、イベリア航空の会長兼CEOのルイズ・ガジェゴ氏、最高統括営業責任者のマルコ・サンサビーニ氏が登壇した。

駐日スペイン大使 ゴンサロ・デ・ベニート・セカデス氏

 駐日スペイン大使のゴンサロ・デ・ベニート・セカデス氏は、「今日は日西関係で大切な日。なぜなら直行便の運航で間違いなく日本とスペイン間の観光客が増え、両国の政治、経済、文化の面で交流が深まり、2カ国間の市民の距離が縮まるからです。東京への直行便を決断された、イベリア航空のチームに感謝します」と語った、日西関係は2013年の「平和、成長及びイノベーションのためのパートナーシップ」の共同声明のあとで大きく発達したと指摘し、「2015年には双方で合計27万9000人の観光客。今年はさらに上回る状況」と観光客の延びを紹介した。

JETRO 副理事長 赤星康氏

 JETRO 副理事長の赤星康氏は「再就航によって、人の行き来が増え、それに伴って貿易と投資、二国間の経済活動がいっそう活発になることを期待しております」と述べたほか、「JETROの重要なミッションは、日本の食のプロモーションだが、今回、イベリア航空さんに、日本酒を機内食で出すことを提案し、快く受けていただいた。大吟醸というお酒が出されることになっている」と、機内サービスで日本酒が飲めることを明かした。

イベリア航空 会長兼CEO ルイズ・ガジェゴ氏

 会長兼CEOのルイズ・ガジェゴ氏は、「今日は歴史的な日。ほんの数時間前に300を上回る人が、空港に到着した。今日、イベリアは、日本における新時代を迎えた」と話し、再就航については「ここ数年、我が社は変革に取り組んできた。この変革のとりくみによって、より効率性の高い企業として、新規就航、過去に撤退した路線への再就航ができた」と述べた。

 ガジェゴ氏は、成田~マドリッド線で使うエアバス A330-200型機にも触れ「これは、わずか数週間前に導入されましたが、燃費がよく、環境にも配慮された機体です」と紹介、イベリア航空の特徴として、時間の正確さを挙げ、「2015年、定時到着率が、JAL(日本航空)に次いで世界第2位、欧州第1位の評価を受けている」と自信を見せた。

 また、ガジェゴ氏はマドリードの乗り換えについてもコメントし「長期的には、ベース基地であるマドリッドの空港のターミナル4をアジアとラテンアメリカを結ぶ、重要中継地にしたいと思っている」の述べ、乗り換えでさらに別の場所へ行くことにも力を入れることを強調した。

定時運行率はJALに次いで世界第2位
マドリード空港ターミナル4の特徴
イベリア航空 最高統括営業責任者 マルコ・サンサビーニ氏

 最高統括営業責任者のマルコ・サンサビーニ氏もマドリードでの乗り換えによる利便性を強調したほか、新機材についても触れた。成田とマドリッドを結ぶ路線にはエアバス A330-200型機を導入。最新機材で13機運航しているうちの1機を日本向けに運航するという。

 また、サンサビーニ氏によれば、イベリア航空へのエアバス A350-900型機の導入は2018年以降、2021年までに16機導入予定。日本路線へA350型機の導入は今のところ予定にないという。

マルコ・サンサビーニ氏にインタビュー

インタビューに答えてくれたサンサビーニ氏

 トラベルWatchでは、記者説明会のあと、最高統括営業責任者のマルコ・サンサビーニ氏にインタビューを行なった。記者からの質問と回答は以下のとおり。増便の判断時期や、エアバス A350-900型機の導入について答えていただいた。

──このたびは就航おめでとうございます。最初のフライトの搭乗状況は?

サンサビーニ氏:満席だった。ビジネスマンも観光客もいた。今はビジネスクラスが19席、エコノミークラスが259席なのでエコノミークラスの旅行者が多かった。ビジネスクラスが満席なので、今後、シート数が増えていく可能性がある。

──今後の予約状況は?

サンサビーニ氏:数字は出せないが、非常によい予測ができている。

──週7便へと拡大する場合、増便の判断はいつ、どのようにするのか?

サンサビーニ氏:まずは現在の週3便をパフォーマンスを充実したものにしてから判断したい。判断するファクターは2つで、需要と経済的持続性だ。需要があっても、それに対しての持続的な収益性がなければ決断しない。

──日本とスペイン間の運航で繁忙期はあるか?

サンサビーニ氏:ひとことで言えばかなり均一化されている。季節ごとの変動はあまりないが、日本からスペインはゴールデンウィークから夏にかけてで、5月から9月。スペインから日本へも同じような状況だが、ピークは夏となる。

──南米へ乗り継げることのプロモーションはどのようにするのか?

サンサビーニ氏:ペルー、アルゼンチン、ブラジルへ向かう人が増えていくと思うので、まずは代理店を通して宣伝していきたい。ひとつ既存の商品としてあるのが、イベリア航空の便でマドリードで乗り継ぎの場合、条件を満たせばマドリードの宿泊1泊を無料にするサービス「Madrid Amigo」がある。これもアピールしたい。

──先ごろ発表された、JAL(日本航空)、ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンエアーとの4社欧州線共同事業では何をするのか?

サンサビーニ氏:各社のサービスの組み合わせができる。たとえばイベリア航空で日本に来て、日本国内はJALで巡るということができる。また、イベリア航空が運航していない水曜日にスペインに行きたいと思った場合、JALを使うこともできる。グループのどこか1社と契約していればサービスを受けられ、1人の担当者とコンタクトをとるだけで各社と話ができる。

──エアバス A350-900型機の日本への導入予定はあるか?

サンサビーニ氏:ひとことで言えば、今のところ予定がない。成田への路線はエアバス A330-200型機で運航する。エアバス A350-900型機は2018年第1四半期以降にイベリア航空に導入する予定だが、どの路線に向けられるか未定だ。