ハワイ現地発

【ハワイ現地発】気候的にもハワイに合う料理といえばメキシカン。ロコたちの行きつけを紹介!

 移民が多いこの島では国際色豊かレストランが揃うが、ハワイのローカルが好きなジャンルの一つがメキシカンフード。

 そもそもハワイ出身者が島を出る大きなきっかけの一つは米本土の大学進学(その後の就職)なのだが、行き先はハワイ寄りとなる西海岸がダントツに多い。南下すればメキシコがあるわけで、周囲にスペイン語があふれているという。そんな西海岸で暮らしたあとにハワイに戻ってきた人が口を揃えて言うのが「メキシカンがめちゃくちゃ美味しかった!」。

 そんなわけで本物を知っている彼らに「行きつけメキシカン」を聞き続けてきた。陽気なハワイの雰囲気はメキシカンフードを楽しむのにとても合っているし、ディナーでも20ドル以下なので(ご多分に漏れず、1回では食べきれない量)、コスパもかなりいいのだ。今回はハワイでメキシカン!にしてみたい。オーレ!

メキシコ・レストラン

地味な田舎の道沿いにひときわ目立つこの店がある
メキシコの趣を感じさせる店内の様子

 ダイレクトで覚えやすい店名のこの店は、ワイキキからクルマで20分ほどのカリヒというディープな場所にあるので、日本人や観光客を見かけることはほぼない。店の雰囲気はメキシコの文化を感じさせて、サービスも明るくて気さく。開放感があって落ち着けるので、友人とおしゃべりタイムも兼ねて訪れる頻度が高い。

トルティーヤチップスとサルサ、ビール。メキシカンな雰囲気のなかではこれだけで十分幸せに

 席に着くとお決まりのトルティーヤチップスとサルサが出てくる。居酒屋でいえば「お通し」になるのかもしれないが、これによって「メキシカンを食べるぞ~」と気分が盛り上がる。フレッシュな自家製サルサとチップスに合わせるビールは、メキシコのモデロ(黒いネグラ)とコロナを。ちなみに大きなマルガリータが15種類メニューに並ぶのもこの店の自慢(12~14ドル)。ピッチャーで頼むこともできる……!

皿からあふれんばかりに盛られたエンチラーダプレート

 メニューのトップを飾っているのがエンチラーダ(2本入りで17.95ドル)。肉などの具材をトルティーヤで巻いて、トマトソースやチーズをかけて焼く料理。肉とソースとチーズのこってりさと、トッピングされたサルサソース(サルサフレスカ)のさわやかな酸味との相性がよい。すべてのプレートには、メキシカンライスと豆をつぶしたリフライドビーンズがついている。この味わいもとてもよい。

4枚ほど重ねられて出てきたケサディーヤプレート。奥はブリトープレート

 欠かせないもう一品はケサディーヤ(18.95ドル)。トルティーヤにチーズと肉を挟んで焼いた定番だが、肉はハワイらしくカルーアポークをチョイスしてみた(豚肉をほろほろに煮込んだカルニタスと似ている気がするのだが)。溶けたチーズがもっちりしていて、カルーアポークとよく合っていた。

 豆とチーズと好みの肉を大きなトルティーヤで包み込んだブリトー(17.95ドル)も毎回食べたい一皿。「メキシカンって使っている具材は同じ?」と思いきや、調理法が違うと違うメニューとなって楽しめるのだからおもしろい。どのメニューも肉は、チキン、ビーフ、カルーアポークなどから選ぶことができる。

 この店は、いつだってたっぷり食べてしゃべって、お腹も心も満たされた気分にさせてくれる。

ロス・チャパロス

店はベレタニア通り沿いにあるが、小さいので見逃さないように!
こじんまりしていてアットホームで居心地がいい店内

 メキシコ出身のマリオさんとカリフォルニアで生まれ育ったリサさんが2005年に開店し、それ以来、ハワイの新聞社や雑誌社によるベストレストラン賞などを受賞し続けてきた実力派。ワイキキからクルマで10分もかからない場所にあり、日曜の夕方などは17時のオープンと同時に地元の人たちが家族連れで次々と訪れ、あっという間にパーキングが満車になる人気店として知られている。

メキシコビールのドスエキスビール。凍らせたグラスが出てくる
トルティーヤチップスをディップするのは焦がし色の黒っぽい個性的なサルサ

 最初に出されるトルティーヤチップスとサルサは、毎日新鮮な食材で作るというファイヤーローストサルサが特徴的でクセになる。いわゆるトマトのサルサでなく、黒くて燻製っぽい香りがしてチポトレのような味わいがした。

2品頼むが2人ではとうてい食べきれない量が出てくる

 メキシコ人らしきスタッフがテキパキと働いている。この日はスーパー・チャパロス・ブリトーとケサディーヤのコンビネーションプレートをオーダーした。

スペシャルブリトーというメニューから選んだスーパー・チャパロス・ブリトー
他店と比べるとなかの具材が脂っこくないので食べやすい

 ドドーンと重量感たっぷりのブリトーが登場。ブリトーはレギュラーは14ドルで、野菜を追加すると16ドルに、好みの肉を入れると17ドル、具をエビか魚にすると18ドルになる。メキシカンライスと豆、ピコ・デ・ガヨ(トマトや玉ねぎを刻んだもの)があふれんばかりに詰まっていた。

ケサディーヤのコンビネーションプレートは14ドルといううれしいローカル価格

 次はケサディーヤ。コンビネーションプレートは、メキシカンライスと豆、またはスープ、またはサラダを選ぶことができる。肉はカルニタス(ポーク)に。ワカモレ、サワークリーム、ピコ・デ・ガヨを乗せていただこう。ディナータイムでもこの一皿が14ドルというのはありがたい。この店はライスや豆も含め、あまりオイリーではないのでコッテリが苦手な人にもいいと思う。

ホセズ・メキシカン・カフェ アンド カンティーナ

グルメタウンで知られるカイムキ中心部にある

 ハワイのメキシカンの老舗といえばカイムキの街にあるこの店。マルティネスファミリーが1973年にオープンし、彼らの家庭のレシピに基づいて作られたメキシカンを堪能することができる。

トルティーヤチップスとサルサを食べ過ぎるとこのあとの料理が食べられなくなるので注意を!

 店ごとにトルティーヤチップスに添えられる自家製サルサソースの味が違うので、その食べ比べも楽しみの一つ。この店はトマトが濃厚な味わいだった。

本物のズワイガニの肉を包み込んだエンチラーダプレート
カニ肉が詰まっていて、その味わいと風味を満喫できる

 特徴的で一度は食べたいメニューが、本物のカニ肉を包み込んだエンチラーダプレート(22.95ドル、単品19.95ドル)。たっぷり詰まったズワイガニの味わいを、ランチェラソース(サルサソースの1種)、とろけるチーズ、サワークリームと一緒に堪能しよう。

ビーフシチューがなかに入っているブリトーランチェロ
肉の旨みがトルティーヤのなかに閉じ込められている

 ブリトーも個性的なメニューで、ブリトーランチェロ(20.95ドル)はトルティーヤのなかに、ビーフシチューが入っている。とろ~りチーズとランチェラソース、サワークリームとベストマッチな味を楽しめる。

ラ・オーラ・タケリア

カパフル通りにあってワイキキから行きやすいロケーション
アルコール類も充実しているバーカウンター

 最後は今年の春にオープンした店。カパフル通りにあって、がんばればワイキキから歩くこともできる。日本人がオーナーということもあり、日本人のDNAがどこか懐かしさを覚える味がするのがここのメキシカン料理。

トラディショナルからリリコイフレーバーまで揃うフローズンマルガリータ
マイタイなどのカクテルも親切なベテランバーテンダーが作ってくれる

 店内はとびきり明るいメキシカンな空気感が漂っている。バーカウンターではカクテルも豊富に揃う。

シャレたプレゼンテーションが独特のウェットブリトー
ライスや肉などの具材がびっしりつまっている

 きめこまやかで美しい盛り付けのカルニタスブリトー(14.50ドル)はトマトソースが少しケチャップのような味わいで日本人にはなじみある味がした。

カルニタスタコスはフレッシュな玉ねぎとパクチーにライムをキュッと絞って
フィッシュタコスは自家製ソースがきれいにかけられている

 大勢で訪れるなら、カルニタスタコス(1個3.75ドル)や自家製ソースをたらしたフィッシュタコス(1個4.30ドル)をまとめてオーダーしてつまむのがお勧め。

店内の個性豊かなインテリアを見るのもおもしろい

 こうした老舗、定番、最新など、ハワイにはメキシカンレストランがまだまだあるので、ローカルたちに「お気に入り」をリサーチしながら、少しずつ制覇していこうと思う。

大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。