ハワイ現地発

【ハワイ現地発】「ラーメンなのに高い」は日本人の感覚!? ハワイで人気のディナーレストラン「ラーメン居酒屋」

ここ数年でハワイでもクオリティの高いラーメンが食べられるようになった(賀正軒)

 円安が進んだ昨年は、「ハワイに行って家族4人でラーメンを食べたら1万円だった!」という情報が日本で飛び交っていたように思う。確かにハワイはラーメンに限らず物価が上がっている。

 一つ気になるのは、そもそも「ラーメン」に対して、日本人とローカルとでは価値観が違う。日本人にとっては「昔は500円で食べられた(もっと安かった!?)」「時間がないからササっとラーメンにしちゃおう」「締めのラーメンでも……」という感覚がある。

日本発だけでなく、ハワイ発祥ラーメン店も続々と登場している

 一方、ローカルは「よし、今晩は家族で"ラーメンレストラン"へディナーへ行こう」という感じになる。以前、ローカルファミリーに「週末はラーメンレストランの○○でディナーだから一緒にどうか?」と誘ってもらったことがある。

 彼らは、まず冷えたビールとププ(ハワイ語でつまみ)をオーダーし、子供もうれしそうに「僕はフライドポテト!」と自分用のププを頼んで、前菜タイムを楽しんだ。そして、メインディッシュのごとく、ラーメンを選ぶときの目は真剣そのもので「ここの店のこのラーメンはね」と、そのこだわりを説明してくれた。そして最後は「アイスクリームも絶品なんだ!」とデザートで締めて、なんとも楽しいディナータイムだった。

「美味しいラーメンといえば日本」というイメージで、日本の伝統を意識したデザインの店内
「日本に行かなくても美味しいラーメンを楽しめる」がコンセプトの「田中ラーメン&居酒屋」

 そんな習慣もあってか、ハワイでは「ラーメン居酒屋」が定着している。コロナ禍で飲食業界が苦戦を強いられるなか、新店舗を次々とオープンさせて世間を驚かせたのもラーメン居酒屋だった。

「田中ラーメン&居酒屋」は、すでにアトランタやシカゴなど米本土で店舗展開していて、ハワイに上陸して瞬く間にカポレイマーケットプレイス、パールリッジセンター、そしてアラモアナセンターと3店舗をオープン。現在は全9店舗を誇っている。

季節限定ラーメンを登場させるなど常に新しいアイデアを提供している

 日本酒など酒類も豊富で、居酒屋メニューは、枝豆、餃子、唐揚げ、たこ焼き、串カツ、フライドポテト、サラダなどが並ぶ。

4種類の野菜と豚肉が詰まった餃子は人気メニューの一つ
一品メニューの数々(写真はコンボメニュー用サイズ)

 メインディッシュのラーメンは、一番人気が豚骨ラーメン。各部位の骨を使うことで旨味とコク、深みを出しつつも、やや軽めに仕上げているという。このほか、あっさり派に向けた鶏だしスープ系や、ワンタン麺、冷やしラーメン、ビーガンラーメンまで、老若男女が楽しめる味を揃えている。

野菜の甘みと深みがあって完成度の高い旨辛クリーミービーガン($15.80)

 先日訪れたとき、ハワイの有名シェフがプライベートで食事に来ていたので、味はお墨付きといえるだろう。

アラモアナセンター店では、平日11時から17時までメインディッシュ(ラーメンまたは丼)、居酒屋メニュー1品、ソフトドリンクのコンボメニュー($19.99)が始まった

 ハワイ大学を卒業した女性オーナーが経営するだけあり、デザートも充実している。ハワイではまだ数少ないミルクレープは自慢のメニュー。

ハワイのデザートのフレーバーで人気のウベと抹茶のミルクレープ($10)

 このほかにどんなラーメン居酒屋があるかというと、長年地元に愛されてきた定食屋「佐野屋」が、ラーメン居酒屋としてオープンした「大野屋ラーメン」。

ゴマの香ばしさとまろやかな豚骨スープとラー油のピリ辛の融合を楽しむ豚骨担担麺($15)

 地元の人が子供連れで訪れるアットホームなラーメン居酒屋「わがや」。

醤油のさっぱりしたキレを感じる東京豚骨スープが人気のわがやつけ麺黒($15.75)

 レンガ造りのカフェのような雰囲気でおしゃれに食事を楽しむ「ラーメン・ビストロ・順風」。

豚骨スープと自家製醤油ダレ、アーモンドなどのナッツの深みを感じる担担麺($14.95)

 2015年に「ラーメンバー」としてオープンし、ハワイに「替え玉」スタイルを浸透させた「ゴールデンポーク・豚骨ラーメン・バー」。

自家製豚骨スープに6種類の魚介、焦しにんにくオイルで風味を足したブラックガーリックつけ麺($14.95)

 新店舗として注目を浴びている「竈ラーメン」も「かまどを囲んでみんなで食事を楽しむ」をコンセプトにオープンしたラーメン居酒屋。

高圧で旨みを出しているスパイシー豚骨ラーメン(昼$18/夜$20)
旨味調味料を使わず2種類の鶏がらで作る柚子塩鶏チャーシューラーメン($17.50)

 どうでしょう? ハワイのローカルファミリーが集まるラーメン居酒屋で、ハワイの食文化を感じながら、ビール、ププ、ラーメン、デザートを楽しむ。お値段以上の価値がある一食になるかもしれない。

完食すると「Aloha!」の文字が!
大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。