週末駅弁
加賀温泉駅「小松しし肉弁当」
2024年3月29日 12:00
近年、ジビエ人気が高まっていると聞きますが、その波は駅弁にも届いているようです。今回紹介する「小松しし肉弁当」は、その名のとおり猪肉を使った駅弁です。
石川県小松市には、北陸地方で唯一、国産ジビエ認証を取得した獣肉処理加工施設「ジビエアトリエ加賀の國」があり、こちらで加工された猪肉を使っているそうです。メインとなる販売駅は小松駅のようですが、今回は加賀温泉駅の売店で見かけて、ジビエの駅弁はめずらしいと思い手にしました。
蓋を取ると、ご飯の上にびっしり盛り付けられた猪肉のスライス肉が目に飛び込んできます。牛肉や豚肉とは違う色合いは、いかにもジビエっぽいと感じます。
この猪肉は甘辛く煮付けられています。猪肉だけ食べてみると、独特の噛み応えのある食感からワイルドさが伝わってきます。味わいは、クセがまったくないとは言いませんが、臭みはかなり抑えられていて、思っていた以上に食べやすく感じました。醤油ベースの甘辛い味わいの奥に、猪肉独特の香りがスッと鼻に抜ける感じで、ジビエ好きにはたまらないでしょう。
そして、お肉の下には大麦を混ぜたご飯が敷き詰められています。おこわに近い食感で、歯応えのあるお肉と一緒に食べるのに最適な印象です。
その横には、猪肉のそぼろが盛り付けられています。こちらはスライス肉よりもややクセが強く、かなりワイルドな味わいです。臭みのあるお肉が苦手という人はちょっと厳しいかもしれませんが、ジビエ好きにはこちらの方がより猪肉のワイルドさが感じられて、ジビエを食べているという印象が強いと思います。
ちなみに、そぼろの横には味付けゆで卵とにんじん、小松菜のナムルが盛り付けられていますが、それらと一緒にそぼろを食べると、クセが抑えられ、かなり食べやすくなります。個人的には、味付けゆで卵と一緒に食べるとまろやかさが増して食べやすいと感じました。
ちなみに、パッケージには歌舞伎十八番の1つ、勧進帳の登場人物である弁慶が描かれています。小松市は、この勧進帳の舞台、安宅の関があることから、勧進帳のふるさと、歌舞伎のまち、として知られています。そして、その勧進帳の舞台となった時代、人々は猪や鹿を食べていたと言われているそうです。そういったことを踏まえてパッケージに勧進帳の弁慶を採用したのだそうです。小松周辺に訪れる機会があれば、この駅弁を手に取って、勧進帳の時代に思いをはせながら楽しんでみてはいかがでしょうか。
「小松しし肉弁当」
価格: 1280円
販売駅: JR加賀温泉駅、小松駅、金沢駅など
購入場所: 加賀温泉駅構内 特設売店
購入日: 2024年3月18日