旅レポ

尾道の「浄土寺」に2夜限定で登場した「DINING OUT ONOMICHI with LEXUS」

2016年3月26日~27日 開催

 広島県尾道市にある浄土寺で3月26日~27日、2日間限定で登場したレストラン「DINING OUT ONOMICHI with LEXUS」が開催された。60名限定というイベントに参加することができたので、その様子をお伝えする。

 イベント当日は、参加者たちが尾道市街を一望できる展望台「浄土寺展望台」に招かれた。尾道の景色と空気とともに、ウェルカムレセプションとして地元の素材を活かしたフィンガーフードなどが振る舞われた。

 メインイベントとなるディナーは、会場を「浄土寺」に移してスタート。お寺という和の空間に洋の雰囲気を持つテーブル席を用意。日が暮れた室内や庭園はライトアップされて、非日常な特別な空間に仕立てられた。

「浄土寺」という和の空間にテーブル席を用意、室内や庭園はライトアップされ非日常な特別な空間に仕立てられた

 コース料理をプロデュースするのはミシュラン1つ星を獲得したレストラン「TIRPSE」の仕掛け人である大橋直誉氏。大橋氏が異なるジャンルから6名のシェフを集めて、尾道の食材を使いながら趣向を凝らした料理を展開した。

1.「V.V.~Vintage Vingear~」食前酒として尾道造酢の60年樽で熟成された御酢が振る舞われた
2.「Japan」しまがき(広島牡蠣の原種)などを使った八寸風の皿。シェフ:「鮨 心白」石田大樹氏
3.「China」山菜やイノシシを使ったよもぎのクレープ。シェフ:「Chi-fu」東浩司氏
4.「France」トマトにハイビスカスエッセンスのソースをかけた一品。シェフ:「Clown Bar」渥美創太氏
5.「Break in the kitchen」ゲンゴロウ米のかまど炊き立てご飯。シェフ:「鮨 心白」石田大樹氏
6.「Okonomiyaki」当日採取した山菜やジビエなどを使ったお好み焼き。シェフ:「パセミヤ」中川善夫氏
7.「Bouillabaisse」瀬戸内の魚介類を使ったブイヤベース。シェフ:「Abysse」目黒浩太郎氏
8.「The Five Senses」生口島シトラスファームで取れたレモンをかじり、緑茶で喉を潤す
9.「Spring」軍鶏を使った シェフ:「Clown Bar」渥美創太氏
10:「Pasture」ヤギチーズのパンナコッタ。パティシエ:「TIRPSE」中村樹里子氏
11:「Blossom」スナップえんどうピュレとビスキュイ。パティシエ:「TIRPSE」中村樹里子氏
コースでは瀬戸内の素材を活かした料理を展開。また、尾道の持つ“フュージョン”感を表現するため6名のシェフを集めた

 コースでは、地元となる瀬戸内の素材を活かした料理が展開され、提供される料理はいずれも味覚や視覚を刺激する魅力を持っていた。また、それぞれにペアリングされたお酒が食欲をそそり、さらに箸を進めさせる。

 食事の途中にはホスト役を担う東洋文化研究家のアレックス・カー氏が「浄土寺」を含めた尾道の歴史や文化について語り、今回のイベントのテーマである“フュージョン(融合)”についてひも解いた。

食事の途中には、ホスト役を担う東洋文化研究家のアレックス・カー氏が「浄土寺」を含めた尾道の歴史や文化について語った

 特設のキッチンでは、シェフやパティシエ達が手際よく料理を仕上げていくようすを目にすることができ、食事を楽しむというよりエンタテイメント作品を楽しんでいるような感覚を味わえ、浄土寺を舞台に特別な体験をすることができた。

イベントは大橋直誉氏が集めた6名のシェフのほか現地スタッフの協力により準備が進められた

DINING OUTの仕掛け人、総合プロデューサーの大類知樹氏に聞いた

 DINING OUTは、食を通じて地方に残された美しい自然や伝統文化、歴史、地産物などを再編集して新たな価値として顕在化させることを目的とした地域振興プロジェクトという。

DINING OUTの総合プロデューサー 大類知樹氏(写真提供:DINING OUT)

 同プロジェクトについて、総合プロデューサーの大類知樹氏は「自分は広告会社で企業のキャンペーン制作など20年近く携わってきて、企業のいいとこ探しをするのがDNAとしてあります。そんな僕らのモノの見方を地域創生に活かせないかなと思っていました。実際に僕らがその地域に入ると地元の人が気付いていないところに目がいったりして、これを世の中に接点を作ることでもっとその地域がチャーミングに見えるんじゃないか? 地域創生に貢献できるのではないかと考えました」と話す。

 プロジェクトでは、これまでに日本各地を舞台にして、2012年の「佐渡」から始まり「八重山」「佐渡」「祖谷」「竹田」「日本平」「有田」に続き、「尾道」は8回目の開催となる。

 開催地の選定について、大類氏は「毎回、いつぐらいの季節で開催するとその地域のよさを抽出できるかということを考えています。最近の開催に関しては自治体の方からぜひ来てほしいという声があり、イベントでは地域の人達とタッグを組んで展開することから、地元の人たちの協力を得やすい熱意の高いところでの開催になっています」と明かした。

ディナーの参加者を迎えるスタッフ。現場には緊張感があった

 プロジェクトでは、開催日までの数カ月間、実際に開催エリアに入って事前にリサーチやロケハンを繰り返すという。今回の開催に関しては、大類氏は「本当は桜が満開となるはずだったのですが、ちょっと時期がずれたようで、それだけが計算違いでした」と話した。

 また、「尾道」がもつ魅力について、大類氏は「ホスト役のアレックスさんも話していましたが、この街の持つ“フュージョン”感というのは面白い部分だと感じました。それは、街中を歩いていても感じるかと思いますが、神社とお寺が一緒に建っているといった、時代のなかで異質なものを受け入れてそれが尾道らしさを作っているという部分ですね。浄土寺のあり方もそうだと思います」と話した。

コース料理をプロデュースした大橋直誉氏(左)。東洋文化研究家のアレックス・カー氏(右)

 そういったリサーチを元に今回の「DINING OUT ONOMICHI with LEXUS」では“フュージョン(融合)”をテーマに掲げた。大類氏は「世界中に紛争があり宗教や文化圏が違うところから対立構造が生まれていますが、尾道のように受け入れて融合していくというスタイルは、世界に発信すべきテーマではないかと考えました」と話し、今回のDINING OUTでは、6名のシェフに集まってもらい1人のシェフでは表現しきれない世界観を表現したという。

普段は地元の飲食店等で働く現地スタッフも多数参加して2日間限りのイベントを作り上げた

 尾道での開催後となる4月1日には、「DINING OUT」のプランニングノウハウを活用して、地域の価値創造に取り組む専門会社「ONESTORY」設立され代表取締役社長に大類氏が就任した。地域創生に必要なものとして、大類氏は「地方創生は自分たちの住んでいる場所にプライドを取り戻すことが第一歩」と語っていた。

【お詫びと訂正】初出時、シェフのお名前等に誤りのある箇所がありましたので修正しました。お詫びして訂正いたします。

レクサスによる「LEXUSドライビングプログラム」も用意

 DINING OUTにはオプションとしてレクサスによる「LEXUSドライビングプログラム」も用意されていた。レクサス車を借り出して尾道周辺を散策してもよし、思いっきりドライビングを楽しんでもよし。おすすめのドライビングコースも用意されていて、今回はしまなみ海道を走破するドライビングコースを体験することができた。

レクサスの試乗受付会場となったONOMICHI U2は、自転車ごと宿泊可能なサイクリスト専用ホテル。そのほか、レストラン、セレクトショップやギャラリー、イベントスペースなどを擁した複合施設となる
今回借りだしたのはレクサス「GS350」
尾道市街を出発して、西瀬戸自動車道を走行、多々羅大橋、来島海峡大橋などを渡り瀬戸内の島々をまわりながら四国に入り、愛媛県の今治城に到着した

 レクサスは、オフィシャルパートナーとして「DINING OUT」をサポートし続けている。レクサスのJマーケティング室長 沖野和雄氏は「レクサスは“AMAZING IN MOTION”と、驚きと感動を与えるブランドをキャッチコピーに展開していますが、このイベントで得られる体験こそが、まさに我々がお客様に提供したい世界観であると考えています。また、私たちは日本発のブランドとして、もっと日本のよさを世界に発信し、日本をよくしたいと思っていまして、レクサスこそサポートする価値があると考えています」とコメントしている。

編集部:椿山和雄