旅レポ
南紀熊野ジオパークで大自然を満喫できる「In the Outdoor白浜志原海岸」でグランピングしてきた
2022年6月14日 10:00
- 2022年5月21日 開業
和歌山県白浜町にある志原海岸に、OUTDOOR TRIPが運営するグランピング施設「In the Outdoor白浜志原海岸」が5月21日にオープンした。
昨今のコロナ禍で、非接触型レジャーとしてアウトドア人気が高まっている。なかでもキャンプ人気はすさまじく、週末ともなればどこのキャンプ場も予約でいっぱいという状況だ。一方で、キャンプ道具を揃えたり、準備に手間がかかったりと敷居が高く、二の足を踏んでいる人も多い。その点グランピングは高いキャンプ道具を揃える必要もなく、テント設営の手間や食事の準備などの煩わしさからも開放され、気軽にそして快適にアウトドアを楽しめるとして近年注目を浴びている。
グランピング施設「In the Outdoor白浜志原海岸」は関西初、国立公園「吉野熊野国立公園」内に立地。この地域は2014年8月に日本ジオパークに認定された「南紀熊野ジオパーク」として、人知の及ばない大地の偉大さを感じることができる人気のスポットだ。
今回は、梅雨入り前の不安定な天気のなか、さっそくこの新しくできたグランピング施設を体験してきた。アウトドアレジャーの最大の泣きどころは天気。天候に左右され、雨ともなれば行動は限りなく制限されてしまう。しかしそこはグランピング。雨でも十分に楽しむことができるので、これからの梅雨時期の参考にしていただければ幸いだ。
In the Outdoor白浜志原海岸へ
まずは白浜町志原海岸を目指す。大阪から阪和道を経由してクルマで約2時間半。南紀白浜空港からもクルマで30分程度の場所なので、レンタカーを利用すれば関東圏からもアクセスしやすい。場所は道の駅「志原海岸」から数分のところ、国道42号線から少し入ったところにある。国道沿いには施設の案内看板がないのと、道が細くて若干分かりにくい。あらかじめ調べた目印を頼りに国道から折れ、細い小道を登っていくとたどり着く。
小道を上がっていった先に開けた場所があり、そこに管理棟でもあるロングハウスが目に飛び込んでくる。駐車スペースは十分にあり広々としている。チェックインは15時からで、まずは受付でチェックインを済ます。
施設利用時の注意事項や説明を受けるとウェルカムドリンクならぬ、ウェルカムお菓子(?)がカゴいっぱいにいただけた。そのほかにも各種アメニティグッズが用意されているのがうれしいところ。
車椅子ユーザーにも対応した充実の設備
チェックインを済ますと、各自利用するサイトへ移動する。まずは施設全体の様子を見ていこう。「In the Outdoor白浜志原海岸」には5つの客室タイプが用意されている。今回は「プライベートキャビン with NORN」というプライベートガーデン付きのコテージに宿泊した。
このほか6〜16名までの大人数に対応するテントタイプ「ヴェナヘイムグランピング・デラックススウィート」、同じくテントタイプで3〜8名に対応する「グランピングテントスウィートダブル」、2〜4名に対応する「グランピングテントスウィート」、そしてアウトドアブランド「スノーピーク」と建築家の隈研吾氏がコラボした「住箱 by snow peak」と、ニーズに合わせたチョイスが可能となっている。
「プライベートキャビン with NORN」は車椅子にも対応している。キャビン横までクルマで入ることができ、クルマを降りると車椅子でも移動しやすいようにコンクリートの通路が設置されている。そしてキャビンへは緩いスロープもあるので車椅子のままキャビン内部へ移動することができる。キャビン前面はガラス張りで開放感たっぷり。そしてキャビン内部の調度品などはシンプルなデザインで統一されていて清潔感のある印象だ。
今回は特別にグランピングテントスウィートの内部も見学させてもらうことができた。グランピングテントスウィートは「In the Outdoor白浜志原海岸」の1番スタンダードな客室タイプで、2〜4名で宿泊ができる。こちらもプライベートキャビン同様にシンプルで清潔感が感じられる。キャビンにはない、凝縮されたプライベート空間の魅力がテントサイトにはある。
また、今回残念ながら見ることは叶わなかったが、木のトレーラーハウスというコンセプトの「住箱 by snow peak」も興味を引く。こちらもテントやキャビンとは違った楽しみ方ができそうだ。また施設内には受付のあるロングハウス、そして3つのタイプの宿泊施設のほかに、サニタリー棟が敷地内のほぼ中心に建っている。ここではトイレやシャワー、女性専用パウダールーム、自動販売機が設置されている。3つあるシャワールームの1つは車椅子対応になっていて、車椅子でも無理なく利用できるように少し広めの造りになっている。
車椅子対応のキャビンからサニタリー棟までは十数mと近いが、残念ながら舗装はされていないため、車椅子のタイヤの種類によっては自力での移動が難しいかもしれない。また、車椅子対応のシャワールームはバリアフリーで段差はないが、手すり等が設置されていない点、シャワールーム内で転倒して中から助けを呼びたい場合に非常ボタンがない点など、ここは改善の余地があるように感じた。
アウトドアレジャーの醍醐味、アウトドア料理を手軽に楽しむ
キャンプの楽しみの1つにアウトドア料理がある。ただ、材料を用意し限られたスペースで下ごしらえして料理するのは大変だ。それもアウトドア料理の醍醐味ではあるが、グランピングではそんな手間を掛けることなく、自分では作れないようなプロの料理人によるアウトドア料理を手軽に楽しむことができる。
「In the Outdoor白浜志原海岸」ではアウトドア料理の醍醐味を感じられるように、プロの料理人が最終の火入れの手前まで調理した状態で用意してくれている。あとは自分たちでグリルするだけでアウトドア料理の楽しさとプロの味を堪能できる。
キャビンに設置されている冷蔵庫にはあらかじめ下ごしらえされた食材が夕食用5品、翌日の朝食用に2品用意されている。どれも地元の食材などをふんだんに使用したレシピ。調理自体はどれも難しいものではなく、メニューに記載されているとおりに火を入れるだけ。時間配分もきっちり記載されているので誰もが失敗することなく美味しい料理を作れる。
冷蔵庫を開けて調理前の料理を見たとき、正直量が少ないかな?と思ったが、まったく問題なくむしろ多いと感じるほどだった。地元のクラフトビールと地元産の食材を使った料理。どれも美味しく幸せなひとときだった。
焚き火を眺めながらゆったりとした時間を楽しむ
キャンプといえばもう1つ、焚き火を忘れてはいけない。最近のキャンプ場は焚き火それ自体が禁止されているところや直火NGなど、なにかと制約が多い。「In the Outdoor白浜志原海岸」では各サイトに焚き火台が設置されているので、思う存分焚き火を楽しむことができる。もちろん焚き火初心者でもすぐに火起こしできるように着火剤も用意されている。夕食を済ませ、焚き火を眺めながらゆったりと過ごしたら、あとはシャワーを浴びて眠りに就くだけだ。
絶景の宝庫! 南紀熊野ジオパークを楽しむ
「In the Outdoor白浜志原海岸」は関西では初となる、国立公園内にあるグランピング施設だ。この地域は「吉野熊野国立公園」に指定されており、2014年8月には「南紀熊野ジオパーク」として認定されている。
志原千畳敷や鳥毛洞窟、志原海岸などのジオスポットが徒歩圏内にある。砂岩と泥岩の折り重なった独特の地層や海食崖、海食洞、波食棚など、長い年月をかけて発達した海岸地形を観察することができる。残念ながらタイミングわるく満ち潮の時間帯だったため、志原千畳敷や鳥毛洞窟には行くことができなかった。干潮の時間帯でないと行けないというのもなんだか秘境っぽくていい。ここはまたの機会にとっておくとして、今回は志原海岸と敷地内近くの展望台、そして「かなたの入り江」をご紹介する。
かなたの入江
徒歩10分ほどのところにある入江。鳥毛洞窟は干潮時しか行くことができない。今回は残念なら断念。
グランピングという言葉は「グラマラス」と「キャンピング」の単語を掛け合わせた造語であることから、どうしても付いてまわる“豪華で贅沢”というアウトドアから少しかけ離れたイメージ。「In the Outdoor白浜志原海岸」は決して都心部から近いわけでもないし、かといって遠すぎるというほどでもない。これからキャンプを始めてみたいという人には入口にもなり得るし、本格派キャンパーの「たまにはゆっくり贅沢をしてみたい、でも贅沢すぎないでほしい」という気持ちにも応える“ギリギリの贅沢”を叶えてくれる。グランピングの魅力と本格キャンプの魅力を絶妙なバランスで実現させた施設と感じた。
In the Outdoor白浜志原海岸
所在地 :和歌山県白浜町日置1875
TEL :0739-34-3311
客室数 :全12棟16室
チェックイン/アウト :15時/11時