旅レポ
LCCでも全機ボーイング 787型機! スクートの快適なシートで台湾を旅してきた(その1)
往路はスクートビズ、復路はエコノミークラスに搭乗
2017年6月14日 00:00
シンガポールを拠点として、多くの海外路線を運航しているLCCのスクート。一般的なLCCは、単通路のナローボディ機を使って短距離路線を中心に運航しているのに対し、スクートはすべての使用機材がワイドボディ(双通路)のボーイング 787型機で、中長距離路線を積極的に展開する点が大きな特徴。LCCのなかでも注目を集める存在になっている。今回、実際にスクートを利用して台湾に渡航してきたので、機材や座席の特徴、機内サービスなどを紹介する。
全機ボーイング 787型機を使用し、快適なシートや豊富な機内サービスを用意
冒頭でも紹介したように、スクート最大の特徴は、全機材にボーイング 787型機を使用しているという点だ。一般的にLCCといえば、エアバス A320型機やボーイング 737型機などのナローボディ機を使用するのがほとんど。そして、よくいわれるのが、座席がかなり狭いという点だろう。実際にLCCのA320型機や737型機では、ほぼ最大限の座席を設置している場合が多く、いわゆるフルサービスキャリアの座席と比べると、シートピッチやシートの幅が狭かったり、背もたれのリクライニング角度が浅かったりする場合がほとんどだ。機材の航続距離も制限され、基本的にLCCは最長でも4時間程度の短距離路線への就航が中心となっている。
それに対しスクートは、ボーイング 787型機を採用しているうえ、エコノミークラスのシートピッチは31インチ(78.74cm)、シートの幅は18インチ(45.72cm)と、フルサービスキャリアとほぼ同等のゆったりとした座席配置になっている。ナローボディ機を使用しているLCCのシートピッチは29インチ(約73.6cm)ほどなので、5cm以上もシートピッチが広いことになる。
また、「スクートビズ」という、上位クラスのシートも設けられている。こちらは、フルサービスキャリアでのビジネスクラスやプレミアムエコノミークラスに相当する位置付けで、LCCとは思えないゆったりとしたシートを採用している。
スクートビズのシートピッチは、最小で38インチ(96cm)と、足を組んでもまだ余裕のある広さ。2-4-2配列でシートの横幅が22インチ(58cm)と、こちらもゆったり。さらに、背もたれのリクライニングも20cmと深く、非常に快適な座り心地になっている。LCCながらこういった快適なシートが用意されているのは、やはり機内のスペースに余裕のある787型機を使っているからこそだろう。
加えて、スクートビズでは機内食とドリンク1本(アルコールまたはソフトドリンク)も付いてくる。多くのLCCでは、機内食やドリンク類は基本的にすべて有料だが、スクートビズならフルサービスキャリアに匹敵するサービスも受けられる。
このほかにも、エコノミークラスも含めてすべての座席に用意されている電源は、エコノミークラスでは有料となるのに対して、スクートビズは無料で利用できたり、機内持ち込み手荷物が2個合計15gまで、受託手荷物も1個30kgまでが無料だったりと、エコノミークラスに対してさまざまな部分で優遇されている。
それでいて、スクートビズの料金はなかなか魅力的だ。もともとスクートはLCCなので割安な運賃が魅力だが、スクートビズの料金でも、同一路線のフルサービスキャリアのエコノミークラス同等以下。これは非常にお得といえるだろう。
シートの快適さだけでなく、機内環境のよさも787型機ならではだ。一般的な旅客機の室内は湿度が20%以下で、時には10%を下回るほど極度の乾燥状態になっているのに対して、787型機では湿度が20~40%程度に保たれているため、肌や喉にやさしい。また、シート上の手荷物収納棚も余裕があり、比較的大きな荷物も問題なく収納できる。
さらに、Wi-Fiサービスが用意され、機内でインターネットアクセスやSNSを楽しめたり(有料)、手持ちのスマートフォンやタブレットを利用して映画やテレビなどのエンタテイメントサービスを利用できたり(有料、スクートビズでは無料)という点も、ほかのLCCにはあまりない特徴だ。このように、LCCの枠を超えたサービスが提供されているのがスクートの大きな魅力だ。
往路でスクートビズの快適さを体験!
というわけで、今回の台湾渡航では、往路のTZ201便でスクートビズに座ってみた。
まず、機内に入って感じたのは、やはりほかのLCCとは一線を画す機内環境だ。とりわけスクートビズは、感覚的にはフルサービスキャリアでのプレミアムエコノミークラスのシートに近いという印象で、これがLCCの機内とは到底思えないほどだった。革張りのシートは座り心地抜群。ヘッドレストも含めて適度なクッション性があり、3時間半ほどのフライトとはいえ、楽に過ごせると感じた。テーブルは肘掛け内に収納されているので、上部を開いて引き出せば利用可能。
スクートビズの座席に座ると、まずウエルカムドリンクが配られる。配られるのは小さなミネラルウォーターではあったが、すべてのドリンクが有料で、持ち込みが禁止されていることも珍しくないLCCでは、これでもありがたい。
そして、離陸後には機内食が配られる。機内食は、温かいメインディッシュとサイドメニューのサラダ、ミネラルウォーター、デザート、そしてドリンクが1本。内容は、21.99シンガポールドル(約1760円、1シンガポールドル=約80円換算)で販売されている「プレミアムセレクション」と同一だ。今回は、メインディッシュに「照り焼きチキンライス」を選択。メニューでは和風となっているが、どことなく東南アジアっぽい印象の味付けがおもしろい。ほかのメニューもシンガポールなどの東南アジア料理が中心になっているのは、シンガポールを拠点とするスクートらしい部分だ。
食事を終えて、せっかくなので機内Wi-Fiサービスを利用してみることにした。機内Wi-Fiの利用は、手持ちのスマートフォンやタブレット、PCから機内のWi-Fiに接続し、表示されるWebサイトからプランごとの料金を支払うことで利用可能になる。料金は、容量20MBのライトプランが5ドル、1時間プランが11.95ドル、3時間プランが16.95ドル、24時間プランが21.95ドル(すべて米ドル)。今回は、3時間半ほどのフライトだったので3時間プランを選択した。
スマートフォンで機内Wi-Fiに接続し、表示されるWebサイトから機内Wi-Fiメニューへと進み、プランを選択してクレジットカードで料金を支払う。すると、支払いが終了した直後からインターネットアクセスが可能となった。
速度はそれほど速くなく、速度計測アプリでは測ろうとしてもエラーになって計測できなかった。とはいえ、速度が遅すぎて使い物にならないということはなく、WebアクセスやSNSの投稿といった程度であれば、まずまず不満なく利用できた。これなら、SNSで家族や友人とコミュニケーションを取るといった程度なら、まったく問題なく利用できるはずだ。料金はかかるが、機内で快適に過ごせるという意味で、機内Wi-Fiの存在はかなり大きい。もちろん、スクートビズだけでなく、エコノミークラスでも利用できるので、スクートに搭乗した場合には、ぜひ試してみてほしい。
エコノミークラスの快適さも申し分なし
続いて、エコノミークラスだ。今回は復路のTZ202便でエコノミークラスを選択してみた。快適さ追求なら往復スクートビズというところではあるが、今回は双方の違いを確認してみたかったので、エコノミークラスを選択。
先に紹介しているように、スクートのエコノミークラスについては、配列やシートピッチなどの情報をあらかじめ得ていたため、いい感じに快適なんだろうと漠然と思っていたが、実際に座ってみると、やはりその考えは正しかった。
筆者は身長が約180cmあるため、ナローボディ機を利用する一般的なLCCのエコノミークラスシートでは、座席に深く座ったとしても、膝が前席に触れそうになるといった感じでかなり窮屈だ。しかし、スクートのエコノミークラスシートは、膝から前席までこぶし1つ以上のゆとりがあった。頑張れば足も組めるほどで、LCCのシートとは思えないほどだ。
エコノミークラスでは、スクートビズのように無料のドリンクや機内食のサービスはなく、シート電源も有料とはなるが、この座席なら個人的に文句はない。スクートが比較的長距離の路線を運航できているのも、ワイドボディの787型機を利用するとともに、ゆったりとしたシートが設置されているからだと、実際に利用することで如実に理解できた。皆さんも、機会があればぜひスクートで、快適かつお得な海外旅行を体験してみてもらいたい。LCCへのイメージが、きっと大きく変わるはずだ。
次回は、桃園国際空港から台北市内への移動や、早朝の帰国便に搭乗するための台北での前夜の過ごし方などを紹介したいと思う。