旅レポ

「光の道」のCMで話題となった宮地嶽神社に行ってみた

JALのCMの舞台に選ばれた福岡県福津市の神社を紹介

 JAL(日本航空)のCMのロケ地としても話題になった「光の道」。とある神社から一直線上に海岸へ伸びる参道、その先に夕陽が沈むシチュエーションが「光の道」として脚光を浴びている。本稿では、年に2回しかその光景を見ることができないという福岡県の宮地嶽神社(みやじだけじんじゃ)に訪れてみたのでレポートしていこう。

宮地嶽神社はどこにある? 「光の道」とは?

このように階段を登り切った場所から、海へ伸びていく参道が見える。この先に夕日が沈む日が年に2回ある

 夕陽が水平線に沈んでいくシチュエーションが印象的だったJALのテレビCMを覚えている読者の方も多いと思うが、あの舞台となった宮地嶽神社は福岡県にある。

 福岡市在住の記者が、実際に現地へ訪れてみたので、写真とともにレポートしていこう。

 具体的なロケーションだが、福岡市中心部から北へ25kmほど行った福津市にある。JR博多駅を起点として電車移動する場合、JR鹿児島本線を利用して福間駅で下車。各駅停車だと40分、快速で30分弱ほど。駅から2kmほどの距離にあり、徒歩でも行けるが、季節によってはタクシーがオススメ。西鉄バスも運行しているが運行本数が少ない。レンタカーで移動するならば、国道3号を北上していくかたちとなり、博多駅からは1時間弱といったところ。

最寄りはJR福間駅。ここから2kmほどの距離に宮地嶽神社がある
福間駅前から路線バスで行くことも可能。バス停名は「宮地嶽神社前」
参道の手前には、無料の大型駐車場もあり、レンタカーでも安心して停められる

 宮地嶽神社が山の上に創建されているところに「光の道」といわれるヒントがある。境内までの階段を登り、振り返ると、海まで一直線に参道が伸びている様子が確認できる。年に2回(2月と10月)、この参道の延長線上に夕陽が沈むことから「光の道」と呼ばれるようになった。

 海まで伸びている参道の先は宮地浜海岸があり、海水浴場やサーフスポット、さらに、近年はカフェなどの飲食店の新規オープンが相次いでいるオシャレスポットでもある。もし、レンタカーで移動する場合は、こちらの海岸線エリアも散策してみることをオススメしたい。

3つの「日本一」を見ることができる宮地嶽神社の魅力

毎年12月に掛け替えられる“大注連縄”

 宮地嶽神社には、光の道以外にも多くのトピックがある。それは3つの日本一。

 いったい何が日本一なのかというと、まず、拝殿に張られている巨大な「大注連縄(おおしめなわ)」。左右の長さが11m、重量約3トンと、圧倒的なサイズを誇る。毎年12月には、地元の人の協力により、掛け替えが行なわれている。厳密には、近年幅が少し狭められ、島根県の出雲大社の方が大きくなってしまったとのこと。

 2つ目に、直径2.3mの「大太鼓」。前後の鼓面には、和牛皮がまるまる一頭分使用されている。

 3つ目は、450kgもの重量をもつ銅製の「大鈴」。高さは約3m。

 大太鼓と大鈴は、専用の堂内に収められており、ガラス越しでしか見ることはできないが、今回は特別に撮影を許可を得ている。

大太鼓は、重さ約1トン、胴径2.3m。軽く突いただけで、深い低音が身体に響く
銅製の大鈴も、普段は堂内に収められている

 さて、ここまででも見どころとしては十分だが、案内していただいた神職の方が「ぜひ」とプッシュするミニスポットも紹介しておこう。

 拝殿のどこかに、小さな「なで牛」の像が佇んでいる。触ると体のわるい箇所が治ると信仰されており、これまで多くの人になでられたせいか、黒光りしている。大きさは50cmほどと、それほど大きくなく、目立たない場所に祭られているので、ぜひ探し出して触っていただきたい。ヒントは、“大注連縄の近く”だ。

光沢が出るほど多くの人に撫でられてきた「なで牛」

 さらに、参拝を済ませたあとに拝殿の裏手に回ると、屋根瓦が金色に輝く御本殿が現れる。これは御環座80周年の節目に、黄金の屋根に生まれ変わったとのこと。ちなみに黄金の箇所は、なんとチタン製。素材フェチは要チェックポイントだろう。

御環座80周年の節目に、チタンで張り替えられた御本殿の屋根瓦

 なお、宮地嶽神社は1年を通して、季節の花を楽しむための展示活動も行なっている。取材時は菖蒲の時期ということで、自家栽培された5万鉢もの菖蒲を展示していた。なお、菖蒲祭り期間中は、敷地内に10万鉢もの菖蒲が飾られるという。

境内のあちこちに菖蒲の鉢が置かれていた。この日も多くの観光客が訪れていた

敷地内には「民家村自然広苑」や「奥の宮八社」などの見どころも

 本殿の裏手に進むと、移築復元された合掌造りの民家土産店や、ミニ動物園がある「民家村自然広苑」が広がっている。いくつかの建物があるが、合掌造りだけでなく「二棟造り民家」「くど造り民家」「鉤屋造り民家」「高床式平柱小屋」と、バラエティに富む建築方式を利用した建物が立ち並んでいる。

工芸品などを販売している店舗や、動物と間近に触れ合えるミニ動物園がある「民家村自然広苑」
拝殿の脇には「奥の宮八社」へ向かうためのくぐり抜け通路がある。ここから徒歩2~3分で、スタート地点に到着することができる

 本殿の奥へ抜けていくと、小さな神社が順に参拝できるようになっている「奥の宮八社」と呼ばれる社が祭られている。

 特に三番社である不動神社は、日本一の大きさを誇る横穴式石室古墳が出土した際に信仰が始まった。ここから出土した金の冠など20点が国宝に指定されている。

奥の宮八社を順に紹介する。一番社・七福神社は、福を運ぶとされる七福神が祭られている
二番社・稲荷神社へと続く
二番社・稲荷神社は、五穀豊穣を願うための食物を守る神が祭られている
三番社・不動神社は、日本一の横穴式石室古墳の中に「お不動様」が祭られている
国宝に指定されている金の鐙(あぶみ)や、大太刀などが出土した場所でもある
四番社・万地蔵尊は、子供の守り神として祭られている社
五番社・恋の宮は、あわしま様(淡島神社)とぬれがみ様(濡髪大明神)が、併せ祭られている。女性の心身内外を守るとされている
六番社・三宝荒神は、台所や調理の神様として信仰されている
七番社・水神社は、大河などがない福津エリアを水枯れから守る神様。大飢饉の際にも、ここ宮地村だけは年貢米を完納できたという
八番社・薬師神社は、薬師如来が祭られており、あらゆる病気や怪我を避けたい人の信仰が強い

オリジナルのスイーツや、周辺エリア散策もオススメ

 宮地嶽神社の最初の鳥居をくぐると、門前町という茶屋や土産物屋が立ち並ぶ通りがある。

 JALのCMにも登場している「松ヶ枝餅」は、味わっていただきたいご当地スイーツだ。表面はパリッと、中は柔らかい小豆餡の入った薄皮焼餅で、食べ歩きに最適なサイズも魅力。多くの店舗にて、通常の白餅と、よもぎの2種類を販売している。価格は120円。

 宮地嶽神社への参拝は、急な階段を経ないと行けないことから、帰りに降りてくると、ひと休みしたいところに、「そういえば焼餅が売っていたな」と、ちょうどよい所に現われてくれる。店の奥にはベンチを用意しているところもある。

表皮はパリッと、中身はしっとりな「松ヶ枝餅」。休憩時にちょうどよい甘さ

 冒頭でもお伝えしたが、福津エリアはカフェなどの飲食店が続々オープンしており、海岸線沿いには女性向けのオーシャンビューを楽しめる店舗が立ち並んでいる。

参道を海岸まで進むと、鳥居が見えてくる。宮地浜海岸沿いには多くのカフェがあり、オーシャンビューを楽しめる

 自由に移動したい人は、レンタカーを手配しておくと、海岸線ドライブを楽しむこともできる。そのまま隣接する宗像エリアへもすぐ移動可能となり、道の駅などでは玄界灘で採れた新鮮な魚介や、495号線沿いから見える古墳群も楽しめる。神社仏閣ファンなら、宗像大社も近い。

 今年の2月には、「光の道」を見るために旅行ファンが殺到し、急遽、宮地嶽神社側で整理券を配るほどの混雑だったとのことで、注目度が上がっている場所でもある。来る10月(今年は10月18日に“夕日の祭”が行なわれる)の時も、混雑が予想されるので、訪れる方は余裕をもっての移動をオススメする。

宮地嶽神社

所在地:福岡県福津市宮司元町7-1
TEL:0940-52-0016
Webサイト:宮地嶽神社

赤坂太一