【イベントレポート】ファンボロー国際航空ショー2016

MRJがヨーロッパ企業から初の受注、リース会社「ROCKTON」と20機の購入で基本合意

2016年7月11日~16日(現地時間)開催

ROCKTON塗装のMRJモデルプレーンを手に記念撮影に応じる、左から三菱航空機株式会社 代表取締役社長 森本浩通氏、ROCKTON President ニクラス・ルンド氏、三菱航空機株式会社 営業本部 営業部 部長 福原裕悟氏

 三菱航空機は7月11日(現地時間)、英ファンボロー空港で開催中の「ファンボロー国際航空ショー」において記者会見を開催。スウェーデンのストックホルムを本拠地とするROCKTONが、MRJを20機を発注するLOI(Letter of Intent:基本合意書)を取り交わしたことを発表した。20機の内訳は確定10機、オプション10機。

 MRJにとっては初めてのヨーロッパ企業からの受注であるとともに、リース会社からの受注についても2016年2月16日に発表した米エアロリースとの基本合意に続いて2社目。MRJは現在407機(確定223機、オプション/購入権184機)で、エアロリースからの20機(確定10機、オプション10機)と今回のROCKTONとの基本合意が確定すれば、447機(確定243機、オプション/購入権204機)の受注となる見込み。

ROCKTONと三菱航空機がMRJを20機(確定10機、オプション10機)購入することで基本合意
最新のMRJの受注状況

 ROCKTONはスウェーデンのストックホルムに本拠地とし、取り扱い最大の航空機がSAAB2000型というリージョナルジェットを中心に据えるリース会社。現在28機を保有し、欧州、北米を市場にしている。

 記者会見で発言したROCKTON Presidentのニクラス・ルンド(Niklas Lund)氏は、MRJを選定した理由として、「快適な客室」「プラット&ホイットニー製のギアードターボファンエンジンによる燃料コスト削減」「同クラス機における長期的な視点での経済性の高さ」「排気規制、騒音規制の厳しい欧州市場との適合性」を挙げたほか、三菱重工業時代から航空産業に携わってきた「三菱」の実績や、長い期間をかけてMRJを開発してきた情熱なども選定の決め手になったとした。

 三菱航空機 代表取締役社長の森本浩通氏は、「欧州のリース会社であるROCKTONからの発注は、ヨーロッパの顧客基盤拡大に勢いがつくもの」として歓迎。今回の基本合意を機に、今後の欧州への販売拡大に期待を寄せた。

 また、MRJのスケジュールについては、従来どおりの見通しを改めて述べた。今年の夏から米国ワシントン州のモーゼスレイク空港を拠点に高頻度のフライトテストに入る。最初の1機を米国に輸送したあと、毎月1機ずつ計4機のテスト機で米国でのテストフライトを実施。型式証明およびローンチカスタマーであるANA(全日本空輸)への納入は2018年半ばを目指す。

ROCKTON President ニクラス・ルンド氏
ROCKTONがMRJを選定した主な理由
三菱航空機株式会社 代表取締役社長 森本浩通氏
三菱航空機株式会社 営業本部 営業部 部長 福原裕悟氏。今回の基本合意について説明した
基本合意書を掲げる森本氏(左)とルンド氏(右)
ROCKTON塗装のモデルプレーン