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平成28年熊本地震の発生から1カ月近く経過した熊本空港を訪ねて
航空便は多くが復旧、航空会社には全国からの応援メッセージ
(2016/5/18 20:06)
- 2016年5月10日 取材
2016年4月14日以降、甚大な被害をもたらしている平成28年熊本地震。特に4月16日未明に発生した本震とみられる地震の影響は大きく、道路、鉄道、航空路と交通インフラが一時的に麻痺に近い状態となった。その後、1週間ほどをかけて徐々に回復。その状況は当誌でも順次お伝えしてきた。発生から1カ月近くが経過した5月10日、一時はターミナルが閉鎖され、すべての航空便がストップした熊本空港を訪問。現在の様子を取材した。
今回、別記事でお伝えしているJ-AIRのエンブラエル 190型機初便の搭乗取材で鹿児島空港を訪れたのを機に、レンタカーを使って熊本空港入りした。ちなみに記者はニッポンレンタカーを利用。同社の熊本空港営業所も一時休業したが、4月19日から営業を再開。乗り捨てにも対応していた。ちなみに、当日は激しい雨で、地震で被害を受けた地域の市町村では避難勧告や避難指示が出されるほどの悪天候だった。
鹿児島空港からは九州自動車に乗って北上。高速道路も大きなダメージを受け、最後に復旧したのは、大分自動車道 湯布院IC(インターチェンジ)から日出JCT(ジャンクション)間で、5月9日の夜のこと。九州道については、4月29日に植木IC~嘉島JCT間の一般開放をもって全線回復となった。
鹿児島空港から熊本空港へ向かう場合は、それぞれの最寄りICである溝辺鹿児島空港ICから、益城熊本空港ICへ移動する。途中の八代ICから嘉島JCTの間も4月26日までは通行止めになっていた区間だ。
この区間のうち、嘉島JCTから益城熊本空港ICの間は、益城バスストップの盛り土流などの影響で完全には復旧しておらず、下り側の2車線を利用した片側1車線の対面通行となっている。この区間は重量制限も行なわれている。さらに、木山川橋による渡河前後約1km区間は制限速度も20km/hに制限。その前後も40km/h、50km/hへ段階的に制限している。
一部に閉鎖エリアは残るが復旧が進む熊本空港
熊本空港は、4月16日未明の地震で天井が崩落し、ターミナルビルが一時完全に閉鎖され、すべての航空便がストップした。その後、4月19日からターミナルの一部が回復し、現在は一部便を除いて国内線の多くの便が復旧している。というのが遠くから見ていて分かる状況だ。
実際に訪れてみると、航空会社のカウンターは平常どおり動いている様子。写真では乗客が少ないように感じられるが、ゴールデンウィーク中は多かったものの、明けて2日後ということで一段落している状況とのことだった。
崩落したと伝えられた天井も、その様子を想像できないほどに復旧していた。ただ、崩落箇所近くにある看板は、フレームの歪みがあるために取り外して修復する予定になっているそうだ。
ただ、ターミナル1階の中央部や、到着口側のエスカレータ、一部店舗は今も閉鎖されている。1階の中央部閉鎖は、出発口寄りのエリアにJAL(日本航空)、ANA(全日本空輸)、FDA(フジドリームエアラインズ)、ソラシドエアのチェックインカウンターや仮設の案内所、到着口側にジェットスター・ジャパンのチェックインカウンター、宅配便などの受け付けカウンター、レンタカーの受け付けカウンターと分かれており、エリアをまたぐには一度屋外に出る必要がある。到着口側のトイレも使用不可となっており、このエリアの閉鎖は利用者への影響も大きそうだった。
また、保安エリア内ではJAL、ANAともにラウンジが被害を受け、JALラウンジは5月11日から一部復旧、ANAラウンジは依然として閉鎖が続いている。
同空港は鉄道駅が乗り入れていないので、公共交通機関としてはバスやタクシーを利用して移動するのが主流。バスは減便による特別ダイヤや迂回運行はあるもの各路線で再開しているとのことだった。
ちなみに、JALとANAのカウンターには、他空港のスタッフから届いた応援メッセージを掲示していた。JALは福岡空港スタッフ、ANAは羽田空港スタッフからの寄せ書きを掲示していたが、両社の事務所内には他空港からの応援メッセージであふれていた。
ANAはゴールデンウィーク以前に、出発する飛行機に向かって「応援ありがとう、がんばるけん」といったメッセージを駐機場で掲示したほか、取材日は大雨の影響で見送られたとのことだが、東日本大震災でも実施した除雪車の給湯機能を利用したお風呂の提供を開始している。