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羽田~長崎便就航10周年を記念してソラシド エアが遊覧飛行

長崎県民を乗せ空から我が街を眺めるスペシャル企画

2015年10月3日開催

 ソラシド エア(スカイネットアジア航空)は羽田~長崎便就航10周年を記念して、「空の日」でもある10月3日に、長崎県在住者を対象とした遊覧飛行を実施した。今回の遊覧飛行は、ソラシド エアの就航10周年と長崎空港開港40周年という節目が重なり、同社としても長崎県への感謝のかたちとして今回の遊覧飛行が企画されたとのこと。当日は820組もの応募の中から抽選で選ばれた100組200名が参加。応募倍率は約8倍と反響が多く、当初の70組140名より参加枠を増員させている。今回は、その遊覧飛行の午前の部に同乗することができたので、リポートする。

受付は長崎空港の国際線カウンターにて行われた
出発ゲートの案内ボードの行き先は「長崎」となっていた
今回の遊覧飛行に使用された機材はボーイング737-800機の登録記号「JA807X」

 午前の遊覧飛行は10時30分に出発。9時過ぎには、長崎空港の国際線カウンターに当選ハガキを手にした親子連れが列をつくる。地元テレビ局などの取材陣も、小さな子どもにインタビューを行っている姿が見受けられた。10時にはすべての参加者が受付けを終えて、階上に移動して保安検査場を通過、7番ゲート前でしばし待機。

 参加者全員が出発ゲートのロビーに集まり、程なくして機内への案内がはじまりボーディングブリッジを進む。行き先が表示されている案内ボードには「10:30 長崎」の文字が表示されていた。今回使用される機材は、ボーイング737-800機の登録記号「JA807X」となった。ソラシド エアの所有機材は、保有するすべてが737-800型機であり、登録記号の末尾1Xからはじまり12Xまでの合計12機の737-800型機を運航させている。平均機齢は2.2年と世界的にみても新しい機材を所有する航空会社でもある。

離陸前の機内はリラックスした雰囲気

 乗客と報道陣が機内に乗り込み離陸までのあいだ、客室乗務員は写真撮影のサービスを行い、機内はリラックスムード。しばらくすると機長からの機内アナウンスがあり、「今回は3名の機長が飛行機を飛ばします、途中に見えてくる長崎の様々な建物やエリア、飛行機がどういう状態で飛んでいるのかを、逐一説明していきます。ちなみに、今日乗務する4名の客室乗務員は全員長崎県出身者です」と、小さな子どもたちにも分かりやすい言葉で説明しているのが印象的だった。

 4名の客室乗務員の自己紹介が始まり、「JA807X」のトーイングが始まる。4名すべての紹介を終えると、滑走路への移動がはじまり機内安全の説明がはじまる。ここは通常運行と同じ内容。「当機は、32滑走路から離陸します。通称スリーツーと呼びますが、これは方位の向きを示します。ただいま着陸してきましたスカイマーク機が滑走路からいなくなったのを確認したら離陸いたします」と説明。10時51分、滑走路から「JA807X」が無事、離陸した。

離陸直前、着陸してきたスカイマーク機を確認して32滑走路へ
無事、離陸し大村湾の上空へ
遊覧ルートは長崎県の代表的な観光エリアの上空

 離陸前には機長から「離陸時のスピードは140ノット、時速になおして250km/hで浮き上がります。今日は1600mという通常時の1/8の高さ、時速450km/hで運航いたしますので、名所をじっくりご覧いただけると思います」とアナウンス。さらに、「この飛行機は、燃料を2万6000ポンド積むことができます。今日は5000ポンド、ドラム缶で75本分の燃料を消費します」と分かりやすい説明もあった。

 大村湾に浮かぶ長崎空港を飛び立った「JA807X」は、まず、進路をそのまま北西にある佐世保エリアに。大崎半島、ハウステンボス、佐世保市街地の順で遊覧飛行が進行。半島や小さな島々が入り組んでいる長崎県の地形が上空からだとよく分かる。

大村半島。長崎県立大村湾自然公園大崎くじゃく園や、大崎オートキャンプ場がある
ハウステンボスを上空から見る
港を中心とした佐世保の街を一望

 そこから機体は左旋回し、南東に向きを変え長崎市街地方面に。しばらくして世界遺産に登録された端島(軍艦島)が見えてきた。高度を760mまで下げ、グルっと島を1周するサービスも。左右の座席に座る乗客への配慮も抜かりない。737-800機は、左右3列ずつのシート配置がされている機体だが、ソラシド エアのスタッフによると、「ゆったり外の風景を楽しんでもらうイベントですので、通路側のシートは使用せず、ペアでじっくり楽しんでいただく」とのことだった。風景を楽しむ遊覧飛行ということもあり、小さな子ども連れの家族らに風景を楽しんで欲しいという配慮が感じられた。

世界遺産に登録された炭鉱の島「軍艦島」が見えてきた

 機体は、そのまま橘湾を東に進み島原半島に向かう。有明海側に抜け、島原市側の海岸上を沿うようにして南下。右側の窓には雲仙普賢岳(1483m)が山頂まで確認でき、1991年の6月3日に発生した噴火による大火砕流痕の全貌も上空から確認できた。ちなみに海岸まで達した火砕流痕の下流側にある「道の駅みずなし本陣ふかえ」には土石流による被災家屋が屋外展示されている。その周囲にも「雲仙災害記念館」など、災害の記録資料を確認できる施設がある。

 機長からは「たいへん痛ましい災害ではありましたが、本日こうしてお客様といっしょに上空から眺めることができるのは貴重なことです」と語ってくれた。そこから「JA807X」は島原半島を時計回りに進み、温泉エリアである小浜地区から、長崎空港へ戻るかたちに進路をとる。

普賢岳周辺が見えてきた
山頂の高さは1483m。ほぼ同じ高度で飛行
島原城が確認できた。ここにはキリシタン資料館がある
東側から普賢岳の火砕流痕を望む
こちらは南側から見た状態。火砕流の規模の大きさがよく分かる
島原半島を1周し長崎空港へ戻る進路へ。再度、橘湾を通り抜けていく。島原半島の西側には小浜市の温泉街がある

 長崎空港に近づくと、「滑走路上を1度通り抜けます」と機長からローパスの説明があり、200フィート(約61m)まで高度を下げた「JA807X」は、長崎空港滑走路上空を通りぬけ、左旋回。その後、600フィート(約183m)まで上昇し、着陸態勢に入った。

1度、長崎空港上空をローパス
再アプローチのため、左旋回。右手には琴ノ尾岳(451m)が見える。高度はすでにそれよりも低くなっている
長崎空港から放水アーチのサービスで遊覧飛行が終了
最終アプローチから、長崎空港へ着陸。滑走路の地表位を示す「32」の文字が確認できる
到着ゲートに戻ってくると、消防車による放水アーチが行われた

 最後の旋回を終え、11時30分に「JA807X」が長崎空港に着陸。40分の遊覧飛行が終了した。

 駐機場に戻ってくる際、長崎空港からは放水アーチのサービスが行なわれた。これは午前の部だけに行われたもので、筆者も機内より体験することができた。機体が停止後、「今後も楽しい企画を考えておりますので、今後ともソラシド エアをよろしくお願いいたします」とのアナウンス。ドアが開き遊覧飛行が終了した。帰りのボーディングブリッジでは参加者へ記念品が配布され、大人も子どもも大満足の表情を見せていた。

 長崎便は順調に乗客増で推移しており、今後も観光客やビジネス用途での需要が増えていくだろうとの説明があった。九州のローカルエアラインとして、人の流れを効果的にサポートしていきたいという勢いを感じられたイベントであった。

ボーディングブリッジの窓からは、3名の機長が笑顔でサービス
飛行機を降りてきた参加者には記念品が手渡された
記念品はオリジナルのノート、ペン、搭乗証明書
長崎県出身の客室乗務員。機内アナウンスでは長崎弁に統一した喋りで、参加者から笑いをとる一幕もあった

(赤坂太一)