ニュース

りんかい線の新型車両71-000形が運行開始。出発式で西倉社長「臨海地域を支える交通機関としての使命果していく」

2025年10月1日 運行開始
71-000形による最初の営業列車の出発に先立ち、東京テレポート駅の構内で出発式が行なわれた

 東京臨海高速鉄道は10月1日、臨海副都心線(りんかい線)の新型車両、71-000形(ななまんいっせんがた)の営業運行を開始した。同線では1996年の開業以来、70-000形(ななまんがた)を使用してきたが、同車の老朽化に伴い、置き換えのための新造車両を投入する運びとなった。

 71-000形は10両編成で、2025年度に3編成、2026年度に3編成、2027年度に2編成、合計8編成80両を揃える計画となっている。これに伴い、70-000系は全車が引退となる。すでに一部の車両は引退済みだ。

最初の列車は、東京テレポート駅が始発となる1690T列車。車両基地が東京テレポート駅と天王洲アイル駅の中間にあるため、そこから出庫してくると、結果として東京テレポート駅が始発となる
出発式に先立ち、車両の概要を紹介するビデオが放映された
普段はうしろから覗き見るしかない、運転台の模様も

 こうした一般車の常だが、デザイン面の工夫は主として前頭部で顕著なものとなる。71-000形では、「海や波のおおらかさを取り入れた前面形状」「横方向への広がりを強調する、前面上部のひさし形状」「優しい微笑みをイメージしたカラーリング」といった特徴がある。イルカのような顔にも見える。

今回は出発式の模様しか取材できなかったので、報道関係者に配布された71-000形のパンフレットから。ステンレス車体に青を基調とするデザインは70-000形と共通するが、イルカっぽい“顔”は新たなチャームポイントとなる。また、広幅車体になったので、同じ編成両数でも収容力はアッブする
71-000形のパンフレットに載っている車内の写真。端部の席に座っている乗客と、その横の立客の干渉を防ぐ大型袖仕切は、今では標準的な装備。もちろん、バリアフリー設備の強化も図られている
こちらは、71-000形と入れ替わりに引退する70-000形

臨海地域を支える新たな交通機関として

 出発式では最初に、東京臨海高速鉄道 代表取締役社長 西倉鉄也氏が挨拶に立った。続いて関係者によるテープカットが行なわれ、地下のホームに場を移したあと、飯島管理駅長による出発合図の下、初列車となる1690T列車は定刻の16時07分に新木場駅に向けて出発していった。

 出発式と出発合図では、東京臨海高速鉄道のキャラクター「りんかる」も登場して場を盛り上げた。

東京臨海高速鉄道株式会社 西倉鉄也氏「臨海地域では、明後日(10月3日)に、多目的次世代ホール『TOYOTA ARENA TOKYO』が開業するほか、お台場海浜公園では東京の新たなランドマークとなる世界最大級の噴水『ODAIBAファウンテン』の整備も進められている。安全・安定輸送に加えて安心の提供、サービスの向上を図り、臨海地域を支える交通機関としての使命を果たしていく」
テープカット。左から順に、東京臨海高速鉄道株式会社 常勤監査役 上本敬氏、代表取締役専務 谷本俊哉氏、西倉社長、常務取締役 西尾佳章氏、運転・車両担当部長 高藤敏弘氏。そして左端には、りんかる
初列車は16時07分発。出庫してきて据え付けとなるので「当駅発」の表示がある
そして現車が姿を現わした。第1編成(編成番号Z11)である。70-000形では側面の腰部と窓上に青帯を通していたが、71-000形では側窓から腰部にかけての広い範囲を青のラッピングとした。このため、可動式ホーム柵越しでも青い部分が見える
飯島管理駅長とりんかるが並んで、71-000形をバックにしてのフォトセッション
そして飯島管理駅長による出発合図
出発合図のあとは、りんかるともども走り去る列車に向けてお見送りとなった
そして1690T列車は無事に、新木場に向けて走り去る
車端部では、号車番号、車両番号、車椅子・ベビーカーのピクトグラムをひとつにまとめた標示が行なわれている。こうした標示も、可動式ホーム柵の陰にならないように、窓上に配するのが一般的になってきた

71-000形の乗車チャンスは?

 前述のように、71-00形の全編成が出揃うのは2027年度の話で、2025年度は3編成にとどまる。だから当面、71-000形に“あたる”確率は低い。どうしても71-000形に乗ってみたいという場合には、運用情報投稿サイトやSNSの情報を頼りにする必要があるだろう。

 りんかい線は大崎でJRの埼京線とつながっており、さらに大宮から先は川越線に乗り入れて、新木場~大崎~川越間で相互直通運転を行なっている。そのため、りんかい線にはJR東日本のE233系7000番代も乗り入れてきており、むしろそちらの方が本数が多い。

これがJR東日本のE233系7000番代。りんかい線だけでなく、相鉄への直通系統でも使われている
71-000形の1690T列車に先立ち、数本の列車が先行したが、いずれもE233系7000番代であった

 なぜ両社の比率が同等にならないのか。それは、東京臨海高速鉄道の車両がJR線内を走る距離が、JRの車両が東京臨海高速鉄道の線内を走る距離よりも大幅に長いことと関係がある。

 大崎~大宮が36.9km、大宮~川越が16.1kmで合計53.0km。対してりんかい線は新木場~大崎の12.2kmで、4倍以上の差がある。その差に合わせて、JRの車両がりんかい線内を走る頻度を高くすると、お互いに他社線内を走る距離の総計を同じぐらいにできる。こうすることで、車両の貸し借りを相殺する仕組み。

 こういう事情があるため、「JR車の方が頻繁に来る、りんかい線」という図式になる。しかも、りんかい線の車両全体のなかで71-000形が占める比率はまだ低い。あと2年ほどが経過して、全車の置き換えが完了すれば、“あたる”確率は上がる。それまで当面は、“レアもの”状態が続きそうだ。

営業運行をはじめた71-000形