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首都高、2040年までに渋滞半減目指す「快適走行ビジョン2040」公開。寺山社長、民営化20周年で決意新たに

2025年1月24日 実施

首都高速道路株式会社 代表取締役社長 寺山徹氏

 首都高速道路は1月24日、霞が関の本社で定例会見を行なった。登壇したのは代表取締役社長の寺山徹氏。

 新設・更新事業の進捗については、日本橋区間の地下化に伴い、将来の地下道路と干渉する都心環状線の既設橋脚を撤去する必要があるため、事前に上部工を受け代える仮受け橋脚の施工に年度内から取りかかる。

 工事の概要図によると日本橋付近に仮4005から仮4008までの6本の仮受け橋脚を設置する計画で、完了後に既設橋脚の撤去、シールドマシンによる地下道路の掘削を進める。なお、仮受け橋脚は日本橋区間の地下化が完成する2040年度(予定)までには撤去される。

 また、すでに発表済みだが、地下化に伴い八重洲線の一部を改築する必要があるため、4月上旬から2035年度までの長期通行止めを実施する。同じタイミングで東京高速道路(KK線)は廃止となる。

日本橋区間地下化の進捗

 現在35か所で運用しているETC専用入り口の拡大については、半導体の供給不足により車両検知機の整備に遅れが発生していたが、この納入が再開。2025年度から新たにETC専用入り口の拡大に着手していく。

 工事は、5月下旬から入り口を通行止めしたうえで年度内に55か所をETC専用化し、計90か所まで拡大していく。なお、首都高全線の料金所数は179だが、2028年春までには本線料金所などの一部を除いて、ETC専用化を目指していく(全体の約9割)。これにより、現状発生しているETC車と現金車との錯綜や、停車・発進の繰り返しが削減される見込みで、ひいては渋滞緩和につながっていく。

 ETC専用化によって料金所も新しくなり、無人化のため料金所ブースを撤去、不都合が生じた際にドライバーと対話するためのテレビインターフォンを整備するほか、ETCカードの挿し忘れなどで料金収受が正常に行なえなかった場合は、ゲートの直後に追加設置したアンテナで「リトライ」を行なうという。

 寺山社長は今後の広報について、現在はETC専用化の広報・工事の周知などに努めているが、現金のみの車両に対しては、(どこなら現金が使えるかなど)広報の仕方を検討していくと述べた。

 2025年度内にETC専用化する料金所55か所の具体的な所在については、関連記事を参照していただきたい。

2028年春までに首都高料金所のETC専用化を完了へ

 首都高は民営化から20年を迎えており、この四半世紀で中央環状線の全通やジャンクション改良などで渋滞を半減させてきたが、次の20年に向けてさらなる渋滞削減を掲げ、「快適走行ビジョン2040」を策定した。

 ビジョンには3本の柱と21項目の具体案を用意しており、前述したようなすでに事業中の施策のほか、新規道路の検討や出入口の新設・再配置検討、ロードプライシングの導入、ETC2.0やナビアプリと連携した情報提供、デジタルツインによる交通マネジメントの高度化など、道路整備はもちろんITの活用によって、2040年までに現状からの渋滞半減を目指す。

 寺山社長は会見の締めくくりに「首都高は今年、民営化20周年を迎えている。お客さま第一の理念で、首都圏の安全円滑なネットワーク・豊かで快適な社会の創造に向けて貢献していくという使命をしっかり果たしていきたい」と改めて決意を表明した。

【お詫びと訂正】初出時、記事タイトルに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。