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手書き不要、スマホで完結するヤマトの送り状発行システムを実際に見てきた。外国人旅行者・施設スタッフの負担軽減も
全国300か所に「簡易伝票発行ツール」
2024年9月30日 18:58
ヤマト運輸は、ホテルや空港、観光施設のカウンターでスマホから送り状を発行できる「簡易伝票発行ツール」の提供を10月1日に開始する。10月末までに全国約300か所に導入を予定しており、対象サービスは宅急便と空港宅急便(クール宅急便、着払いなどは不可、届け先は日本国内に限る)。
簡易伝票発行ツールを使用する流れとしては、まず専用端末が設置されたホテルや空港のカウンターで、提示されたQRコードを読み込んで専用Webサイトを開く。次に荷物の届け先や自身の情報を入力し、その情報が格納されたQRコードを作成する。そして端末にQRコードを読み取らせ、伝票に印刷するという流れだ。
その後は通常の宅配便と同様に荷物の大きさをもとに料金を算出し、料金を支払って荷物を預ければ完了。専用Webサイトは日本語と英語の2か国語のみの対応だが、今後のニーズによって対応言語を増やすとしている。
簡易伝票発行ツールの開発する背景としては、観光客がスーツケースなど大きな荷物を次の目的地まで届けたいというニーズによるところが大きい。年を追うごとに増えている外国からの観光客にとって、日本語で書かれた宅配伝票に難しい地名などが入った目的地を記入するのはとにかくハードルが高い作業になる。それをサポートするホテルスタッフにとっても時間と労力を割かれてしまい、サービスの質が低下することに頭を悩ませている。
実際に2023年の秋口より試験導入している「ヴィアインプライム赤坂〈茜音の湯〉」においては、伝票を作成して荷物を預かるまで平均で4~5分、長いと10分ほどの時間がかかっていたのが、簡易伝票発行ツールを使うようになってからは、平均で1分45秒ほどに短縮されたそうだ。
また、宿泊日や目的地の距離によっては指定日に届けることができない場合はエラーとしてアナウンスしてくれるので、発送トラブルの減少にもつながるとしている。
サービス開始当初はホテルへの導入がメインとなるが、今後は観光地の土産店への導入も積極的に働きかけるとし、昨今目立つオーバーツーリズムによる公共交通への負担も“手ぶら”にすることで軽減していきたい考えだ。