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青春18きっぷ発売告知が例年より遅くなったのはなぜ? JR東日本に聞いた

「青春18きっぷ、発売されないのでは?」不安にかられた数日間

「青春18きっぷ」の発売時期の告知が、例年より遅い日程であったことが話題を呼んでいる。

 発売時期発表の際にはポスターなども(今年は)同時公開されており、従前から発売が決定していたことは明らかではあるが、「発売されないのでは?」と先走って夏の旅行プランを考え直そうとする声があるなど、長年の18きっぷユーザーは6月19日の発表まで気が気でなかっただろう。

 なぜ発表がこの時期になったのか。冬季の発売や、来年度以降の発売はあるのか。JR東日本に聞いてみた。

「青春18きっぷ」発売告知について

 過去の18きっぷの発売時期をさかのぼると、2001年、2012年~2014年には先に春のみ発売を告知、夏と冬は6月に発売を発表している。このうち、もっとも発表が遅かったのは2001年の6月18日。また2014年には6月17日に、消費税引き上げに伴う値上げとともに発表。2000年以降の発売の告知で見ると、今回は一番遅かった。

 これについてJR東日本は、「各社調整のうえで、発表がこの時期になった。発表が遅れたわけではない」という。

今後の「青春18きっぷ」発売予定について

 過去の事例では、2002年には11月15日に冬の発売を告知、2013年には11月18日に冬、春の発売を告知している。

 2024年冬以降の継続販売に関しては「現時点でお答えできることはない。廃止の予定も現時点ではない」という回答であった。冬シーズンの発売を信じて待ちたい。

「青春18きっぷ」期間中の検札に関して

 前回の記事では、JR各社の無人駅化やチケットレス特急券での車内改札省略で、「乗車券を買わずに乗車する人がいるのでは」「18きっぷのスタンプを押さずに無人駅から乗降する人がいるのでは」という疑念について触れた。

 この点についてJR6社に見解を聞いたところ、JR東日本では「詳細について答えることはできないが、必要に応じて車内での検札などを行なっている」という回答だった。

 ほか各社の回答は、届き次第追記させていただきたい。

【追記】

JR西日本

 ご利用の際は「青春18きっぷ」とは別に普通乗車券、特急券、急行券等が必要となります。なお、お手持ちのきっぷに不足がないか、誤った列車にご乗車されていないかなどを確認させていただくために、状況に応じて車内改札などを実施しています。

JR東海

指定席・グリーン席の検札はしています。

JR九州

「青春18きっぷ」に限らず、不定期に検札を行なったり、不正乗車を防止する啓蒙を行なっています。

JR北海道のニュースリリース。「指定席は車内改札が省略」という一文が入っている

これからも続くか18きっぷ。いっそ「青春」に立ち返ってみては

 発売告知が例年より遅い時期となったことで、多くの人々が、その行く末を心配した18きっぷ。こういった廃止の噂は以前からあるが、それでも販売は継続されている。

 しかし発売から約40年、ローカル線の廃止や新幹線の並行在来線の第3セクター鉄道化で、18きっぷ1枚で行けるエリアもずいぶん少なくなった。また前回の記事で触れたとおり、各地の無人駅化や特急列車の検札省略など、18きっぷと相性がよくない合理化も進んでおり、将来的にこのままの価格・スタイルで存続するかと言われれば、疑問符が付く。

 18きっぷももともとは「若いうちに旅の習慣をつけてもらう」という国鉄の須田寛旅客局長(のちのJR東海社長・会長)の発案が実現したものだ。それなら、立ち上げ当時の意義に立ち返って、若者向け(10代、20代)に限定するのもよいのではないか。

 現状では航空が「スカイメイト」「スマートU25」などで若者向けの割引施策があるのに対し、JR各社は「ジパング倶楽部」「おとなの休日倶楽部」などの一定年齢層以上向け、「ジャパンレールパス」など訪日客向けの施策が目立つ。20年後、30年後にいまの若年層にきっぷを買ってもらうためと割り切れば、フリーパスをお得に提供する名目になるだろう。

 また、各社のローカル線が縮小しつつあるなら、路線バスの一部区間や転換3セク、廃止転換バスを巻き込んで、「若年層の乗り物の利用を習慣づける」(鉄道にこだわらず、公共交通全体)という大義名分をもとに、各地のステークホルダーを調整できないものか。いまでも、JR西日本のWebサイト(tabiwa)限定の各種フリーパスは、バスや船をうまく組み合わせて、鉄道に限らない広い到達範囲を確保している。

 JR6社共通が難しいようなら1社単位でもよいし、何ならかつてのワイド周遊券のように、相応の割引で買える「ゆき券」「かえり券」をセットにするという手もある。もちろん、「みどりの窓口」や有人改札などに負担をないオンライン限定・チケットレス乗車(交通系IC・QRコード)で、JR四国の「若者限定フリーきっぷ」「ヤングウィークエンドカード」(2017年終了)のように、年齢を確認したうえでの事前購入のような事例もある。

 いま18きっぷシーズン中には「ローカル線の1両の列車に載せきれないほどの乗客が殺到する」「1か所しかない有人改札に長蛇の列」など、年齢層が広く、利用者が集中し過ぎるが故の光景も見られる。

 それなら、「安価に旅を楽しんでもらう」という大義名分の立つ若年層にターゲットを絞り、それ以外はほかのフリーパスや、相応の料金を支払って“脱・18きっぷ”の旅をするのもよいのではないか。