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今年もGWにKK線を歩けるイベント「銀座スカイウォーク2024」開催。高速道路上からしか見れないスペシャルな景色を堪能してきた!
2024年5月7日 12:15
- 2024年5月4日~6日 実施
東京都と東京高速道路(KK線)は5月4日~6日の3日間、都心を走るKK線の自動車通行を止めて未来の歩行者空間を体験するイベント「GINZA SKY WALK 2024」を開催した。KK線を歩くイベント「銀座スカイウォーク(銀スカ)」は2023年に続いて二度目となる。
このイベントは、新橋・銀座・有楽町・京橋を結ぶKK線を廃止し、緑に囲まれた遊歩道へと再生する「Tokyo Sky Corridor(東京スカイコリドー)」プロジェクトの一環として、これからの未来像を多くの人に知ってもらうことを目的にしている。KK線の全長2kmのうち1.8kmを歩き、都心の景観を眺めながら、特設ステージでの演奏、次世代モビリティ試乗体験、子供の遊び場、アート体験などが楽しめる。
昨年と大きく変わった点は、参加者枠を3000人から1万5000人に増やし、朝と夜のプログラムを増やしたことだ。昨年は3000人の枠に対して2万7000人の応募があり、「当たらない。参加枠を増やせないのか」と意見があったように9倍の狭き門だった。その要望に応え、今年は1万5000人の枠を用意したところ、2万9000人の応募があったとのこと。募集時期や募集形態の違いがあることから一概には比較できないが、興味を持った人が参加しやすい環境になったのではないかという。
日中開催されるGINZA SKY WALK 2024は無料だが、ランニングやヨガを楽しめるモーニングプログラムは1100円、1ドリンク付きで夜景を楽しむナイトプログラムは1650円の有料イベントになっている。
GINZA SKY WALK 2024は、新橋入口からスタート。勾配のある車道を徒歩で上がっていく感覚はなんとも不思議なもので、歩行者天国を歩いているような「制限されている場所を自由に歩ける」特別感に後押しされる高揚感もミックスされる。そして、本線に入って見渡せるようになると、銀座周辺の景色が飛び込んでくる。クルマのなかから見える景色とは一味も二味も違うのは、開放感と徒歩でのんびり進めるからなのだろう。場所によって高低差はあるものの、おおよそ8mの高さがあり、ビルだと3~4階ほどの高さから見える街の景色は新鮮に感じる。
ところどころにKK線の歴史や見どころ、道路の下にある高架下ビルの紹介パネルなども設置されている。首都高とは違い、ビルのテナント収益で運営されているKK線ならではの紹介といえる。飲食店が多いことから、美味しそうな匂いがそこかしこでするのもスカイウォークならでは。
右カーブにさしかかると、その先には多くの人がスマホやカメラを構えて立っていた。そう、ここは新幹線と並走する新橋~日比谷区間で、同じ高さで頻繁に行き来する新幹線を間近で見ることができる注目のスポット。子供も大人もその迫力に見入っていた。
日比谷近辺にはイベントエリアの一つであるモビリティエリアを設置していた。こちらでは、未来のモビリティを展示していたり試乗体験ができるとあって、多くの人が足を止めていた。なお、KK線の再生後は遊歩道になる予定だが、歩行をサポートするモビリティの導入も計画には入っており、いち早く体験できる場でもあった。
晴海通りを越えあたりからは、知的好奇心をくすぐる遊び場としてプレイエリアを設置していた。東京都が100年先を見据えて、東京の緑を「まもる」「育てる」「活かす」取り組みを紹介した「東京グリーンビズ」のブースをはじめ、子供向けのワークショップなどを展示していた。
少し歩を進めた先の有楽町エリアでは、未来のKK線が目指す社会を体験できるエシカルエリアが置かれていた。再利用人工芝、サステイナブルステージでの演奏やパフォーマンスライブ、地域産品ショップ、街とアートの展示などが楽しめるゾーンになっていた。また、地元町内会による神輿のパフォーマンスが始まると、多くの人が喝采を送っていた。
東京国際フォーラムを左に見ながら右カーブを歩いていくと丸の内エリアとなり、ゴールの京橋までは400mほどで行程もあとわずか。このイベントのために建てられた終日通行止めの案内標識、上から眺める銀座の歩行者天国など、ここでしか見れない景色をじっくり堪能しながらゴールまで歩を進めた。1.8kmとそれなりの距離だが、目新しい景色やイベント展示などもあり、あっという間に終わってしまったというのが感想だ。
19時ごろからは、東京都知事の小池百合子氏、東京高速道路 取締役社長の加藤浩氏、KK線再生プロジェクト 共創プラットフォームコンダクターの齋藤精一氏によるトークショーを行なった。
加藤氏は、KK線の再生プロジェクトは東京都と連携して進め、地元の方の意見を多く取り入れて愛される施設を作るのが重要であることを説明した。そして、プロジェクトを進めるにあたっては共創プラットフォームという場を設け、多くの意見がぶつかり合い、時に不協和音になりそうなときは「それをまとめ上げて、一つの皆さまの心に残るようなメロディとしていくこと」を担うコンダクターとして、齋藤精一氏を任命したことを話した。
共創プラットフォームコンダクターとして任命された齋藤氏は、街は土地の所有者から利用者まで多岐にわたる人たちのものであるとし、再生プロジェクトで重要なのは一緒に作っていくことであると話した。そして、それを実現するために「『新しい共創的公共』をKK線で実装します」と説明した。
東京都は2030年にインバウンド3000万人を目標に掲げ、多くのプロジェクトを進めている。その一つが新しい観光地の創出で、都庁の壁にゴジラのプロジェクションマッピングを行なったところ、夜間は誰もいなかった都民広場に多くの人を集めることができたと小池都知事は紹介した。
また、海外の事例ではニューヨークにあるハイラインが空中庭園にしたことで人気を博していることから、「観光名所になって、ニューヨークに行くならハイラインに行こうってことになってるわけですね。私は東京に行くなら、KK線に行こうという形になればいいと思います」とコメントし、共創という考えのもと、KK線が忘れられない街になってほしいと話した。
KK線を再生するTokyo Sky Corridorプロジェクトは、2030年代から2040年代にかけて完成するとし、2020年なかごろから工事に着手する考えだ。工事開始まではこのようなイベントを行ないたいとしているが、首都高速道路の新たな都心環状ルート(新京橋連結路)の工事開始とともにこちらも着工するので、2025年はイベントを開催するかは明言できないとのこと。仮にもし、来年もこのイベントが行なわれるようならラストチャンスかもしれないので、銀座の上を歩きたいと思うなら応募してみてはいかがだろうか。