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新幹線アイスの新フレーバーは「京都宇治抹茶」。選定会で味の決め手を聞いてきた!

JR東日本×JR東海のコラボ第2弾

2024年3月16日 発売

「ずんだアイス」の好評を受けて、JRESCとJR-PLUSによるコラボレーション企画が再び実現した

 JR東日本サービスクリエーション(JRESC)とJR東海リテイリング・プラス(JR-PLUS)は3月6日、スジャータアイスクリームの新フレーバー「京都宇治抹茶」を3月16日に発売することを発表した。トラベル Watchでは、この新製品について選定会の段階から追跡取材を行なっていた。

今回の新フレーバーは「京都宇治抹茶」。パッケージは、抹茶にふさわしいシックな仕上がり

「ずんだアイス」の好評を受けて、アイスのコラボが再び

 2023年7月1日から、JR東日本とJR東海の新幹線車内において、「ずんだアイスクリーム」が販売されたことをご記憶の方は多いだろう。筆者も何回か、購入する機会があった。

 この「ずんだアイスクリーム」は、JR東日本の列車内サービスなどを担当しているJRESCと、東海道新幹線の列車内サービスなどを担当していたジェイアール東海パッセンジャーズ(当時)のコラボレーションによって実現した。

 その後、ジェイアール東海パッセンジャーズは2023年10月に、JR東海リテイリング・プラスに改組。同10月末をもって、東海道新幹線における車内販売は惜しまれながら終了した。こうした状況の変化はあったが、新幹線アイスにおけるコラボレーションの第2弾が実現する運びとなった。

 すると気になるのは、「第2弾のフレーバーは何?」であろう。第1弾の「ずんだ」はいうまでもなく、JR東日本エリアの東北地方でなじみの素材である。そこで選ばれた第2弾のフレーバーは「京都宇治抹茶」であった。

コラボレーション再び。ということで選定会の席では、試食やパッケージ選定にも熱が入る

コラボ第2弾は京都宇治抹茶アイス

 実は、JR東日本とJR東海でコラボレーションする話が出るよりも前、当時のJR東海パッセンジャーズにおいて、「キャラメルアーモンドプラリネ」に続くフレーバーを選定する際に、抹茶の名前が挙がっていたのだという。

 また、「東海道新幹線沿線の味が欲しい」というパーサーからの声や、以前に販売していた抹茶アイスが終売になったことを惜しむ利用者の声、さらに外国人利用者が戻ってきた状況、といった事情もあった。確かに、抹茶のアイスクリームといえば、分かりやすく「日本」を感じさせるアイテムである。

「京都宇治抹茶」の試作品。単独で試食するだけでなく、お茶やコーヒーとのマッチングも重要な課題
それぞれを試食してみては、評価シートに書き込んでいく

 選定会の席で出た興味深い話としては、車内販売の終了による影響があった。現在、東海道新幹線ではグリーン車に限定してモバイルオーダーサービスが行なわれている。このサービス体制の変化により、車内サービスを利用する乗客の平均年齢層が上がる傾向が出てきたという。

 そのことと、アイスクリームに限らず、抹茶のスイーツが女性に人気という事情も、抹茶を新しいフレーバーとして送り出す理由になったようだ。

 逆に、親子連れだと無難に(?)定番のバニラアイスがよく出る傾向にあるという。もっとも、それはそれで「バニラに加えて、こういうものもございますが」という限定品の勧め方ができる。

西尾の抹茶と京都宇治抹茶

 実は、過去にもスジャータめいらくで製造した抹茶アイスが新幹線の車内販売に登場している。これは、愛知県西尾産の抹茶を利用したものだった。それに対して、今回は京都宇治抹茶という違いがある。同じ抹茶でも別物なのだ。

 2023年12月6日、JRESCとJR-PLUSの関係者が集まって行なわれた選定会には、京都宇治抹茶アイスの試作品が持ち込まれた。あわせて定番のバニラや既存の抹茶アイスも持ち込んで、これらを比較検討するとともに、お茶やコーヒーとのマッチングを確認する目的があった。

比較のために持ち込まれた、既存の抹茶アイスとバニラアイス。同じ抹茶アイスでも、意外なほど色が違うものである
持ち込まれた飲み物は、お茶、水、コーヒーの3種類。先に試食したアイスの後味が残っていたら評価にならないから、実は水がけっこう大事だ

 実は「抹茶」といってもみんな同じではない。さらにややこしいことに、「京都府産宇治抹茶」と「宇治抹茶」も別物だという。その違いはこうだ。

京都府産宇治抹茶: 京都府産の茶葉のみを使い、それを粉砕・挽臼加工したもの
宇治抹茶: 京都府・奈良県・滋賀県・三重県産の茶葉を、京都府内の業者が京都府内で、宇治地域由来の製法で加工したもの

 そこで筆者も食べ比べてみたが、西尾抹茶のアイスと京都宇治抹茶のアイスには、意外なほど違いがあった。西尾抹茶のアイスクリームは、比較的、スッキリ・あっさりした印象があった。それに対して、京都宇治抹茶の方がクリーミーで、お茶が前面に出た「ザ・お茶」という印象。

 そこでスジャータめいらくの方にお話を伺ったところ、意識的に抹茶を強調したことと、成分の違いによる部分があるとのことだた。また、「京都宇治抹茶の方が、抹茶の色みがきれいに出ているほか、香りの奥深さや渋みもあります」とのお話であった。

 コラボ第1弾の「ずんだアイス」では、販売現場からは「めずらしがられて興味を持ってもらえた」「新しもの好きの人に好評」といったフィードバックがあった。ただ、めずらしさとともに広く受け入れられることも重要であり、そうなると抹茶というチョイスは分かりやすい。そこで、特に「京都宇治抹茶」という個性を押し出したのが今回の新フレーバーというわけだ。

水引をあしらったパッケージ

 前回の「ずんだアイス」と同様に、パッケージについても複数、具体的には5種類の案が用意されて、選定会で検討された。

 今回の素材は抹茶である。そこで最終的に決まったパッケージでは、フタに縁起物としての水引、それと「抹茶」を強調する狙いから「茶筅」があしらわれた。フタの周囲は金色の縁取りで、全体的にゴージャスそうな印象を受けるものとなっている。

いろいろ説明を受けたり、意見を交わしたりしながら、試食して、評価シートに記入して……と、なかなか忙しい
パッケージも最初から決まっているわけではなく、いくつか案を出して意見を出し合い、最終案につなげている

発売は3月16日

 このアイスクリームは、車内販売や東海道新幹線のモバイルオーダーサービスだけでなく、駅の自動販売機でも扱われる予定だ。発売場所は以下のとおりである。

・東北、秋田、山形、上越、北陸の各新幹線および特急「あずさ」「ひたち」の車内販売(ただし一部列車では車内販売を実施していない)
・東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」グリーン車のモバイルオーダーサービス
・東海道新幹線改札内、それと品川駅南乗り換え口の自動販売機
・東京~新大阪間と「リニア・鉄道館」の「DELICA STATION」など一部店舗
JR-PLUSオンラインショップ

これは新横浜駅のアイス自動販売機。この自動販売機にも「京都宇治抹茶」が加わることだろう
抹茶フレーバーのアイスクリームと、最新鋭の新幹線電車の取り合わせは、いかにも「日本」を感じさせる組み合わせかもしれない