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マリンダイビングフェア2023開催。コロナ禍を経て各地の環境・水質が改善! すでに混雑で早期予約が必要な国・地域も

2023年4月7日~9日 開催

「第31回 マリンダイビングフェア2023」開催。入場は事前登録制だが、していない場合も入場口のQRコードから登録できた

「第31回 マリンダイビングフェア2023」が、4月7日~9日の3日間、東京・池袋サンシャインシティ文化会館で開催された。入場は無料。

 会場には国内外の人気ダイビングスポットのブースがズラリ。現地のガイドやスタッフからダイビングやビーチリゾートの最新情報を聞くことができた。ダイビングギアや水中カメラ、マリングッズなどのメーカーの出展もあり、その場で購入することも。そんな魅力的なイベントだけに、初日は平日ながら、開場前から多くの来場者が詰めかけた。

 主催者のマリンクリエイティブ 代表取締役の奥山政夫氏は、「イベントの開催において、検温や消毒のルールもなくなり、コロナ前にかなり戻ってきています。ですが海外の出展者の方に話を伺うと、まだまだ日本人が戻ってきていないとおっしゃるところも多いです。このイベントが海外にダイビングに行くきっかけになってくれれば。また、ダイバー人口についても増やしたいので、今回、『地球を潜ろう!ダイバーになろう!』をテーマに、幅広くPR活動を行ないました。ノンダイバーの人たちにもダイビングの素晴らしさや楽しさを感じてもらいたいですね」と話す。

「マリンダイビングフェア」主催の株式会社マリンクリエイティブ 代表取締役 奥山政夫氏

 今年は、前回よりもスペースを拡大し、出展ブース数も約3割アップ。前回、第30回の来場者数が合計2万3387人だったので、その数を上回る約3万人の来場者が期待される。

直行便が再開するなど、コロナ前に戻りつつある海外の人気スポット

 入場するとすぐに海外ゾーンが始まり、魅力的な海外のダイビングスポットのブースを前にテンションが高まる。まず「ケアンズ&グレートバリアリーフ」のブースで、グレートバリアリーフのサンゴが過去36年間で最もよい状態になっているといううれしいニュースを聞いた。数年前、温暖化などの影響によるサンゴ礁の白化現象が叫ばれたが、現在は復活してきていると言う。

「サンゴの状態がよくなっていることは、専門研究施設の調査データによって発表されました。それは肉眼で見ても明らかです。ぜひ今、キレイなサンゴを見に来ていただきたいですね。6月28日からはヴァージン・オーストラリア航空による羽田~ケアンズの直行便が運航を開始するので、成田と関空を含め、国内の3空港から直行便でケアンズに行けるようになります。すでにコロナ前に近い人数まで観光客が戻ってきていますが、今後、よりアクセスが便利になれば、さらに伸びていくと思います」とはスタッフの談。

 ケアンズ&グレートバリアリーフ地域のベストシーズンは10月~11月だが、6月~7月はミンククジラとの遭遇率が高く、一緒に泳ぐこともできるのだそう。グレートバリアリーフに興味のある人は、今が狙い目と言えそうだ。

「ケアンズ&グレートバリアリーフ」のブース

「パラオ政府観光局」でも、ダイバーがかなり戻ってきていると聞いた。

「パラオはリピーターが多いので、皆さん、行くタイミングをうかがっている感じがしますね。パラオは周囲を深い海溝に覆われているので、回遊魚たちが1年を通していつでもいます。緑も多く、海の青と緑のコントラストが美しく、写真を撮ると絵になるような景色がたくさんあります。コロナ禍で3年間、落ち着いた状態だったので、今は自然がますます生き生きとしています。ぜひ自然の世界で身をゆだねてほしいと思います」と日本事務所 代表の芝村剛氏。

「パラオ政府観光局」のブース
「与えられたもの以外は取りません。私に害のないものは傷つけません」。パンフレットには入国時にサインするパラオの誓約内容が記載されている

 ダイビングやビーチリゾート、ゴルフなどを楽しみに訪れる人が多いサイパン、テニアン、ロタ。「マリアナ政府観光局」は、2022年9月から直行便が再開し、徐々に観光客も戻ってきていると言う。そんなマリアナの新たな提案がワーケーションだ。「3時間半で行けて時差は1時間だけ。Wi-Fi設備も整っているので、ワーケーションするのもお勧めです。ビーチサイドでおしゃれなワーケーションができると思いますよ」とのこと。

「マリアナ政府観光局」のブース

 一方、「タヒチ観光局」は、エア タヒチ ヌイの成田発直行便が10月29日まで運休中で、航空便のスケジュールはこれまで5回延期されていることもあって、直行便の再開を心待ちにする声が多いという。

「タヒチはコロナ禍でもホテルが予約できないくらい人気で、ダイバーやハネムーナー、タヒチアンダンスをする人などが多く訪れています。現在はニュージーランドやハワイ経由、アメリカのロサンゼルスなどから入る人もいます。すでにホテルによっては今年の11月くらいまで予約がいっぱいのところも。ダイビングはもちろんですが、タヒチは緑も多く山もあります。山の散策やトレッキングなど、いろいろな体験が楽しめます」。直行便が再開したら、早めに予約してほしいという。

「タヒチ観光局」のブース

沖縄エリアはホテルや居酒屋の予約が困難という状況

 沖縄ゾーンではまず「石垣島ダイビングリゾート」に話を聞いた。石垣島では例年、6月に実施していた「ダイビングフェスタ」を、3年ぶりに開催。

「今年は11月23日~25日に開催し、この間に撮影した作品でデジカメフォトコンを行ないます。八重山ダイビング協会加盟店のショップに申し込むと参加できます。同じ日程で撮影した写真に限られるフォトコンなので、不公平感がなく、どなたにも入賞するチャンスがありますよ。豪華賞品を準備してお待ちしています」と協会会長の鈴木達也氏。

 石垣島のダイビング客はコロナ禍でも安定して推移。観光客が急増していることもあり、「お客さんの動きが早いので、宿泊や居酒屋など、のんびり構えていると取れなくなりますよ」とアドバイスしてくれた。

「石垣島ダイビングリゾート」のブース
人気イベントの「ダイビングフェスタ」が3年ぶりに復活!

 予約が取りにくいというのは宮古島でも同じ。「宮古島ダイビング事業組合」のブースでは、宮古島の人気ぶりが分かる情報が得られた。「宮古島では飲食店も増えてはいるのですが、訪れるお客さんがさらに増えているので、追いついていない状態です。ピーク時は特に動きが早いので、予約が取れた時点で居酒屋を予約することをお勧めします。ホテルもリゾートホテルは増えましたが、ダイバーが利用するビジネスクラスのホテルの数はそう変わっていないので、早めの予約が必要です」と人気ぶりを語ってくれた。

「夏場は地形ならL字アーチ、Wアーチ、クロスホール。サンゴなら八重干瀬(やびじ)がお勧め」とのことなので、宮古島狙いの人は早めに予約しておこう。

「宮古島ダイビング事業組合」のブース

 国内ゾーンでは、八丈島のブースにおジャマした。「ここ1~2年で新しいカフェができているので、天気がわるくても温泉に行ったり、カフェ巡りをしたりして楽しめると思います。八丈島は地形がダイナミック。マクロ派のダイバーなら八丈のピグミーシーホースの八丈タツやウミウシを見つけるのもいいと思います。ウミウシは八丈だけで700種類くらいいると言われているんです」と、島内とダイビングの楽しみ方を教えてもらった。

「潜ろう!八丈島!!」のブース

 また、「岩美町観光協会/鳥取県」のブースでは、マンタやウミガメ、アシカの胸ビレの研究から生まれたという、世界初の翼フィンを発見! これはマンタのように羽ばたいて進む新しいアクティビティで、「マンタフライヤー」という名称。フィンの素材はカーボンとゴムで、水を包み込むように動かすことで、足フィンに頼らなくても進むのだそう。

「翼フィンの最適なサイズを見つけるのに苦労しました」とは、開発者のママル デザイン代表の久保内修介氏。この「マンタフライヤーシュノーケリング体験」は「鳥取県自然体験塾」が6月~9月に鳥取県岩美町でスクールを開催(参加費1万1000円)。マンタのように泳ぎたい人は注目だ。

「岩美町観光協会/鳥取県」のブース。右が開発者の久保内修介氏
「マンタフライヤー」の翼フィン。腕に通して取っ手を握って使う

魅力のステージイベントを開催。新しいフォトコンもスタート

 会場をさらに奥へと進むとステージがあり、3日間を通じてトークショーやセミナーなど、さまざまなプログラムが実施された。高砂淳二氏、清水淳氏、むらいさち氏、古見きゅう氏、中村卓哉氏など、人気水中写真家らのプログラムもあり、初日のステージはほぼ満席の状態が続いていた。

 ステージ周辺には、ダイビングのガイドを職業とする「ガイド会」のメンバーによる写真展があり、素晴らしい海中の写真に、多くの人が見入っていた。

ステージの様子
ガイド会写真展

「マリンダイビングフェア」の写真展と言えば、ダイビング専門誌「マリンダイビング」主催のフォトコンテストが恒例。残念ながらそのフォトコンはなくなってしまったが、今年は水中写真家らやダイビング業界関係者の有志によって立ち上げられた「日本水中写真コンテスト実行委員会」主催の「第1回日本水中フォトコンテスト」を開催。4月8日の夜に行なわれる授賞式に先駆けて、会場には受賞作品が紹介されていた。

「第1回日本水中フォトコンテスト」受賞作品

「マリンダイビングフェア」では、各日先着100名にオリジナルタオル、海のクリアファイル、こだわりハーブのレッドカレーのプレゼントを用意。このほか対象ブースを回ってスタンプを5つ集めたらプレゼントがもらえるスタンプラリーも実施。プレゼントはペリエや消臭ビーズ、マリンダイビングWebステッカー、こだわりハーブのレッドカレーを用意。WチャンスでGARMINのスマートダイブコンピュータのプレゼントもあり、スタンプラリーのゴール地点には来場者が多く集まっていた。

 ショップ独自のプレゼントも多く、ダイビングギアメーカーゾーンの「TUSA」では、フェイスマスクの先着プレゼントが早々に終了。フェアの盛り上がりが感じられた。

魅力のダイビングギアが並ぶ「TUSA」ブース
「TUSAフェイスマスク」プレゼントを実施

 そのほか、マリングッズゾーンの「Seven Seas Planet」では、タンク型のオリジナルボトルと魚型のレギュレターバックを発見。そのユニークな形に、購入したい気持ちが高まった。

「タンクボトル」500mL/700mLとも3000円
「レギュレターバック」各5000円

 会場には水中を調査するロボットを設置しているブースもあり、多くの人の目を引き付けていた。今、日本では脱酸素社会に向けて、洋上風力発電の取り組みが進む。現在は長崎県五島市沖、秋田港と能代港(秋田県)に風車が設置されているが、これらの設置にダイバーや水中遠隔操作調査機が活躍しているのだそう。「風車を設置するにあたり、地盤や海底の調査を行ないます。このような活動にダイバー(潜水士)が活躍しています」。このブースでは仕事として潜る方法を提案。「興味がある人がいれば、一緒に何かできれば」と呼びかける。

洋上風力の調査で活躍する水中遠隔操作調査機
「SDIグループ」のブースでは、模型を設置して洋上風力発電について説明

 国内外のダイビングスポットの最新情報が入手でき、環境に配慮した現在の海の取り組みについても知ることができた「マリンダイビングフェア」。ますます海への興味を高めてくれるイベントだと感じた。