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DeNA、京急川崎駅のすぐ横に川崎ブレイブサンダースの拠点となる新アリーナ。音楽・格闘技や羽田に近い立地を活かして国際的なイベント会場に

2023年3月3日 発表

ディー・エヌ・エーが京急川崎駅そばに新アリーナシティを建設する

 ディー・エヌ・エーは3月3日、京急川崎駅隣接エリアにて約1万人が収容可能なアリーナを含む複合エンタテイメント施設の建設計画「川崎新!アリーナシティ・プロジェクト」を発表した。着工は2025年、開業は2028年10月を予定している。

公開されたキービジュアル。川崎の多様性を表わしたものになっている(画像提供:ディー・エヌ・エー)

京急川崎駅の西口に共同でアリーナを建設

 同社は横浜DeNAベイスターズなどプロスポーツ運営事業にも積極的であり、プロバスケットボールのB.LEAGUEに所属する「川崎ブレイブサンダース」のオーナー会社でもある。その川崎ブレイブサンダースの新しい本拠地として用意されるのが、今回発表された新アリーナだ。

 建設予定地は京急川崎駅の西口すぐそばで、現在はKANTOモータースクール川崎校(神奈川県川崎市川崎区駅前本町25-4)がある。この土地を賃貸借し、京浜急行電鉄と共同開発を行なう。敷地面積は約1万2400m2で、新アリーナは約1万人が収容できる規模になるという。現在、川崎ブレイブサンダースが拠点としている川崎市とどろきアリーナが約6500人規模なので、その1.5倍ほどのキャパシティを持つ。

建設予定地は京急川崎駅の西口に隣接しているエリア(画像提供:ディー・エヌ・エー)
空から見たイメージ(画像提供:ディー・エヌ・エー)

 最初に代表取締役会長の南場智子氏が登壇、同社がスポーツ事業に参入して12年、十二支が一回りしたことを伝え、すべてを神奈川県に集中させているとし、そのなかでも川崎は外せない場所であることを強調した。立地のよさ、羽田空港からの近さを活かし、京浜急行電鉄や川崎市はもちろんのこと、プロジェクト発展のため、さらなる参画を呼び掛けた。

株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長 南場智子氏

 続いて、京浜急行電鉄 取締役社長の川俣幸宏氏は、ディー・エヌ・エーと共同開発することに大きな期待を寄せていると話した。京急川崎駅周辺の状況にも触れ、JR川崎駅を中心にしたにぎわいと比較し、同社側はどうしても出遅れ感が否めないとし、新アリーナが建設されることで「川崎駅全体が大きく変わる非常に大きなチャンスだと考えている」とエリアの発展に対して強力なコンテンツになるであろうと伝えた。

 このプロジェクトと同じくして、京急川崎駅の西口の再開発計画に着手していると言い、駅からアリーナの低階層に直接アプローチできるような整備も考えているとのこと。川崎大師の参拝路線として始まった同社は今年で創業125周年を迎え、今後も川崎の発展に尽力していきたいと抱負を述べた。

京浜急行電鉄株式会社 取締役社長 川俣幸宏氏

 川崎市長の福田紀彦氏もこの発表を「ディー・エヌ・エーさんの決断と一緒に共同でやっていこうという京急さんをはじめとする関係者の皆さんが、この川崎のポテンシャルを評価していただき、選択してくれたことは大変光栄だと思っています」と、待ちに待った報告であると伝えた。JR川崎駅周辺は北口に自由通路を設けるなど再開発を行なってきているが、京急川崎駅の西口周辺は低未利用土地が多く残っており、課題解決のために方針を立て、地権者と話し合いながら調整したことが実を結んだと説明した。

川崎市 市長 福田紀彦氏

Delightful City構想でスポーツと地域を活性化させる事業戦略

 代表取締役社長兼CEOの岡村信悟氏からは、スポーツ事業についての説明があった。ディー・エヌ・エーは2011年にベイスターズの運営に参入し、2018年に東芝から川崎ブレイブサンダースを承継。今年の2月にはJ3リーグに所属するSC相模原も運営することになった。

 920万人が暮らす神奈川県において、日本でも人気の野球、サッカー、バスケットボールのプロスポーツチームを運営することは事業として魅力的であると同時に地域との関わりや街づくりも重要であるとし、喜びに満ちた街「Delightful City(デライトフルシティ)」構想のもと、エリアの発展とファン層の拡大に取り組んでいる。

 街づくりの具体例としては、横浜市旧市庁舎街区に3000m2の大型ライブビューイングアリーナを2026年に開業するとし、川崎駅周辺においてはカワサキ文化会館やラ チッタデッラに川崎ブレイブサンダース直営のバスケットボールコートの運営を開始していることを説明した。また、近隣の飲食店舗に送客するためのアプリ「Neee」があることも紹介した。

 今回のプロジェクトを立ち上げるに際し、「川崎新!」というキャッチフレーズを使っているが、このエクスクラメーションマークには想像を超える、驚くような喜びを提供したいという想いが込められているという。

株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長 兼 CEO 岡村信悟氏
ディー・エヌ・エーのスポーツ事業への取り組みとDelightful City構想を説明したスライド
エクスクラメーションマーク“!”には想像を超えた驚きの提供が込められている

川崎ブレイブサンダースの本拠地に加え、国際的なイベント会場も目指す

 川崎新!アリーナシティプロジェクトの概要については、川崎拠点開発室 室長 兼 DeNA 川崎ブレイブサンダース代表取締役社長の元沢伸夫氏が説明した。

 新しいアリーナについては、川崎ブレイブサンダースを承継する際に1万人規模の施設を作るとアナウンスしており、「川崎ブレイブサンダースはこの新しい本拠地を経て、中長期の目標としていたアジアナンバーワンクラブを目指す取り組みをいよいよ本格的にスタートすることができます」と率直に喜びを語った。

 建物の設計はこれからなのでおおまかな概要であると前置きしたうえで、横長の建物がアリーナで、縦長の建物が複合エンタテイメント施設になり、アリーナの屋上には庭園を設けて、憩いの場にすることを考えているそうだ。アリーナの運用については、バスケットボールは年間で30~40試合ほど催行が見込まれるが、それ以外の300日については収容人数1万人というキャパシティを活かし、音楽ライブ、ダンス大会、格闘技の試合など、あらゆるエンタテイメントの興行に利用していきたい考えを明かした。

 さらには国内からだけでなく、羽田空港に近い立地をアドバンテージとし、海外からの集客が見込めるような国際的なイベント会場にしていきたいとも説明した。

株式会社ディー・エヌ・エー 川崎拠点開発室 室長 兼 DeNA 川崎ブレイブサンダース代表取締役社長 元沢伸夫氏
若い人口が増えている点とアクセスのよさが発展につながるとしている
施設のイメージ(画像提供:ディー・エヌ・エー)
アリーナではバスケの試合に加え、音楽ライブやeスポーツの競技会なども開催したいとしている
宿泊施設や飲食施設を誘致し、建物周辺もウォーターフロントの立地を活かした開発を目指す

 川崎ブレイブサンダースの選手代表として同席した篠山竜青氏は現在34歳であるが、5年後は39歳という年齢に言及し、「僕自身の今の夢は、この新しいアリーナでユニフォームを着てプレーすることと明確に決まりました」と新アリーナプロジェクトに対して自身の意気込みを語った。

 また、選手からはどのようなアリーナにしてほしいのか、お手本になる場所があるのかという質問に対しては、「どこかのマネやどこかをモデルにするのではなく、いろいろなアリーナのいいところを全部取ってきてもらって、アジアのなかでも世界のなかでも屈指の、クールでかっこいいアリーナにしてもらいたいです!」と答えて会場を沸かせた。

川崎ブレイブサンダース 篠山竜青選手