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気球に乗って宇宙の旅実現へ。岩谷技研、2人乗りの気密キャビン実機を公開。第1期搭乗者を募集開始
2023年2月21日 13:38
- 2023年2月21日 実施
宇宙開発ベンチャーの岩谷技研は2月21日、気球を使った宇宙遊覧を実現するための「OPEN UNIVERSE PROJECT」を発表し、第1期の搭乗者とパイロットの募集を開始した。
岩谷技研は、高高度ガス気球と旅行用気密キャビンの設計・開発・製造を行なう北海道に本社を置くベンチャー。代表取締役社長の岩谷圭介氏は、学生時代に風船を使った宇宙撮影に取り組み、その後高高度気球の設計開発でキャリアを積んだ人物。
岩谷氏は、ロケットは規模が大きく高速で打ち出すため訓練が必要などハードルが高いが、小規模でゆっくり上昇する気球なら費用的にも「民主的な価格にできる」と説明する。
同日公開した2人乗り(パイロット+乗客)の気密キャビン「T-10 EARTHER(アーサー)」の実機は、成人男性よりやや小さいくらいの全高の球体で、材質はほぼプラスチック。全周の多くを透明の外装にすることで、なかから前後左右を見渡しやすい、遊覧向けのデザインになっている。
座席には自動車や飛行機のシートで知られるレカロを2脚搭載しており、4点シートベルトを装備。正面向かって左のパイロット席にはディスプレイと計器を備え、そのほかキャビンの照明などの電力には、ポータブル電源が使われていた。内部の広さについては、「座って自撮りができる程度」にしたという。
T-10 EARTHERと接続した気球は1時間かけて高度2万5000mまで上昇し、上空で2時間遊覧、その後ゆっくり下降していく。ただし、打ち上げは天候に大きく影響を受けるため、1週間程度の猶予を持って体験に望む必要があるとしており、同社は打ち上げ前、遊覧、着水、上陸までの一連のフェーズを商品化するべく進めているという。
同社のこれまでの打ち上げ実績は300回以上、高度4万mまで到達した実績があり、有人では2022年以降に20回以上のフライトを実施。安全性を確認するためにこれから1年くらいの時間をかけてテストを行なっていく。
また、共創パートナーとしてJTBが本プロジェクトへの参画を表明しており、打ち上げに関わる一連の体験をパッケージ化・旅行商品化するために同社がサポートを行なう。
実際の体験価格について岩谷氏は、これまで民間の宇宙旅行が1人あたり60億円~150億円かかっていたところ、「ゼロが3つから4つ取れる」と述べ、将来的には100万円~200万円の価格帯を目指しているという。