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「Yahoo!トラベル」大リニューアルから約1年、旧サイトとの違い、進化した魅力とは? 担当者にインタビュー

2022年8月 取材

「Yahoo!トラベル」担当者にサイトの魅力をインタビュー

 2021年9月、大規模なサイトリニューアルを実施した旅行予約サービス「Yahoo!トラベル」。国内およそ1万8000軒の宿を掲載し、ヤフーらしい検索力を活かした探しやすさとクチコミによるリアルな情報、キャッシュレス決済システム「PayPay」を併用した圧倒的なお得さが魅力だ。

 新型コロナウイルスの影響でこれまで遠ざかっていた旅行も再び楽しめる機会を取り戻しつつあり、加えてテレワークやワーケーションといった新しい生活様式が浸透したことで“宿探し”の目的や用途もより多様化している。

 そんななか、リニューアルから約1年を経て進化した「Yahoo!トラベル」について改めてサイトの特徴やお勧めポイントを伺った。インタビューに応じてくれたのは、ヤフーのトラベル統括本部 トラベルユニットマネージャーで、一休の執行役員 第一宿泊事業本部長を兼任する平 玄太氏。

ヤフー トラベル統括本部 トラベルユニットマネージャー/一休 執行役員 第一宿泊事業本部長の平 玄太氏

今や比較するだけじゃない、25年の歩み

 そもそも「Yahoo!トラベル」がスタートしたのは1997年のこと。数えきれないほどのサービスを展開してきたヤフーのなかでも、当初は予約サイトではなく、旅行情報を集めたアグリゲートサイトのような位置付けであった。

 その後、他社から提供された旅行商材を掲載しながら「比較サイト」としての認知度を高めていく。記憶に新しい転換期は2015年、ヤフーは自ら宿との契約を結び自社販売を行なう「予約サイト」へ参入するように。このとき、現在でもおなじみ「ヤフープラン」が誕生した。そして2016年末、ヤフーが「一休」を子会社化。これをきっかけに「Yahoo!トラベル」は、高級ホテルや旅館を扱う「一休.com」との協業を開始し、現在の予約サイトのスタイルに定着したという。

 2021年9月のサイトリニューアルでは、ユーザーからの定評も高い「一休.com」の知見やノウハウを活かし、より検索しやすく、分かりやすいユーザーインターフェースに変貌を遂げた。現在の「Yahoo!トラベル」では以下のような使い方ができる。

宿泊予約

 宿泊施設を検索してオンラインで予約できる。また予約時にPayPay残高の利用やPayPayポイントの獲得・いまスグ利用ができる。

宿泊+航空券

 豊富な宿泊施設と航空券を自由に組み合わせて自分だけのオリジナルパッケージツアーを作れる。こちらも予約時にPayPay残高の利用やPayPayポイントの獲得ができる。

宿泊予約(各社比較)

 ヤフープラン、JTBプラン、るるぶトラベルプラン、公式サイトプランなどの各社プランを比較しながら検索できる。また各社プランの予約ではPayPayポイントの獲得、ヤフープランでは予約時にPayPay残高の利用が可能となっている。

宿泊+新幹線

 往復の新幹線チケットと宿泊のセットプランを予約できる。

旧PCトップページ
現PCトップページ

誰もが使いやすく、自分好みの宿が見つかる気持ちいい“予約体験”を

――リニューアルした経緯を教えてください。

平氏:2016年に一休との協業がスタートしてからも、基本的なサービスはそれぞれ別で行なっていました。それから数年経ち「Yahoo!トラベル」と「一休.com」を比較して見てみると、お客さまから高い支持を得ているのは後者でした。例えば10人のお客さまがそれぞれのサイトを利用した際に予約する人の割合や、予約した人がその後また利用してくれるリピート率の違い。それらを見ていくと、実は「一休.com」のほうが高い支持を得ていることが明らかだったんです。

「一休.com」は1990年代後半から、旅行予約の分野1本でやってきた会社なので、長年で培ったノウハウや旅行者のニーズを把握する能力に長けています。我々はグループとしてこの知見をフルに活かしたほうがいいだろうと判断し、「一休.com」の造りに倣い、そのエッセンスを取り入れた新しい「Yahoo!トラベル」にリニューアルすることとなりました。

――同じようなサイトの構造でユーザーは迷いそうな気もしますが、「Yahoo!トラベル」と「一休.com」の違いは何でしょうか?

平氏:たしかにサイトの基本的なプログラムや土台は一緒なのですが、実は細かい点でいろいろ違いがあります。1番違うのはホテルのラインアップです。「一休.com」では高級ホテルや旅館のみを厳選して掲載していますが、「Yahoo!トラベル」では北海道から沖縄までまんべんなく宿が載っています。

 検索結果って、お客さまが宿を予約しようと思うタイミングによってまったく異なるんですよね。例えば、あるエリアに絞って検索したら「一休.com」では20軒しかヒットしないところ、「Yahoo!トラベル」なら100軒出てくるみたいな。その分、「Yahoo!トラベル」ではより宿の違いや特徴が分かりやすいよう、キャッチコピーを付けるなどの工夫もしています。

 動いているプログラムに共通部分はあっても、利用するお客さまが違うし、お客さまが持っているニーズも違う。それに対し施行錯誤し、それぞれのサイトに合わせた“予約体験”を提供しています。

――では他社サイトとの違いはどうでしょうか。

平氏:「Yahoo!トラベル」が自ら宿を売る事業を始めたのは2015年。ほかの旅行会社さんでは、1990年代後半から2000年にはインターネット販売をスタートしていた時代なので、業界ではだいぶ後発なんですよね。

 それでも他社と違うのは、「Yahoo! JAPAN」やZホールディングスとして多くの顧客を抱えていること、そこに旅行業界のビジネスを極めてきた「一休.com」の域がグループに加わったことで、後発ポジションながらもよりよいものを作っていけるようになりました。業界ではまだジュニアですが、“瞬間風速”で見るならば今「Yahoo!トラベル」は多くのお客さまのニーズを捉えた勢いあるサイトです。

旧PCガイドページ
現PCガイドページ

いつ予約しても、どこより安い! お得なキャンペーンを続々展開

――「楽天トラベル」や「じゃらん」、海外系など、メジャーどころが群雄割拠するなかで「Yahoo!トラベル」の強みは何ですか?

平氏:これは2点あります。1点は、やはりありがたいことに「一休.com」がグループにいることで、その知見を活かした機能や旅行を予約したいというお客さまの要求を芯に捉えた予約のしやすさ、つまり“予約体験”ができるということです。

 例えば「Yahoo!トラベル」で宿を探すと、Aさん、Bさん、Cさんで検索結果がまったく違います。1名で検索したときと3名で検索したときでも検査結果は変わるんです。これはパーソナライズドサーチを駆使したもの。1人ひとりのニーズに細かく応えることを、企業として何より1番大事にしています。

 2点目は、業界でも見たことがないくらい大規模なキャンペーンを展開していることです。この6月~8月末には、宿泊予約が最大10%お得になる「夏旅キャンペーン」を開催しました。最大の魅力は、よくある特定の会員条件を設けたキャンペーンではなく“誰でも参加できる”ということ。しかも、獲得したPayPayポイントを旅行代金からその場で値引きする「いまスグ利用」することも、「そのまま貯める」を選択することもでき、かなりお得なキャンペーンでした。

 次いつ旅行できるか分からないですし、その場でポイント使っちゃうというお客さまが多数。とにかくお得に予約したいという方は、「Yahoo!トラベル」がお勧めです。

 営利企業なのでもちろん利益も出さなくてはなりませんが、せっかくよいサイトにリニューアルできたので、まずは1度でもいいから多くのお客さまに使ってほしいと思うし、今業界がコロナ禍の苦しいタイミングなので、微力ながら顧客やホテルの力になりたい。そのような想いで今後もサスティナブルで、“どこよりもお得な”キャンペーンを展開していく予定です。

趣向を凝らした工夫で、曖昧な検索ニーズにも対応

――コロナの影響に対してはどのように捉え、対応してきたのでしょうか。

平氏:やはり2年前、最初の緊急事態宣言が出たときは、すべからく予約が入らないし、当然キャンセルも出てくる厳しい状況でした。そこで、各宿の感染対策・衛生対策をいち早く紹介し、お客さまに情報を届けるということを真っ先にやりました。とにかくコロナを恐れていたあの時期に、少しでも安心して予約できるようにするための工夫です。

 その後、「Go To トラベル」が始まりました。国を挙げて旅行業界を盛り上げようとしているあのタイミングでの施策ということで、我々も最大限その力になるために全社総力で取り組みました。具体的には、多数のお客さまが見てくださっている「Yahoo! JAPAN」や「Yahoo!ニュース」のトップページで、すぐさまGo To トラベルの告知をしたこと。

 国民の皆さまに、Go To トラベルを使って旅行しよう、観光業界を盛り上げようというコミュニケーションを図ったことは、我々にしかできない取り組みでした。

――ヤフーにはほかにも多彩なサービスがありますが、相互活用などの展望は?

平氏:「Yahoo! MAP」や「Yahoo!乗換案内」など自社の各サービスを活かしたシナジーも積極的に作っていきたいと考えています。例えば京都へ出張に行くときに乗換案内で調べたら、駅の近くにいいビジネスホテルが見つかって、そのまま予約できるとか。そういうお客さまが気持ちいいと思える予約体験作りにも積極的に取り組んでいきたいです。

――プラットフォームとしてはPCとスマホ、どちらの利用者が多いですか?

平氏:今はどちらかというと、スマホから利用される方が多いです。旅行予約って、1回で5万、10万と高額を支払う買い物なので、一般的に比較すればPCの大きな画面で見ている方が多いのでしょうが、それでもやはりスマホ利用者はどんどん増えています。

 我々も、写真が見やすいとか、クチコミが分かりやすいとか、スマホ画面でもいい宿なのかどうかが分かりやすい工夫をしています。そういう努力から、最近ではスマホでもお客さまの反応がよくなってきています。

旧スマホ画面
現スマホ画面

――「Yahoo!トラベル」といえば、いろいろな切り口のランキングも充実していますね。

平氏:ランキングはもう数え切れないくらいあります。これはお客さまのニーズがそれだけ無数にあるということなのですが、導入の大きな理由は“曖昧な宿泊ニーズ”に対する宿のレコメンドです。旧来型でも条件検索はできましたが、「美味しいご飯の旅館に行きたい」とか、「オーシャンビューの綺麗なホテルに泊まりたい」とか、「おすすめの温泉宿が知りたい」とか、そういうざっくりとしたニーズってマッチしにくいんですよ。今、日本に5万軒以上の宿泊施設があるなかで、自ら条件検索で絞って理想に適った宿を見つけ出そうとしたら相当タフな作業です。

 その点「Yahoo!トラベル」では、お客さまの予約データや実際に宿泊した人のクチコミがたくさん溜まっているため、そういった情報を元に作ったあらゆる切り口のランキングを掲載することで、漠然とした「いい宿に泊まりたい」というニーズにも応えています。

休日は軽井沢の別荘をバケーションレンタルし、仲間と料理や宿泊を楽しむという平氏

――最後に、今後の課題としていることを教えてください。

平氏:もちろん細かい点でよくしたいポイントはまだまだありますが、1番はもっと多くの人に「Yahoo!トラベル」を使っていただきたいということです。実は、サイトがリニューアルしてから新規顧客がすごく伸び始めたんです。リニューアルして宿が探しやすくなったという声や、お得なキャンペーンに気づいて初めて利用してくれる一部のアーリーアダプターが増えはじめた。

 業界のポジションとしてはジュニアでも、分かってくれる人は分かってくれているんだという、我々にとって嬉しい傾向でした。一方で、世のなか全体を見渡してみれば「Yahoo!トラベル」を使ってくれる人はまだまだ少ない。もっと多くの人に認知してもらうことが大きな課題です。

 領域を狭めず、日本全国の豊富な宿を掲載し、誰でも対象にしたサービスを展開するのが「Yahoo!トラベル」。出張で利用する人もいれば、ご家族で利用する人もいる。パーソナライズによってお勧めするべき宿も違うので、そこを突き詰めてくことを我々は大事にしていきます。

――ありがとうございました。