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東急・相鉄相互乗り入れに向けて7社局の車両がズラリ。忘れ物したらどうなる?
「相鉄新横浜線」「東急新横浜線」2023年3月から
2022年3月31日 18:12
- 2022年3月31日 実施
東急電鉄と相模鉄道は3月31日、東急東横線の元住吉検車区で、報道関係者向けに「鉄道ネットワーク7社局の車両撮影会」を開催した。2023年3月から始まる予定の、相模鉄道と東急電鉄の相互乗り入れをアピールする狙いがある。
相鉄・東急直通線とは
相模鉄道は2019年11月から、JRへの直通を始めている。これは、いわゆる「相鉄・JR直通線」計画によるもの。相鉄本線の西谷駅から分岐して、羽沢横浜国大駅まで2.1kmの新線を建設、JRの東海道貨物線と接続した。そこから品鶴線~山手貨物線を通じて、相模鉄道の車両が新宿駅まで乗り入れている。また、JRからは埼京線の一部列車が相鉄本線に乗り入れている。
その羽沢横浜国大から東急東横線の日吉駅に通じる線路の建設が進んでおり、これが「相鉄・東急直通線」。途中の新横浜が両社の境界駅となるため、西谷~羽沢横浜国大~新横浜間は「相鉄新横浜線」、新横浜~日吉間は「東急新横浜線」という名称になる。
なお、相鉄本線からJRへの直通と東急への直通は、西谷~羽沢横浜国大間で同じ線路を共用する。そして、全体の事業名称は「神奈川東部方面線」という。
相鉄・東急直通線が開業すると、相鉄本線から東急東横線ならびに目黒線への直通運転が可能になる。そして、東横線は東京メトロの副都心線を経由して東武鉄道の東上線や西武鉄道の池袋線につながる。また、目黒線は東京メトロの南北線を経由して埼玉高速鉄道の埼玉スタジアム線、それと都営地下鉄の三田線につながる。
つまり、神奈川東部方面線を構成するすべての線路が完成すると、相鉄本線から4方面の東京都内直通ルートを実現することになる(JR、東横線~副都心線、目黒線~南北線、目黒線~三田線)。この4方面に関わる事業者は合計7社局。以下の陣容である。
・相模鉄道
・東急電鉄
・東京地下鉄
・東京都交通局
・埼玉高速鉄道
・東武鉄道
・西武鉄道
このうち、西武鉄道は相鉄新横浜線・東急新横浜線への直通は行なわない。しかし物理的な線路としてはつながっており、ネットワークの一翼を構成することになる。
また、相鉄本線や東横線・目黒線から新横浜駅に直通するルートができるため、これら各線から東海道新幹線へのアクセスが大きく向上する。従来は、東横線なら菊名でJR横浜線への乗り換え、相鉄本線なら横浜で横浜市営地下鉄ブルーラインへの乗り換えが必要だった。しかし相鉄・東急直通線の開業により、乗り換えがなくなるだけでなく、距離が短くなって速達化を実現する。
登場する車両
異なる路線をつないで相互乗り入れを行なうためには、車両の規格統一が必要になる。乗務員はそれぞれ自社線内のみを担当して、そこに他社の車両が乗り入れてくる関係で、どの社局の車両が来ても同じように扱えないと具合がわるいからだ。そこで、編成両数、走行性能、基本的な取り扱いを揃えて、円滑な扱いを可能にしている。また、路線によって信号保安システムや列車無線システムが異なる場合、相互乗り入れで使用する車両は、すべてのシステムに対応させている。
では、相鉄・東急連絡線で使われる車両はどんな陣容なのか。今回のフォトセッションに登場した車両を見ていこう。
利用者にしてみれば「来た電車に乗る」わけだから、いちいち車両の形式や所属を意識することは少ないかもしれない。だが、さまざまな社局の車両が同じ線路の上を走るため、図らずも「乗り比べ」ができそうだ。内外装における色柄・形状の違いだけでなく、音の違いなど、さまざまな差異がある。
広域相互乗り入れと忘れ物捜索の関係
ほかの多くの路線で行なわれている相互乗り入れと比べると、相鉄本線から都心方面への相互乗り入れは相手が多く、行先も多彩になる。もちろん、誤乗には注意しなければならないが、それだけではない。
実は、車内に忘れ物をしたときにめんどうなことになる可能性がある。忘れ物を乗せたまま、車両がはるか遠方まで行ってしまうからだ。しかも、相鉄本線から横浜方面・都心方面に向かう列車では、乗り入れ先が複数の路線に分かれるから、そのうちどの路線に向かったのか、という問題が出てくる。
ただ、駅のホームに降り立った途端に忘れ物に気付いたのであれば、まだ救いがあるかもしれない。
こうした相互乗り入れを行なう場面では通常、両先頭車の前面に数字とアルファベットを組み合わせた「運行番号」を表示している。その運行番号を駅係員に知らせることができれば、駅係員は当該列車がどこに向かう列車なのかを把握できる。すると忘れ物の捜索が容易になるし、そこで号車番号まで分かれば、なおよい。
先に7社局の車両を紹介したが、それぞれ運行番号の表示位置も記しておいた。もしものときに役に立てば幸いだ。