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横浜市交通局、新型ブルーライン4000形をいち早く見てきた! 内装一新、開放感ある車内に

2022年3月30日 公開

編成全景。コンセプトは「海辺の先進的な都会感」とのこと。前面の窓は、一見したところでは大きなガラスに見えるが、実際に素通しになるのは下半分のみで、これは従来車も同様

 横浜市交通局は3月30日、上永谷車両基地で新型車両4000形の報道公開を実施した。4000形は、2017年4月に運行を開始した3000V形に続いて登場する、5年ぶりの新型車両。5月2日から営業運行を開始する予定で、運行時刻などの詳細はWebサイトで公表する予定とのこと。

車両の概要

 横浜市交通局は地下鉄やバスを運営しているが、そのうち地下鉄はブルーライン(あざみ野~湘南台、40.4km)とグリーンライン(中山~日吉、13.0km)の2路線がある。そのブルーラインで使用している車両のうち、最古参の3000A形に代わる車両として、4000形を導入することになった。

 当初、5年前に1編成だけ造られた3000V形を増備する計画だったが、その後の方針変更により、新形式を起こすことになった。そのため、メカ的には3000V形と共通する部分が多いが、車体や内装は一新された。製造元が3000V形の日本車輌から川崎車両(以前の川崎重工業)に変わったため、先頭部形状だけでなく、車体側面の外観にも変化が生じた。

 4000形では最新のガイドラインに合わせて、バリアフリーに関するレベルの向上を図った。また、安全性や快適性を高めるための改善も取り入れている。

車両の外観と運転台

 4000形は6両編成で、中間の4両が走行用のモーターを備える中間電動車、両先頭車は走行用のモーターを持たない制御車。車体は従来の車両と同様にステンレス製で、腐食に強いことから塗装はしていない。

左は3000V形、右は4000形。4000形の先頭部は平面の組み合わせでできており、“鼻筋”のエッジが目立つ
列車種別、行先、運行番号は、カラーLEDで表示する
新型車両ということで記念装飾が施されているが、腰部より上に集中している。側窓より下の範囲は可動式ホーム柵に遮られていて見えないから、これでよい
台車は一般的なボルスタレス台車。ブルーラインは第三軌条式といって、頭上に架線を設ける代わりに、線路脇に給電用のレールを設置する方式。そのため、一部の台車は給電用のレールに接触させる集電靴(コレクターシュー)を備えるが、先頭車の台車(写真)には付いていない。電圧は直流750V
側面のLED行先表示器。種別を表示している状態。これは日英併記
路線と次駅を日本語で表示している状態
路線と次駅を英語で表示している状態
行先を表示している状態。これは日英併記
運転台。加減速の操作に使う主幹制御器ハンドルは右手で扱う。ただし通常はATOによる自動運転
ATO運転を行なっているため、運転台には発車を指示するボタン(2個の白いボタンを同時に押し込む)がある。また、ワンマン化しており運転士が側扉の開閉指示を出すので、そのためのボタンもある
前面の非常口はスイングして開く構造で、車内側には避難用の梯子が格納されている

車内の様子

 4000形は、メカニズムの部分では3000V形から引き継いだ部分が多いが、内装のデザインは一新された。

床面はブルーラインのシンボルカラーであるブルー、壁面を模様入りのグレーとした。シート端部の袖仕切は、座っている乗客と立っている乗客の干渉を防ぐために大型化したが、中央に透明な部材を入れて、狭さを感じさせないように工夫している
側扉の内側と、側扉付近の床面はイエロー。これは注意喚起色で、デザインというよりも、バリアフリー上の要請によるもの。写真の側扉上部には車内防犯カメラはなく、反対側の側扉の上に付いている
ゆずりあいシート(いわゆる優先席)は認識性を考慮して、床面は赤、壁面は白としている
全車の車端部に車椅子スペースが設けられている
ただし両先頭車では、運転台の直後が車椅子スペースとなっている
車椅子スペースには、車椅子固定装置と非常通報装置を備えている。この部分の手すりを2段にしたのは、4000形における改良点の1つだという
側扉の上部、鴨居部分に付いている開閉予告灯は、従来の車両とも共通するアイテム
ロングシートはバケットシートとして、ひとりずつの着席区分を明確化している。座面幅は従来の470mmから480mmに拡大された
こちらは車端部だが、扉間と同様に6人掛け。最近の車両としてはめずらしく、腰掛の下に蹴込板があり、ここに暖房用のヒーターが収まる
車内防犯カメラの設置場所は側扉の上。千鳥配置なので1両あたり3台設置となる。つまり、向かい合う左右の側扉のうち、片方の上部にカメラがあり、その位置が扉ごとに逆になる
貫通路の扉はガラス製。素通しのガラスでは、開いているものと勘違いしてガラスにぶつかる可能性がある。そこで横浜をイメージしたパターンを設けて、扉の存在が分かるようにしている
4号車は朝ラッシュ時に女性専用車になるため、貫通路扉にもその旨の標記がある
冷房装置は車端部の天井に組み込まれており、その部分だけ天井が少し低くなっている
車内抗菌加工の実施は最近のトレンド。光を利用して抗菌効果を発揮するとのこと
非常口と非常通報装置の場所に関する表示が、側扉に近い荷棚上の壁面にある
側扉の脇に設けられた非常通報装置
製造元は神戸の川崎車両(以前の川崎重工業)

今後の予定

 4000形は、令和4年度に5編成、令和5年度に3編成、合計8編成の投入を予定している。これは、代替対象となる3000A形と同数である。

 なお、営業運行開始の前日、5月1日に試乗・見学ツアーを予定している。AコースとBコースの2種類があり、それぞれ30名ずつ。4月4日10時から、横浜市交通局協力会のWebサイト、あるいは電話(045-315-3888)で予約を受け付ける。