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JAL、航空業界初のSDGs債発行。A350や787など低燃費機材の導入を加速

第3四半期決算は貨物事業がコロナ前3.5倍まで成長

2022年2月2日 発表

JALが2021年度第3四半期決算を発表した

 JALは2月2日、2021年度第3四半期決算を発表した。説明を担当したのは、代表取締役専務執行役員 財務・経理本部長の菊山英樹氏と、常務執行役員 総務本部長、サステナビリティ推進委員会委員長の植田英嗣氏。

 売上を事業別に見ると、国際旅客は11月の米国の入国規制緩和などでアジア~北米間の通過需要が増加した一方、オミクロン株の拡大で赴任者の帰国需要などに対応した結果、前年同期比で156.8%増(295億円増)の484億円。国内旅客はGo To トラベルのあった2020年より好調で、同27.4%増(375億円増)の1744億円。

 コロナ禍で好調の続く貨物事業は、需給の逼迫で海上輸送から航空輸送への転換が進み、自動車部品や半導体部品の北米向け輸送などが堅調な推移となり、単価も上昇傾向が続いた。77.1%増(701億円増)の1610億円となり、コロナ前(2019年度)比較で3.5倍まで成長している。

 以上から、売上高は前年同期比で39.8%増(1419億円増)の4984億円となったが、コロナ前との比較では5割強にとどまっている。EBIT(利払前税引前利益。以前の指標でいう営業利益)は1833億円の損失。前年同期の2941億円の損失から大きく改善しており、当四半期単独で見ると、第1が▲826億円、第2が▲691億円、第3が▲315億円と順調な改善傾向にあることが分かる。純損失は1283億円で、前年同期からは844億円改善している。

 グループの連結財政状況は、有利子負債が5151億円、うち1年以内の返済額は666億円で、総資産は2兆3126億円。自己資本比率は35.4%(ハイブリッドファイナンスを加味した格付け上の数字は42.9%)となっている。また、EBITDA(EBIT+減価償却費)は第3四半期単独で118億円の黒字で、2019年度第4四半期以来の黒字化を達成している。

 オミクロン株の拡大という不透明な状況が続くものの、堅調な貨物事業の増収とコスト削減などによって、第2四半期決算の際に明らかにした通期の見通しについては、今回変更しないという。また、同じく第2四半期決算の際、株主への中間配当は「業績を鑑みて見送り」としていたが、今回の発表で期末配当についても無配をすることを決めている。

 なお同日、JALはトランジションボンドの発行が決定したことを発表している。トランジションボンドとは、企業が脱炭素社会への移行(トランジション)に資する取り組みの資金として発行する社債(ボンド)で、同社にとって初めてのSDGs債であり、航空業界として初のトランジションボンドでもあるという。

 発行は3月ごろの見込みで、年限5年の100億、年限10年の100億を予定している。調達した資金は、低燃費の機材(エアバス A350型機、ボーイング 787型機など)への更新に充てられる。

日本航空株式会社 財務部 部長 木藤祐一郎氏(右)