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JAL、3000億円の資金調達について説明。国際線A350-1000投入など成長投資に

2021年9月10日 発表

JALが3000億円の資金調達について説明した(写真は2018年2月のA350-1000型機の試験機披露時)

 JALは9月10日、総額3000億円の資金調達についてオンラインで会見を開いた。同日、劣後特約付きタームローンの契約を締結し、公募形式による劣後特約付き社債の訂正発行登録書を提出している(劣後は支払い順位の低い債権のこと)。

 劣後ローンはトランシェ(区分)Aが1500億円、トランシェBが最大500億円で、弁済期日は2056年と2057年。期限前の弁済可能日はそれぞれ2026年と2027年になっている。劣後債の発行は1000億円程度で、償還期限は37年後、期限前償還可能日は7年後。

 この3000億円の使途について財務部長の木藤祐一郎氏は、デルタ株の感染拡大など新型コロナウイルスの収束がまだ見通せないことから、今必要な手元の資金だけでなく、今後も見据えて必要なときに十分な資金を確保したいという「守りのファイナンス」と、中期経営計画を遂行し、成長に向けた投資を行なうために良質な長期性資金を確保するための「攻めのファイナンス」の2面性があると説明した。

 後者については、具体的には現在の主力国際線機材であるボーイング 777-300ER型機をエアバス A350-1000型機に置き換えていくほか、国内線におけるレベニューマネジメントシステムの刷新などに資金投入するという。

 同社は2020年11月に新株発行による公募増資を実施しており、1826億円の資本増強を行なっている。今回の資金は会計上は有利子負債になるものの、50%に当たる1500億円程度は格付け機関から資本として認定される。そのため、資本と負債の中間的性質を持つ「ハイブリッドファイナンス」と位置づけており、株式の希薄化を伴うことなく、財務体質の悪化を回避しながら長期的な資金を確保できるとしている。