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ANAのオンラインツアー「潜入!ANA機内食工場見学と機内食の秘密ツアー」に潜入してみた

2021年3月26日、27日 実施

潜入!ANA機内食工場見学と機内食の秘密ツアー

 ANAセールスは3月26日と27日、オンライン企画として「潜入!ANA機内食工場見学と機内食の秘密ツアー」を開催した。

 新しい旅のカタチとして2020年11月から始まった「ANAトラベラーズ オンラインツアー」の第6弾として、ANAケータリングサービス(ANAC)とタイアップして企画したものだ。本稿では、27日に行なわれた内容をレポートする。

オンライン配信では、ANA総料理長である清水誠シェフが生出演

「潜入!ANA機内食工場見学と機内食の秘密ツアー」は、普段は一般公開していない機内食工場の様子を、ANA総料理長である清水誠シェフが解説しながら案内する約1時間のオンラインツアーだ。

 機内食付き(5980円)、一般視聴(2980円)の2つのプランが用意されたが、機内食付きは大人気で、各回100名(和食セット50名、洋食セット50名)が1週間で完売した。和食セット、洋食セットは、それぞれ国際線エコノミークラスで提供されている人気メニュー3種類が、開催日までに視聴者のもとに届けられた。

 機内のみでしか提供していなかった国際線機内食は、2020年末からANAの公式通販サイト「ANAショッピング A-style」と楽天市場で数量限定で販売しているが、短時間で完売してしまうほどの人気ぶりで、現在は1週間おきに用意しているそう。そのような機内食へのニーズの高さとともに、それを作っている工場の内側も利用客には興味を持ってもらえるのでは、ということが本企画の理由だ。

 スタッフによると、もともとは2020年3月に社員向けに機内食の勉強会が開催される予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となり、落胆の声が多く寄せられた。「社員も興味のある内容なので、利用する皆さまにとってはもっと知りたいことではないのか」といった考えからANAケータリングサービスの協力を得て、総料理長である清水シェフに監修してもらうことになった。

和食セットの機内食「鳥唐と彩り野菜のお弁当」
和食セットの機内食「チキン南蛮」
和食セットの機内食「赤魚の照り焼き」
洋食セットの機内食「干し芋を使ったチキンカレー」
洋食セットの機内食「タンドリーチキン」
洋食セットの機内食「イングリッシュマフィンとオムレツ」

 オンラインツアーはZoomを使ってリアルタイムで配信され、チャット機能を使って意見を投稿したり清水シェフに質問したりといったこともできる。事前にスタッフが工場内を取材した映像を視聴しながら清水シェフが解説し、最後は視聴者の質問に答える流れで進められた。

 ANAケータリングサービスの工場は羽田、川崎、成田の3か所にあり、今回紹介したのは川崎工場だった。旅行需要のピーク時には、川崎と成田の2か所合わせて1日に3万食を製造しているとのこと。

ANAケータリングサービスの工場は羽田、川崎、成田の3か所

 食品を扱う工場なので衛生面を第一に、決められた服装や手洗いなど入室ルールを徹底して守るシーンから始まる。その後は洋食部門、和食部門における材料の仕込みから調理、盛り付けなどが次々と紹介されていた。

 ファーストクラスやビジネスクラスで提供される手間のかかった料理が数々登場し、視聴者からは「美味しそう!」「食べてみたい!」といった声がチャットで多く寄せられていた。また、エコノミークラスの機内食も一つ一つていねいに手作業で盛り付けられているシーンについても印象に残ったようだ。現場シェフの視聴者に対する熱いメッセージもきっと届いたことだろう。

プレパレーションでは、野菜や肉、魚などの下ごしらえをする
HOTキッチンでの調理シーン
ディッシュアップでは料理を彩りよく盛り付けていく
現場シェフへのインタビューも

 作っただけでは終わらないのが取材映像のスゴイところで、X線による異物混入検査をし、冷蔵室からカートに収められ、ドリンクやアメニティといった機用品とともに専用トラック・フードローダー車で空港に向かい、機内に運び込まれるところまでを追っている。製造してから出荷するまでにも多くの部門やスタッフが関わっており、多くを学べる機会となった。

できあがった機内食は、フードローダー車の保冷コンテナで空港まで届けられる。コンテナがリフトで持ち上がり、飛行機に直付けで搬入される

 続いては、今回のオンラインツアーの機内食付きプランで発送された洋食と和食が紹介された。洋食のタンドリーチキンにはビールか辛口のリースワイン、和食のチキン南蛮にはハイボールを合わせると美味しくいただけるというアドバイスには、視聴者から「飲み物を持参すればよかった!」という声も上がっていた。さらには清水シェフが考案したファーストクラスで提供されるコース料理も紹介され、豪華な品々がずらりと並ぶ姿も反響が大きかった。

和食セットと洋食セットのメニューを解説し、料理に合うドリンクも紹介
ファーストクラスで提供されるコース料理
アペタイザーは、赤ピーマンのムースにタラバガニとズワイガニのコンソメジュレをのせ、ベルギー産のキャビアとともにいただく
メインディッシュは、和牛フィレ肉のグリル(140g)に神戸ワインとマスタード・九条ネギのコンディメント、ホワイトワインとフォンドヴォーを使ったソースで提供
デザートは、さくらモンブランとブラッドオレンジのソルベに赤ワインソースをかけたもの

 機内食には幼児向けや健康に配慮したもの、宗教的な約束事に留意したものなど、スペシャルミールと呼ばれる特別な機内食が用意されている。ANAでは24種類を用意しているが(要予約)、今回のオンラインツアーでは4つが紹介された。2~5歳児向けのチャイルドミール(CHML)、低糖質な糖尿病対応ミール(DBML)、ハラール認証を取得しているイスラム教徒用/モスレムミール(MOML)、肉類や魚類を使用していないベジタリアンミール(VLML)が紹介され、それぞれを清水シェフが使用できない食材や工夫している点などを詳細に解説した。

チャイルドミール(CHML)
糖尿病対応ミール(DBML)
イスラム教徒用/モスレムミール(MOML)
ベジタリアンミール(VLML)

 最後の質問コーナーでは、視聴者からさまざまな問いが寄せられた。「高度が高いと味覚が低下すると聞きましたが、どのような工夫をしていますか?」といった質問には、味覚がぼやけるので、塩分を強くするといったものではなく、スパイスや調味料を上手に使ってハッキリとした味わいになるよう心掛けていると回答。「今までの自信作は?」に対しては、試行錯誤してレシピを考案したANAハンバーグで、ANAの文字も使わせていただいていますと答えた。

「ANAの機内食の強みは?」という問いかけには、SKYTRAXの国際線ビジネスクラスの機内食を評価する「Best Business Class Onboard Catering」部門において2019年に最優秀賞を受賞するなど、美味しさに対する評価もいただいていると胸を張って答えていた。ちなみに、ANAはSKYTRAXより、世界最高評価である5スターの航空会社として8年連続で認定されており、衛生・清潔に関する「COVID-19 Airline Safety Rating」もアジアで初めて5スター認定されている。

「シェフは自宅でも料理しますか?」「機内食のシェフをやろうと思った理由は?」「今までの失敗談は?」といった清水シェフに対する質問も多く寄せられるなか、終始にこやかにコミュニケーションが深められていた。

 このオンラインツアーはオリジナル映像に加え、総料理長である清水シェフも登場するなど、非常に内容の濃い企画となり、視聴者からも好意的な意見が多く寄せられたそうだ。工場内の様子も、「とにかく最初から最後までを見せたい」という清水シェフの強い願いから、普段目にしない部分も紹介したとのことだ。今後は第2回も検討しているそうなので、ANAセールスのオンラインツアーを引き続き注目したい。