ニュース

5時間2500円の絶妙な価格設定。JR九州ホテルズのテレワークプランを体験してみた

2021年1月18日~3月31日 実施

JR九州ホテルズが提供するテレワーク向けのデイユースプランを試してみた

 JR九州ホテルズは、九州全域と東京エリアに展開している各ホテルにおいて、デイユースプランの提供を開始した。8時~19時の時間帯のうち、5時間または9時間の滞在時間を選ぶことができるもので、ベッドやバスルームが利用できないなどの制約はあるが、デスクや高速Wi-Fi、備え付けのドリンクなどを提供している。

 料金は、九州地区のホテルなら5時間2500円(東京地区は5時間5000円)。コワーキングスペースのドロップインプラン(時間単位の都度利用)に迫る価格設定となっており、自宅以外に仕事場所を求めるサラリーマンや出張時の一時的な作業場所として好評を得ているそうだ。

 今回は「THE BLOSSOM HAKATA Premier」(福岡市博多区博多駅前2-8-12)で、実際に筆者が利用したときの体験をまとめてみた。なお、本プランの提供期間は3月31日までとされているが、動向によって期間延長も検討するとのこと。

THE BLOSSOM HAKATA Premier(福岡市博多区博多駅前2-8-12)
エントランス。フロントはエレベーターで4階へ
エントランス前は歩道も広く、大型複合施設キャナルシティ博多が近い
建物の2階にはレストラン街
エントランス脇にはスターバックスコーヒー
フロント
ロビー

プラン一覧

利用時間: 8時~19時(全ホテル共通)
料金:
九州沖縄地区 5時間2500円、9時間3900円
東京地区 5時間5000円、9時間7800円
対象客室:
「THE BLOSSOM HAKATA Premier」デラックスツイン(31m 2
「JR九州ホテル ブラッサム博多中央」スタンダードダブル(19m 2
「JR九州ホテル ブラッサム福岡」スーペリアダブル(21m 2
「JR九州ホテル ブラッサム大分」スタンダードダブル(19m 2
「JR九州ホテル ブラッサム那覇」デラックスダブル(28m 2
「JR九州ホテル長崎」スタンダードシングル(15m 2
「JR九州ホテル宮崎」スタンダードシングル(16m 2
「JR九州ホテル鹿児島」スタンダードシングル(15m 2
「THE BLOSSOM HIBIYA」スーペリアダブル(25m 2
「JR九州ホテル ブラッサム新宿」スタンダードシングル(18m 2

テレワークのためデスク付きルームを設定。ベッド・バスルームは使用不可

THE BLOSSOM HAKATA Premieのデラックスツイン(31m2

「THE BLOSSOM HAKATA Premier」のデイユースプランで提供する客室は、31m 2 のデラックスツイン。福岡市内にはほかに「ブラッサム博多中央」「ブラッサム福岡」とあるが、そちらは約20m 2 の客室を提供する。どのホテルの客室も1人でデスクに向かうには十分な広さがある。あくまでデスクワークができることが重要であって、シングルの客室でも快適に使えるはずだ。

肝心のデスクまわり

 通常の滞在と違うのは、ベッドとバスルームを使えない点。リネン交換のコストを抑えていることも、このプランを特別価格で実現できている大事な要因だ。チェックイン時に渡される注意書きに、使用した際の追加料金などが細かく記載されているので、しっかり読み込んでおく必要がある。それ以外、トイレ・洗面所・備え付けのドリンク類などは自由に使用できる。

 今回のデラックスツインは31m 2 の余裕のある空間で、部屋と水回りをスライドドアで仕切ることが可能。横幅のあるワークデスクは落ち着いた木目調。天板の奥行きはたっぷりとはいかないが、LEDのデスクライトと壁掛けの液晶テレビの存在感が目立つ。

筆者のノートPCであるMacBook Pro 13インチを置いたところ
LEDデスクライト
液晶テレビに接続するためのHDMI端子
このあたりも自由に使用できる
ベッド脇のチェアとテーブル。休憩はこちらで

 デスクにノートPCを置いてタイピングの姿勢をとると、両肘は天板から外れてしまうが、作業のしづらさは感じない。テレビからはHDMI端子が伸びており、外部モニターとして使用できる。しかし距離が近すぎることから、休憩時のエンタテイメント利用に留めておくか、自分の座る位置を調整することをお勧めする。その場合、真正面は避けた方がよさそう。

実際の使い心地は?
電源が少し遠めに感じた(純正ケーブルなら問題なし)
取材当日15時のWi-Fiの速度。十分なスピードが出ていた

 電源の位置は、デスク横に連なっている一段高いテーブルの壁に配置されている。筆者のMacBook Pro 13インチだと、デスクの中央付近に座った場合、手持ちの1mケーブルでは届かなかったので、購入時に付属する2mの純正ケーブルを使用した。テレワークではこんなこともあるので、少し長めのケーブルを携行した方が無難だろう。

 Wi-Fiのスピードテストも行なってみたが、上り下りともに平均で500Mbps弱といったところ(取材当日15時ごろ)。これだけスピードが出ていれば画像など大きなデータのアップロードも快適に行なえる。屋外や廊下の音は遮られており、自宅やカフェ、コワーキングスペースのような喧騒を避けたい場合にも適していると感じた。何にも邪魔されない作業スペースとして、かなり集中できる環境だろう。オンライン会議で家族やペットにジャマされるハプニングもない。

「静かな空間で誰にもジャマされない」ことが最大のメリット。大事なオンライン会議などに好適

 どうしても気になってしまうのは、せっかくホテルの客室という空間にいながら、作業で疲れたときに横になれないこと。「ああ疲れた」とベッドにダイブしたい気持ちを抑えることになる。

 こうしたときは窓際のチェアで休憩するなり、外食で気分転換したりするとよいだろう。JR九州ホテルズが各地で展開しているホテルは、どこも各地の主要駅近くにあるため、駅ビルなど飲食店が集中しているゾーンへのアクセスがよい。

 プランは5時間と9時間があるが、例えば5時間のプランを選択する場合、昼食を済ませて13時にチェックイン、途中休憩を挟みながら18時まで、といった使い方だと効率がよさそう。とにかく短時間で集中したい人にはよいプランだと感じた。

 各地にあるコワーキングスペースをすでに利用している読者もいるかもしれないが、必ずしも電話ブース・オンライン会議用の個室があるとは限らない。ホテルのテレワークプラン最大のメリットは「静かな空間で誰にもジャマされない」ことで、集中して仕事に取り組める環境としてお勧めできる。あとは利用者が感じる価格とのバランスだが、その点、JR九州ホテルズが提供している今回のデイユースプランは絶妙な価格設定だと感じた。

部屋の入口から奥を見たところ
洗面台。こちらは使用可能
バスルームは使用不可
トイレは使用可能
ベッドサイドの照明コントロール
部屋の奥から仕切りドアを閉めてみたところ
窓が大きく夜になると雰囲気がガラッと変わる

「10回で1回無料」の回数券プランを準備中

JR九州ホテルズ株式会社 営業部 副部長 米倉和彦氏

 今回の取材にあたり、JR九州ホテルズ 営業部 副部長の米倉和彦氏にデイユースプランについて、利用状況や今後の展開を伺った。

「今回のプランは、自宅でテレワークをする際にご家族がいる状況で仕事がしづらい、ネット環境が整っていないと悩みを抱えているビジネスマンの方に快適な場として使っていただけたら、と始めました。私たちのホテルは主要駅の近くにあるので、アクセスや周辺環境から便利にお使いいただけます。

 料金もエリアごとに統一しています。1月から3月末までの予定ですが、反響によって延長も検討しています。

 ここ福岡は、東京からの出張の方にご利用いただいております。出張自体はまったくゼロになったわけではなく、支店などの現地拠点が市内から遠いとか、帰りの飛行機の時間まで静かな部屋でPC作業したい、という需要が多いですね。

 いま検討しているのは、10回分の料金でプラス1回お使いいただける回数券です。手軽な金額ですが、社会貢献といった意味合いもあります。コワーキングスペースの料金に迫りながら、ホテルの機能性を感じていただけるかと思います」という。

 テレワークの日々を送っているビジネスマンにとって、「今日は集中したい」「大事なオンライン会議がある」「気分転換したい」という需要にピッタリ応えてくれるプランとして、活用してみてはいかがだろうか。