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首都高、2017年度決算会見。大雪対策などで4期ぶりに10億円の営業損失

2018年度は外環道千葉区間開通による減収はあるものの「1%未満の影響」

2018年6月12日 開催

首都高速道路株式会社 執行役員 CS推進部・財務部担当の森祐二郎氏が第13期(平成30年3月期・2017年度)決算について説明した

 首都高(首都高速道路)は6月12日、東京・霞が関の本社で会見を開き、執行役員 CS推進部・財務部担当の森祐二郎氏が第13期(平成30年3月期・2017年度)決算について説明した。

 首都高のグループ連結決算は、営業収益は前年度比32.5%減の4460億円、営業費用は32%減の4457億円、営業利益は95.1%減の2億円となった。主な要因は、2016年度に神奈川7号 横浜北線(K7)の完成(2017年3月18日開通)と高速道路機構(独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構)への引き渡し(3220億円)があったため。

 また、特別利益として厚生年金基金の代行返上益150億円を計上、親会社株主に帰属する当期純利益は27.8%増の104億円となっている。仮に厚生年金基金代行返上益にかかわる影響を除いた場合の親会社株主に帰属する当期純利益は8700万円になる。

首都高のグループ連結決算の概要

 高速道路事業の損益状況については、料金収入は景気の緩やかな回復基調のなか、2017年3月に開通した横浜北線のネットワーク効果などによる交通量の増加(前年度比1.7%増)により0.2%増の2701億円。

 高速道路機構への道路資産の売上高である道路資産完成高は、10号晴海線 晴海~豊洲間(延長約1.2km)の開通、1号羽田線 東品川~鮫洲迂回路の供用などにより1440億円。前年度比で60.8%減だが、営業費用において、道路資産完成高と同額の道路資産完成原価を計上しているため、損益に与える影響はなし。

 営業費用は、高速道路機構との規定に定める道路資産賃借料1877億円を計上。管理費用等は、安全・安心のための維持補修や1月の関東甲信越地方の大雪などへの対応費用が増加し、前期比8.7%増の835億円。これらにより、高速道路事業は10億円の営業損失となった。営業損失は同じく大雪の影響があった第9期(平成26年3月期・2013年度)以来となる。

首都高の高速道路事業の損益状況

 関連事業の損益状況については、都市計画駐車場事業(5カ所)と高架下駐車場事業(58カ所)を運営しており、それらの営業収益は前年度比2.9%増の31億円。

 国や地方公共団体から道路建設などを請け負っている受託事業は、横浜環状北西線のシールドトンネル工事などが進捗したことにより、営業収益は38.2%増の260億円。営業費用は40.6%増の259億円となった。

 そのほかに休憩所施設、高架下賃貸施設の運営・管理などを行なっており、営業収益は9.4%増の30億円。以上により、17.2%減の12億円となった。

横浜環状北西線のシールドマシン発進式で公開した2台のシールドマシン(2017年3月27日撮影)
首都高の関連事業の損益状況

 連結財政状態については、資産の部は、高速道路の建設などに要した費用を計上する仕掛道路資産において、横浜環状北西線などの進捗による1488億円の増、晴海線 晴海~豊洲間完成などで道路資産を高速道路機構に引き渡したことによる1440億円の減、以上から仕掛道路資産残高は47億円増の1962億円。総資産残高は346億円減の4306億円となった。

 負債の部は、道路建設に要する資金調達である社債・借入金について新規路線建設の資金調達により1567億円増、高速道路機構への債務引渡により1433億円減などにより、道路建設関係社債残高は1140億円、道路建設関係長期借入金残高は1272億円。結果、負債残高は481億円減の3692億円となった。

首都高の連結財政状態

 第14期(平成31年3月期・2018年度)の連結業績見通しについては、営業収益は、高速道路事業の料金収入が2700億円、道路資産完成高が1507億円で、駐車場など関連事業と合わせた全体で4520億円を見込んでいる。

 料金収入の2700億円は、6月2日に開通したNEXCO東日本(東日本高速道路)の外環道(東京外かく環状道路)三郷南IC(インターチェンジ)~高谷JCT(ジャンクション)への交通の転換による減収が予想されるものの「1%未満の影響」であり、横浜北線や晴海線などのネットワーク効果継続による増と勘案し、1億円の微減という試算。

 また、高速道路機構への道路資産引渡においては晴海線のような新規の予定はなく、特定更新事業などのみ。以上により、営業利益は15億円、経常利益は10億円、親会社株主に帰属する当期純利益は6億円を見込んでいる。

首都高の第14期(平成31年3月期・2018年度)の連結業績見通し

 会見では、2017年度の事業概況についても説明があった。9号深川線、11号台場線に続く、湾岸線と都心を結ぶ第3のルートとして3月10日に開通した晴海線 晴海~豊洲間だが、開通1カ月の平日平均で晴海出入口は1日あたり約5000台、豊洲出入口を加えた晴海線全体は約1万1000台の交通量となった。

 豊洲出入口を利用していた交通の約4割が晴海出入口利用に転換した結果、並行する有明通りの晴海大橋南詰交差点における渋滞が大幅に緩和、晴海出入口と接続する晴海三丁目交差点では渋滞は発生していないという。

10号晴海線 晴海~豊洲間(延長約1.2km)の開通の効果
3月10日に開通した10号晴海線 晴海~豊洲間(2018年2月7日の現場公開で撮影)

 中央環状線(C2)堀切JCT~小菅JCT間(延長約0.6km)の内回りと、板橋JCT~熊野町JCT間(延長約0.5km)の内回り/外回りについては、どちらも短い区間に合流と分流が混在し渋滞が頻発していたため、それぞれ2月25日と3月18日に、3車線から4車線に拡幅した。

 堀切JCT~小菅JCT間の4車線化の効果は、1時間あたりの最大通過台数が5000台から5300台へ増加し「走行性が向上」、渋滞損失時間は約1割減少し「渋滞が緩和」した。板橋JCT~熊野町JCT間の4車線化の効果も、最大通過台数が1万500台から1万1100台へ増加し「走行性が向上」、渋滞損失時間は約4割減少し「渋滞が緩和」した。

中央環状線 堀切JCT~小菅JCT間の4車線化の効果
中央環状線 板橋JCT~熊野町JCT間の4車線化の効果