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日立製作所、鉄道ビジネスを説明。2018年度は西武鉄道 新型特急「Laview」納入などの実績
「北米に大きなビジネスチャンス」とアリステア・ドーマー執行役副社長
2019年6月4日 21:27
- 2019年6月4日 実施
日立製作所は、6月4日に開催した事業戦略説明会「Hitachi IR Day 2019」において、モビリティセクターに関する事業方針などについて説明。2021年度には、売上収益は1兆2700億円、EBIT率は11.2%、ROIC(投下資本利益率)は13.1%を目指すことを明らかにした。
日立製作所 代表執行役 執行役副社長 アリステア・ドーマー氏は、「鉄道事業においては、継続的なM&Aを検討している。これにより、モビリティセクター全体でのさらなる売上収益の拡大を見込んでいる」とした。
モビリティセクターは、鉄道事業およびビルシステム事業で構成。2018年度の売上収益は1兆2381億円となり、過去5年間における同セクターの年平均成長率は11.9%増と2桁成長を記録しており、海外売上収益比率は69.3%に達しているという。
そのうち鉄道事業は、売上収益が前年比9.6%増の6165億円。調整後営業利益率は7.5%。過去5年間の平均成長率は39%増という高い成長を遂げている。
ドーマー氏は、「鉄道事業は意欲的な計画を立てており、車両案件の一部が2019年度に後ろ倒しとなったことで、2018年度の売上収益は、見通しには未達だった」としたものの、「鉄道事業は、過去最高の売上収益および調整後営業利益率を達成している。また、過去最高の車両納入および受注を獲得している。
受注高は、台湾やサウジアラビアでの大型案件獲得もあり、7146億円に達し、2018年6月時点の見通しに比べて12%も上回っている。事業成長しながら利益が上がり、さらに質の高い商談を獲得している。新規のサービス契約や保守契約を獲得しており、今後はこれらのビジネスが成長すると予測している。また、今は10%の売上構成比である北米市場には、大きなビジネスチャンスがあると考えている。北米には2か所の製造拠点があるが、受注拡大の速度にあわせて、北米での新たな製造拠点の設置などを検討していきたい」とした。
2018年度における鉄道事業の売上構成比は、車両事業が51.1%、信号・ターンキー事業が37.9%、サービス/保守事業が11.0%となっているが、2021年度には、サービス/保守事業は18.0%にまで拡大させる計画だという。また、地域別では、日本/アジアパシフィックが27.8%、欧州/中東/アフリカが62.3%、米州が9.9%となっており、米州での事業拡大を加速させる。
日本では、JR東海(東海旅客鉄道)向け新幹線「N700S」量産車内示獲得、JR東日本(東日本旅客鉄道)向け新幹線「E5系3編成(30両)」およびE7系車体と電気品納入、大阪高速鉄道向け新型モノレール3000系の納入、西武鉄道向け新型特急車両「001系(Laview)」の実績があるほか、英国では、61編成のアペリオスコットレール向け「Class385」車両の納入、デンマークのコペンハーゲンメトロ向け車両の完納などの実績があった。
さらに、台湾の交通部台湾鉄路管理局向けEMU車両の600両の受注、ミラノ地下鉄のLeonard車両の12編成の追加受注、Ferrovie Nord Milanoと最大120編成までのカラバッジオ車両の包括契約の締結などの受注実績があった。そのほかにも、リヤド地下鉄と12年間にわたるオペレーションおよびメンテナンス契約や、JR東日本 北陸新幹線の敦賀延線の信号およびTMSの受注、マレーシアのジョホールバルでのマレーシアメインラインの信号システムの受注などの実績があったという。
今後の投資についても言及。「2021 中期経営計画の期間中においては、競争力強化のため、デジタルおよびIoTに投資をすることになる。特に、イタリアなどで導入されている予防保全強化に向けて、デジタルおよびIoTへの投資を進める。これは、車両から発信されるデータを活用することで、予防保守に活かすことができるものになる。また、日立がデジタル信号の最先端プレーヤーとしてのポジションを維持するための投資も続けていくことになる」と述べた。
さらに、駅で待機している人の数にあわせて運行ダイヤをダイナミックに変更する「ダイナミックヘッドウェイ」への取り組みや、無人自動運転による省力化の提案、チケットなしで鉄道の利用を可能にするオペレーションサービスの効率化といった分野への投資も続けていくことになるという。
また、ドーマー氏は、「日立の鉄道事業は、人口増加や都市化、気候変動といった社会の変化に対応する形で、より速く、より環境に優しい都市間移動や、都市部における自動車依存の軽減などを実現できる」としたほか、次世代車両プラットフォームではリサイクル可能な材料を95%利用していることを示した。さらに、ビルシステムビジネスユニットでは、利用者の歩行速度にあわせて、エスカレーターの速度を切り替えることができ、高齢者や足にケガをしている人を含めて、すべての人の利便性を高めることができる「気配りセンサー付きエスカレータ」を開発していることを紹介した。
なお、ビルシステム事業では、世界最速の分速1260mのエレベーターの納入実績や、中国市場において昇降機の新設受注台数がトップになったほか、中国のインターコンチネンタル上海ワンダーランド、タイのクルンシィ・プルンチットタワー、日本の東京ミッドタウン日比谷などへの導入実績があることも紹介した。