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日立製作所、鉄道ビジネスユニット事業の目標は2020年代前半まで1兆円の売上収益

1兆円の売上収益、アリステア・ドーマー CEO「これは達成できると自信を持っている」

2017年6月8日 開催

日立製作所の執行役専務 鉄道ビジネスユニットCEOのアリステア・ドーマー氏
株式会社日立製作所の東原敏昭執行役社長兼CEO

 日立製作所は6月8日、報道関係者やアナリスト、機関投資家を対象にした「Hitachi IR Day2017」を開催。日立製作所の執行役専務 鉄道ビジネスユニットCEOのアリステア・ドーマー氏が鉄道システム事業について説明した。

 冒頭、挨拶した日立製作所の東原敏昭執行役社長兼CEOは、「日立はプロダクトを持ち、OTとITを持つ企業であり、これらを一緒に提供できる企業は世界的にも少ない」とし、「例えば鉄道事業では、車両の製造だけでなく信号や運用管理のほか、監視カメラを活用したセキュリティソリューション、デジタルサイネージなども一緒に提供できる。他社にはない日立ならではの強みを活かしたい」と述べた。

 日立製作所では、2018年度に売上収益10兆円、調整後営業利益率8%超、EBITマージンで8%超、当期純利益で4000億円超を目指す「2018 中期経営計画」に取り組んでいる。

鉄道ビジネスユニットの事業概要
グローバルな事業領域
経営陣の紹介

 一方、鉄道システム事業について説明した日立製作所の執行役専務 鉄道ビジネスユニットCEOのアリステア・ドーマー氏は、「2015年にアンサルドブレダを買収し、約1/3がその事業になっている。車両システムは全体の53%、信号およびシステムは26%を占めている。グローバルに事業を成長させており、この1年で英国を中心に約1000人増員している」などと述べた。

鉄道システム事業の2016年度実績

 鉄道システム事業の2016年度実績は、売上収益が4979億円、調整後営業利益が207億円、営業利益率が4.2%、受注高は4731億円と、いずれも見通しを下回り、「Brexit(英国のEU離脱)の影響もあり、円はポンドに対して大幅に高くなり、計画は未達となった」と総括。だが、為替変動の影響を除くと、売上収益および受注高は見通しを上回っているという。

「欧州、米国でも成長しており、英国、イタリアでは施設への大規模な投資を進めた。グローバルなブランド構築が進んでおり、日立は鉄道システム事業をフルサービスで提供する4社に入っている」と語った。

2016年度の実績

 2016年度には、スコットランド向け通勤車両やマイアミ・デイド郡向け地下鉄車両、台北メトロ向け無人運転車両において、最初の編成や車両を納入したほか、JR九州、JR東日本向け蓄電池電車が運行を開始するといった成果があがっている。また、英国やイタリア、インド、中国、マレーシアなどの世界各国において、車両や信号、保守サービスなどの受注を得たという。「台湾での案件は、日立とアンサルドSTSが共同で取り組んだ最初の案件になる」とした。

鉄道事業をとりまくグローバルトレンド
市場環境

 2018年度の売上収益目標は6150億円。調整後営業利益は430億円、営業利益率は7.0%を目指す。「日立が注力している製品や地域は、2021年までは着実に市場成長が見込める。そのなかで、日立は年平均成長率11%増の成長を計画している。2018年度の受注高は約20%という成長を遂げる」と述べた。

 目標達成に向けた重点分野として、高品質なモノづくりの維持および製品プラットフォームの充実と改善のための継続投資による「コア製品の強化」、車両保守事業のさらなる拡大や、顧客の総所有コストの削減寄与による差別化する「車両保守事業の拡大」、IoTやデジタル化によるコア製品の強化および差別化を行う「IoTおよびデジタル化への注力」、日立グループの技術力に裏打ちされたエンド・トゥ・エンドソリューションプロバイダーへの転換を目指す「エンド・トゥ・エンドソリューションの提供」、日立グループの技術力をフルに活用し、鉄道業界におけるイノベーションリーダーを目指す「イノベーションリーダー」の5点をあげた。

成長戦略
コア製品の強化
車両メンテナンスの拡大
IoTとデジタル化への注力

 コア製品の強化では、ロンドン交通局の地下鉄リプレースに向けた3000台の生産を、英国でボンバルディアと半分ずつ担う形で入札したことに触れ、「強力な入札ができた考えている。英国経済にも貢献できる」と述べた。また、車両保守では、英国において27年半に渡る保守契約を結んだことや、車両に1000個以上のセンサーを搭載して、毎秒5回のデータ更新により、予兆診断を含めた信頼性向上やメンテナンス作業の最適化を図ることが可能になるサービスについて説明した。

目標達成に向けた取り組み

 ドーマー氏は、「グローバルの鉄道システム市場は堅調であり、日立はいいポジションにある。鉄道システム事業は、2020年代前半までには1兆円の売上収益を目指す。これは達成できると自信を持っている。将来の成長に向けたコアプラットフォームおよび先端テクノロジーへの投資を進めるほか、製品ラインアップの強化やイノベーションの推進、M&Aによるさらなる成長および差別化により、グローバルメジャープレーヤーとしてのさらなる成長を目指す」とした。

2016年度の業績
業績見通し
キャッシュフロー
業績推移
まとめ