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JR西日本、新快速の有料座席「Aシート」公開。3月16日から姫路~野洲間で毎日2往復
2019年2月28日 19:48
- 2019年2月28日 実施
JR西日本(西日本旅客鉄道)は2月27日、新快速に新たに設定する有料座席サービス「Aシート」を網干総合車両所で報道公開した。
新快速の「Aシート」は、3月16日のダイヤ改正を機に導入する快適性を高めた有料座席。快適性を表わす「Amenity」、この列車が走るJR神戸線/JR京都線/琵琶湖線の路線記号「A」、そして関西弁の「ええ(よい)」から名付けられたもので、223系1000番台のうち、9号車2両(「クハ222-1007」「クハ222-1008」)をこの仕様に改装している。
毎日1編成が姫路駅(網干駅)~野洲駅間を2往復し、もう1編成は予備となる。座席数は46席(自由席)で、着席料金は乗車区間にかかわらず500円(均一料金)。着席後、車掌に現金か交通系ICカードで支払う仕組みだ。
エクステリア
「Aシート」車両は、車体にブルーのストライプが施されており、一目でほかの車両と区別がつく。これは特急サンダーバードとも共通するカラーであり、「Aシート」車両の前後を挟む新快速の帯カラーからの連続性を維持しつつ、特急列車と同等の特別感を演出したとのこと。また窓枠付近は黒でシックに整え、車両前後のドアには黄色のラインが描かれているほか、ドアの隣には「Aシート」のシンボルマークがあしらわれている。
このマークは「A」のフォルムにリクライニングシートの形状を組み合わせたデザインで、シート部分はゴールドで強調し、それ以外の部分をJR西日本のコーポレートカラーと路線カラーであるブルーとした。
通常の223系は車両中央部にもドアがあるが、「Aシート」車両ではこれがふさがれており、その部分の車内にはシートが設置されている。これも特急列車に準じた仕様とのことで、これにより46席を確保した。
なお、223系新快速の大半は姫路方8両(1~8号車)+野洲方4両(9~12号車)の12両編成で運転しており、8号車と9号車はそれぞれ運転台のあるクハ222-1000番台となっている。この9号車が「Aシート」仕様に改装された理由は、一般の乗客が8号車と行き来できないために車内を通り抜けることがなく、またトイレが設置されている車両であるためで、「Aシート」を購入した乗客がより快適に過ごせると判断したからだという。
インテリア
「Aシート」の車内は、有料エリア(座席:立ち席不可)と無料エリア(ドア付近:立席可)に分けられ、全46席の有料部分は壁面と床面をブラウンの木目調とすることで落ち着いた空間を演出している。シートは2列+2列配置で、回転機能とリクライニング機能を備え、シートピッチは約970mmと特急列車並みの広さだ。各シートにはテーブルが備わり、アームレストにはAC100Vのコンセントも用意している。また、車内では無料Wi-Fiサービス(運転台付近に設置)も提供される。
座席とドア付近との間にはガラスの壁を設けることで、ドアから乗車した乗客が空席の状況を一目で確認できるとともに、すでに「Aシート」に着座している乗客に対する静音性も確保した。有料エリアの野洲方にはラック式の荷物置き場も設置し、大型のスーツケースなら6個程度を載せることができる。
また、車両の前後を挟む立席の無料エリアのうち、野洲方にはトイレがある。従来は和式だったが、今回車いす対応の洋式に変更した。トイレのすぐ前の空間は車いすスペースとして確保している。
乗車方法
「Aシート」は事前の予約はできない。直接列車に乗り、「Aシート」に着席し、車内で清算を行なう。満席の場合は利用できない。
1. 「Aシート」がある列車はホームの電光掲示板に表示される。利用する場合はホームの足元に「Aシート」のマークがある場所(「△9」または「△4」)から乗車する。
2. 乗車後、空いている座席に着席する。空席がない場合、有料エリアへの立ち入りはNG。無料エリアで空席が出るのを待つ。
3. 着席後、車内の係員に降車駅を告げ、着席料金500円を支払う。精算は現金、または交通系ICカードが利用できる。
4. 乗車中は「乗車整理券」を座席前の専用ホルダーに入れておく。
5. 降車駅に着いたら「乗車整理券」を抜き取って降車する。
運転は平日、休日とも1日2往復(朝・夕)だが、平日は通勤を、休日は観光を意識したダイヤとなっている。
「Aシート」導入について
取材の最後に、JR西日本 運輸部担当課長の清水誠一氏に話を聞いた。「Aシート」導入の背景について清水氏は、「近年、社会環境の変化とともに、女性やシニア層、また訪日外国人のお客さまから、座って快適に電車を利用したいというニーズが高まりつつあります。こうした声にお応えすると同時に、『JR西日本グループ中期経営計画2022』でグループ共通戦略として掲げております『線区価値の向上』に向けて、近畿エリアでは利便性と快適性に優れた輸送サービスの提供を拡充してまいります。『Aシート』はこのなかで、特に快適性を向上できるものとして導入を計画しました」と述べた。
また、新快速は速達性・ネットワーク性・利便性の面で近畿エリアの基軸となる列車であり、通勤通学はもちろんのこと、お出かけや観光の足など幅広い利用シーンがあることから、利用しやすい輸送サービスを提供することで、「住みたい、行きたい」沿線づくりに寄与していきたいと話した。
なお、今後の「Aシート」の拡大については「現時点では未定」とのこと。3月16日の運行開始後、乗客の反応を見極め、将来的に増発や路線の拡大なども検討していきたいという。