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2019年欧州文化首都「マテーラ」や小さな村や町など、イタリア観光の魅力を紹介するイタリア政府観光局のセミナー
2018年7月14日 00:00
- 2018年7月9日 開催
イタリア政府観光局(ENIT)は7月9日、イタリア観光セミナーを開催。同セミナーは、観光事業者向けにツアーの参考となる観光素材を紹介するもので、イタリアの食、自然、小さな村や町、ラグジュアリー、MICE、アウトドア、スポーツイベントに焦点を当てて、イタリア観光の見どころが紹介された。
同セミナーに参加した、駐日イタリア臨時代理大使のニコロ・タッソーニ・エステンセ・ディ・カステルヴェッキオ氏は「私は1週間前に日本に着任したばかりですが、日本とイタリアは、建築物だけでなく、食やさまざまな文化、芸術をお互いに持ち共有し合う国で、この国に来てごあいさつできることを大変光栄に思います」とあいさつ。
続けて、「2つの国が持っている文化は、両国が相互に興味を持って育んでいる証で、イタリアを訪れる日本人の数が増えていくことを祈っております。イタリア銀行の統計を調べたところ、日本人の旅行者数も順調なようでイタリアのもつ多様性を皆さまに紹介していきたいと思います。イタリアは、美しさや伝統芸術を、都市だけでなく小さな村に持つヨーロッパで唯一の国だと思います。2019年の欧州文化首都に選ばれたマテーラは、その建築的な意義、歴史は世界に唯一なものなので、こういったものにも注目していただきたい」と話した。
2019年の欧州文化首都に選ばれたマテーラ
具体的な見どころについては、イタリア政府観光局のマーケティング・オフィサーの眞井麻紀氏がプレゼンテーションを実施。既存の観光素材である芸術、文化、歴史に加えて、「自然や保護地域や風景」「スポーツや大会イベント」「小さな村や町、無形遺産」「エノガストロノミー」「ラグジュアリー」「MICE:Meeting Incentive Travel Convention Exhibition/Event」という6つをテーマにした観光素材について紹介した。
そうした6つのテーマのなかで、臨時代理大使カステルヴェッキオ氏も触れた「小さな村や町、無形遺産」の領域の動きについては、JATA(日本旅行業協会)による「ヨーロッパの美しい村30選」の販売実績が示され、2017年全体の集客者数は9052名と、2016年の集客者数6813名と比べて対前年比32.86%アップと年々増加傾向であることが紹介された。
具体的にはイタリアの人気旅番組「キリマンジャロ」による小さな村や町2018グランプリを受賞したマルケ州のグラダーラを紹介。グラダーラには、ダンテ「神曲・地獄編」(第5歌)のパオロとフランチェスカの悲劇の舞台となったマラテスタ城があり、城内の見学や村を取り囲む城壁の上を歩く城壁ウォークが可能。城壁からは村の全景やアドリア海の絶景を望めるという。
そのほかにも小さな村や町については、イタリア政府観光局のWebサイトでお勧めの旅を紹介していることや「イタリアの最も美しい村や町協会」公認の234村を紹介する「『イタリアのもっとも美しい村』全踏破の旅」(講談社)が刊行されていることを紹介した。
また、2019年の欧州文化首都に選ばれたマテーラについては、8つの項目で見どころが紹介された。1993年にサッシ洞窟住居群と岩窟協会遺跡公園がユネスコ世界遺産登録されたマテーラは、バーリのパレーゼ空港から42kmの場所に位置する都市。2018年4月にバーリ~マテーラを40分で結ぶ国道SS99が開通し、2019年にはバーリ空港~マテーラを1時間に1本のシャトルバス運行が開始されるという。
見どころとしては、ライトアップされた素晴らしい「夜景」やサンタ・マリア・マドンナ・デ・イドリス教会をはじめとする「岩窟教会巡り」。そのほか、「岩窟教会遺跡公園」では、キリスト教徒たちがこの地に移り住み、自然にできた洞窟を利用して最盛期には130を超える教会を設立したという歴史が示された。現在では貯水槽を利用したスパ・リゾートもあるといい、毎年7月2日に開催しているマテーラの守護聖人ブルーナの聖母祭などについても紹介された。
眞井氏は「日本からのツアーは日帰り観光が主流だが、周辺には大型宿泊施設もあるのでマテーラに宿泊して、素晴らしい夜景を満喫していただきたい」と話した。
そのほか、イタリア文化財・文化活動・観光省の2018年の強化テーマは「食」として、ボローニャ市内からクルマで20~30分の場所に食のテーマパーク「FICO Eataly World」がオープンしたことが紹介された。
FICO Eataly Worldは、レストランやストリートフードのエリアのみならず、イタリアの優秀食品企業が40のワークショップなどを開催、イベントに使える会議場も備え、レストランや買い物だけでなく、生産工場や家畜の飼育まで、食を学び、楽しむ場所になるという。
SNSを活用したプロモーション展開
イタリア政府観光局でWebを担当する落合智子氏からは、Facebook、Twitter、InstagramといったSNSを活用した、デジタルマーケティングや情報発信についてプレゼンテーションがされた。
イタリア政府観光局では、2014年より毎年「VISIT ITALYフォトコンテスト」を、在日イタリア大使館、イタリア文化会館、アリタリア-イタリア航空などの協力で実施している。プレゼンテーションでは、そうしたフォトコンテストの応募作品やイタリア政府観光局がSNSに投稿した写真のなかで反響が大きかったスポットなどが紹介された。
なお、フォトコンテストについては、2018年も日本とイタリア間をアリタリア-イタリア航空を利用した旅行者を対象に、前期(応募締切2018年7月31日)、後期(応募締切2019年1月31日)で実施され、最優秀賞にはイタリアへの往復航空券が前期1組2名、後期1組2名が贈られる。
SNSを活用した観光プロモーションについて、落合氏は「Facebook、Twitter、Instagramで共通しているワードは#発見、#体験、#シェア」と述べ、同局として最新情報の提供+魅力発信という従来の観光局の役割に加えて、リピーターや未渡航者を含めた潜在的な観光客に向けて、新たな「発見」の窓口、「体験」の発信、「要望」の入り口として、SNSを活用していく考えが示された。