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「巨大ねぶた」など1000点超の作品が登場する、ホテル雅叙園東京のアート展「和のあかり×百段階段2018」

東京都指定有形文化財「百段階段」を舞台に7月7日~9月2日開催

2018年7月7日~9月2日 開催

ホテル雅叙園東京では7月7日~9月2日に「和のあかり×百段階段 2018 ~日本の色彩、日本のかたち~」を開催する

 創業90周年を迎えるホテル雅叙園東京(東京都目黒区下目黒)は、7月7日から9月2日まで館内にある東京都指定有形文化財「百段階段」で「和のあかり×百段階段 2018 ~日本の色彩、日本のかたち~」を開催する。

 今年で4回目となる「あかりアート展」で、前回の約2倍、過去最大となる63団体が参加。巨大な「青森ねぶた」から小さく繊細な「江戸切子」まで、「祭り」「アート」「デザイン」「職人」「テクノロジー」などをテーマにした1000点を超える作品が展示される。

 会場の百段階段は1935年(昭和10年)に建てられたもので、2009年に東京都指定有形文化財に認定されている。百段階段は実は99段で、数が多いことを「百」や「千」で表現することから百段階段と呼ばれるようになったという。奇数は陽数で縁起がよいから、未完の美学を表わしているからなど諸説あるが、縁起担ぎで99段にしたとのこと。99段の間に合計7つの部屋があり、それぞれにテーマを持った展示がなされている。全作品の写真撮影が可能だ(フラッシュ、三脚の使用は禁止)。事前に行なわれた内覧会をここにレポートする。

ホテル雅叙園東京
ホテル雅叙園東京「和のあかり×百段階段 2018 ~日本の色彩、日本のかたち~」概要

開催期間:2018年7月7日~9月2日
開催時間:月~木曜は10時~17時(最終入場16時30分)、金~日曜・祝日・8月13日~17日は10時~20時(最終入場19時30分)
入場料:当日1500円、学生800円、小学生以下無料
会場:ホテル雅叙園東京「百段階段」(東京都目黒区下目黒1-8-1)
アクセス:目黒駅から徒歩約3分 ※目黒駅と品川駅から無料送迎バスあり
Webサイト:和のあかり×百段階段 2018
Webサイト:ホテル雅叙園東京のアクセス

エレベータ~エレベータホール~エントランスエリア

 ホテルのエントランス左に百段階段への専用エレベータがある。扉や壁面に螺鈿が施されたエレベータを降りると、そこから作品展示は始まっている。土のかまくらや天井から下げられた無数の傘や提灯が来場者を出迎えている。

百段階段への専用エレベータは扉や壁面に螺鈿が施されている
エレベータホール
エレベータホールの展示物
エントランスエリアで来場者は靴を脱いで百段階段へ向かう。天井には「柳井金魚ちょうちんまつり」や「山口七夕ちょうちんまつり」などから提供された無数の提灯がならぶ
「秋田竿灯まつり」や「柳井金魚ちょうちんまつり」などの提灯

百段階段

 99段続く長い階段の途中には合計7つの部屋がある。各部屋の天井や欄干には、当時の著名な画家たちが参加して作り上げた美の世界が広がっている。99段それぞれにこけしが置かれ、布団の中で眠っている。

百段階段
99段それぞれにこけしが置かれ、布団の中で眠っている
百段階段を上から見たところ

1. 十畝の間

 最初の部屋「十畝の間」の天井には、荒木十畝(あらきじっぽ)による四季の花鳥が描かれている。十畝には日本画家・間島秀徳氏や折花作家・三谷基氏らの作品が展示されている。十畝から階段を挟んだ向かいには化粧室があり、「長崎ランタンフェスティバル」からの出展や照明作家・弦間康仁氏の作品を楽しむことができる。

十畝の間の展示
十畝の間の展示
化粧室の展示

2. 漁樵の間

「漁樵の間」の室内はすべて純金箔、純金泥、純金砂子で仕上げられ、彩色木彫と日本画に囲まれた絢爛豪華さは圧巻。床柱は左右ともに巨大な檜で、中国の漁樵問答の一場面が彫刻されている。格天井には菊池華秋原図の四季草花図、欄間には尾竹竹坡原図の五節句が極彩色に浮彫されている。ここでは「青森ねぶた祭り」から「竹取物語」をテーマにした、3流派それぞれのねぶた師による新作が展示されている。

漁樵の間の展示
彩色木彫と日本画に囲まれる漁樵の間
「青森ねぶた祭り」から「竹取物語」をテーマにした、3流派それぞれのねぶた師による新作が展示されている
裏千家茶道教室 SHUHALLY 代表 松村宗亮氏による点茶のパフォーマンス
内覧会では「青森ねぶた祭り」から祭囃子と跳人パフォーマンスが披露された

3. 草丘の間

「草丘の間」は格天井、欄間に礒部草丘の四季草花絵、瑞雲に煙る松原の風景が描かれている。ここではインスタレーションアート集団・MIRRORBOWLERによるミラーボールなどを駆使した幻想的な空間を楽しむことができる。

草丘の間の展示
中央のオブジェの中にはかんざし作家・榮氏による蝶が舞う

4. 静水の間

「静水の間」の格天井の秋田杉には池上秀畝の鳳凰・舞鶴、欄間四方には小山大月の金箔押地秋草が描かれている。次の間の天井と欄間は橋本静水らによるもの。静水の間では切り絵作家・早川鉄平氏による日本武尊の物語を表現した切り絵や、七宝作家・常信明子氏の作品などが展示してある。

静水の間
静水の間の展示
静水の間の展示

5. 星光の間

「星光の間」の奥の間の床柱は北山杉天然絞丸太で、次の間の床柱は槇出節。両室とも格天井・欄間いっぱいに板倉星光の四季草花が描かれている。星光の間では造形作家・川村忠晴氏による落ち葉や貝殻などを使ったアートや、照明作家・村松さちえ氏による花のようなランプシェードなどを見ることができる。

星光の間
星光の間の展示

6. 清方の間

「清方の間」は、美人画の大家・鏑木清方が造った落ち着いた茶室風の部屋。ここでは上出惠悟氏による斬新な九谷焼や「美濃和紙あかりアート展」からの照明作品、山田全自動氏によるイラスト作品などを楽しむことができる。

清方の間
清方の間の展示

7. 頂上の間

「頂上の間」の天井画は松岡映丘門下の作品。前室、本間ともに格天井で、本間の床柱は黒柿の銘木を使用している。残念ながらこの部屋は未完であり、壁には白い箇所があるがそれも活かしたアート展示となっている。ここでは一葉式いけ花 次期家元・粕谷尚弘氏による巨大な作品と、藤垣窯業と杉浦製陶によるターコイズブルーのタイル、西谷工業の左官技術によって表現された波のコラボレーションを鑑賞できる。

頂上の間
頂上の間の展示

第8の部屋

 頂上の間と同じ階層にある、普段は倉庫として使われているスペースにも作品を展示してある。中川ケミカルによる特殊な素材を貼った「光の屏風」に光を当てて絵を描く「光の落書き」は、来場者も楽しむことができる作品で、内覧会では山田全自動氏がパフォーマンスを行なった。

第8の部屋の展示
ミュージアムショップでは出展者の作品の一部を購入することができる