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ランタンを浮かべてラプンツェル気分。日本科学未来館の「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」でチームラボとのコラボ展示

9月24日まで

2017年8月1日~9月24日 実施

東京・お台場の日本科学未来館で、「『ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ 塔の上のラプンツェル エクスペリエンス』 powered by teamLab」実施中

 東京・お台場の日本科学未来館で、9月24日まで開催中の「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの芸術的遺産の保存・保護を目的とするウォルト・ディズニー・アニメーション・リサーチ・ライブラリーのキュレーターが厳選した約500点の原画、スケッチ、コンセプト・アートなどを展示し、約90年間のスタジオの歴史と映画が生まれる魔法を解き明かす内容で、20万人以上もの来場者を迎え話題となっている。

 8月1日からはデジタル分野のスペシャリストから構成されるウルトラテクノロジスト集団チームラボとのコラボレーションによる体験型展示「『ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ 塔の上のラプンツェル エクスペリエンス』 powered by teamLab」をスタート。展覧会とともにその様子が報道公開されたので本記事でレポートする。

ほとんどが日本初上陸の約500点を一挙公開、充実の内容でスタジオの歴史と技術革新も解説

 4月の開幕から来場者数20万人を突破。夏休みシーズンとなり、多くのファミリーや学生でにぎわう日本科学未来館で開催中の「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」。「蒸気船ウィリー」から「モアナと伝説の海」までの約90年分の原画やマケット、コンセプト・アートなど約500点を技術やスタジオの歴史を含めて公開中だ。見た者の心を魅了してやまない作品に“いのちを吹き込む”技=“魔法”の裏側をじっくりと知ることができると大好評だ。

「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」のエントランス

 会場に一歩足を踏み入れると、魔法が最初に産声を上げるアニメーターズ・デスクからスタート。舞い上がる動画用紙を追いかけて進むと「動き出すいのち 重力をもつキャラクターたちの誕生」へ。ここではミッキーマウスの幻のデビュー作「プレーン・クレイジー」や、魔法の歴史が始まった1928年のデビュー作「蒸気船ウィリー」の原画を展示。その力強い線に一気に引き込まれる。

 また、ミニーマウス、ドナルドダック、グーフィー、プルートらの原画も揃っており、見れば見るほどその場から離れたくなくなるほど魅力的。周囲を見回すとミッキーシェイプのゲートを通ってきたことや、ゾートロープがミッキーシェイプになっているなどのこだわりに気付くはずだ。

アニメーターズ・デスクからキャラクターが描かれた動画用紙が生き生きと舞い上がる(画像提供:ディズニー・アート展)
ミッキーシェイプのゲートの先には1928年のデビュー作「蒸気船ウィリー」や「プレーン・クレイジー」の原画を展示したエリアがある(画像提供:ディズニー・アート展)

 続く「魔法のはじまり あくなき研究と開発の日々」では、世界初の長編アニメーション作品への挑戦に、奥行きと立体感を生むマルチプレーン・カメラの仕組みなどを紹介。音楽との融合をはじめ「ファンタジア」や「バンビ」「ダンボ」そして「ピノキオ」などの原画やコンセプト・アートを展示している。

 そして「魔法の使い手たち 表現の多様化とひろがる世界観」では、ナイン・オールド・メンと呼ばれる名作誕生を支えたベテランアニメーターや、「イッツ・ア・スモールワールド」のデザインでも知られるメアリー・ブレアをはじめとするアーティストの作品が並ぶ。さまざまな才能が集まることで作品に多様な世界観が生まれ、同時に芸術作品としてアニメーションの表現が成熟していったことを伝えてくれるのだ。

音や視覚などのトピックごとに各作品を生み出す際に取り入れた技術や原画などを紹介(画像提供:ディズニー・アート展)
メアリー・ブレアの「ふしぎの国のアリス」のコンセプト・アートのトンネルを抜けると「魔法の使い手たち 表現の多様化とひろがる世界観」のエリアに(画像提供:ディズニー・アート展)

 そして「新たな次元へ デジタル、ミュージカルの海へ」では、ミュージカルスタイルの確立とCGによりアニメーション表現がより進化したことを解説。「リトル・マーメイド」に「美女と野獣」「ライオン・キング」、そして「ポカホンタス」や「ムーラン」まで、マケットや原画を披露。

 そして「つながるいのち 多様な社会や地球の未来に向けて」では、ディズニー第3の黄金期の始まりを飾る「塔の上のラプンツェル」や「シュガー・ラッシュ」。大ヒットした「アナと雪の女王」に「ベイマックス」や「ズートピア」。さらに最新作「モアナと伝説の海」までさまざまな価値観や多様性、そして社会テーマを積極的に取り扱うディズニーのアニメーションの現在を紹介する。

「リトル・マーメイド」や「ライオン・キング」などミュージカルスタイルの作品群とCGに移行する転換期について言及(画像提供:ディズニー・アート展)
「塔の上のラプンツェル」から「アナと雪の女王」「モアナと伝説の海」までの技術革新や作品で取り扱うテーマについて、アートとともに解説(画像提供:ディズニー・アート展)

 約97%が日本初上陸であり、見応えたっぷりの本展覧会。山寺宏一氏と屋比久知奈氏による「いのちを吹き込む 音声ガイド」(550円)を聞きながらじっくり鑑賞していると知識も増えるうえ、映画のファンにはたまらないサプライズも用意されているので必聴だ。気が付くとあっという間に2時間が過ぎているほどの充実した時間を過ごせる。

没入感たっぷりに映画のワンシーンを再現。ラプンツェル&フリン・ライダー気分でランタンを浮かべよう

 展覧会を満喫したあとは来場者数20万人を記念し、8月1日に公開された「『ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ 塔の上のラプンツェル エクスペリエンス』 powered by teamLab」へ。日本科学未来館7階の特設会場で本展覧会のチケットを提示することで入場することが可能となっている。

 同インスタレーション作品は、ディズニー長編アニメーション第50作記念作品である「塔の上のラプンツェル」を元に構成している。森の奥の塔に18年間閉じ込められていた主人公のラプンツェルが勇気を出して塔から飛び出し、自分自身で未来を開き突き進む姿が印象的な同映画。物語でラプンツェルがひょんなことから出会った実は心優しい大泥棒のフリン・ライダーの力を借り、毎年自分の誕生日に夜空に現われる無数の光の正体を確かめるという夢を叶えた瞬間が体験できるのだ。

 その再現度の高さと、ふわりと浮かぶランタンの光に照らされた空間は、まるで映画のワンシーンに自分が存在するかのような気分に。きっと驚きの声を思わずあげてしまうだろう。

「『ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ 塔の上のラプンツェル エクスペリエンス』 powered by teamLab」は7階の特設会場で実施

 ランタンが輝く空間に向かう前にも工夫がたっぷり。子供の目線の高さでも楽しめるよう待機列に大きなガラス窓があり、待っている間に写真撮影やランタンが浮かび光の連鎖が起こる瞬間をじっくりと眺めることができる。また、窓はフレーミングの役割もあり、目の前に実際に起こっていることながら映画を見ているような感覚。

 実際に空間に入ってみると没入感は格別。鏡張りの部屋には、180個以上のランタンが浮かんでおり、対の鏡に映し出されることで何万個も浮かんでいるように見えるのは見事。また、映画で水面にランタンが映し出されるように、足元にも同じく映し出され、映画の舞台となる湖畔にいるかのような雰囲気に。

柔らかなオレンジ色の光を放ちながらランタンが浮かび映画そのままの景色が広がる

 ランタンは「塔の上のラプンツェル」のデザインを忠実に再現しており全部で7種類。映画のなかでラプンツェルの両親である王と王妃がさらわれてしまった娘に再び会えることを願い、そして帰って来る際の道しるべになるように年に一度放つ王家の紋章入りのランタンも。お気に入りのランタンに近づくと明るく輝き出し、周囲のランタンが連鎖し、光が舞い上がって行く様子はまさに映画そのもの。また、キャンドルのようにふわりと優しく明滅する様子はとても幻想的だ。なお、人がいることで生まれる空間の動きや変化による一度きりの反応のため自分だけのスペシャルな体験となっている。

 写真撮影も可能。光あふれる空間で最高の1枚を撮影してみてはいかがだろう。

ランタンは映画のデザインを忠実に再現した7種類を用意。お気に入りのデザインを探してみよう
王家の紋章が刻印された王と王妃に願いが込められたランタンも浮かんでいる
手元のランタンから空に光が舞い上がって行く
「塔の上のラプンツェル」のランタンを放つワンシーン (C)Disney

 本作品の公開を記念してセレモニーイベントには「塔の上のラプンツェル」の日本語吹き替え版でラプンツェル役を担当した中川翔子氏と本作品を製作したチームラボよりカタリストの竹内正人氏が登場。

中川翔子氏はディズニー映画「塔の上のラプンツェル」へのあふれ出る愛を語った

 中川氏は声優に決まったときのことを振り返り「嘘みたいな本当の話で、驚いて椅子から転げ落ちました。それに、アフレコ当日はラプンツェルの行動力と勇敢さ、そして金髪に憧れて自分でブリーチをしたらチリチリのレンガ色の髪色になってしまい、あわてて染め直しましたが、変な色のまま行ったことを憶えています」と話し会場を沸かせた。

 そして「公開から6年経ち、8月からは新シリーズの続編アニメーション『ラプンツェル ザ・シリーズ』も始まり、作品がどんどん成長し、進化していると思います。ラプンツェルは何か行動したい、生まれ変わりたいと思ったときに、次へ進む勇気をもらえる存在。彼女と出会ったことで自分の人生も変わりました。またラプンツェルはキスも、待っているのではなく、自分からですし、すごくアグレッシブ。革命です」とラプンツェルへの思いを語った。

 また、「6年前は東日本大震災が起こり、外に出るのがまだ怖いと思う状況のなか映画が公開されました。そのときに映画館に行ったのですが、席にお客さまがぎっしりでランタンを放つシーンで笑顔になったり涙したり、エンドロールで拍手が起こったりと本当に人の心が動く瞬間の美しさを感じました。アフレコのときには気付かなかったけれど、アニメーションやエンタテイメントは人の心に光を灯すことができるんだと。また、ディズニー・アニメーションは人の心に勇気を与えることができるんだと感動したことも覚えています」と話した。

チームラボのカタリスト、竹内正人氏は作品へのこだわりについて解説

 さらにチームラボのカタリスト、竹内正人氏とのトークセッションでは、中川氏が「公開から6年経ち、ランタンのワンシーンが再現されることはミラクル。奇跡のような世界。テクノロジとともに、繊細かつイマジネーションを実現することができる人々の熱い心と愛の結晶。映画そのままの完璧な世界観のなか、黄金体験を味わえます。写真や動画だけではなく、自分で歩いてほしい。眼球にダイレクトに感じて!」と太鼓判を押した。

 竹内氏は制作に関して解説。「呼吸をするように炎が灯るランタンは、職人さんが一つ一つ手づくりしたもの。ディズニー本社とのやり取りのなかで映画のなかで出てくるランタンのサイズに合わせて形を整え、加工をしました。また、色に関してはまさにディズニーの世界! といえるよう相当こだわっており、LEDのオレンジの赤みの加減もかなり調整を行なっています。たくさんの方に足を運んでいただきたいですし、きっと体験したあとは映画がまた見たくなると思います」と話してくれた。

中川氏がチームラボの竹内氏とともに体験型作品についてトーク

 9月24日まで開催の「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」、そして来場者数20万人突破を記念して公開された「『ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ 塔の上のラプンツェル エクスペリエンス』 powered by teamLab」。名作が生まれる魔法の秘密を知ることができるとともに、実際に魔法から生まれた世界へと出かけることができる。この夏だけのスペシャルな体験ができるうえ、金・土曜、祝前日は21時まで開館しており、仕事帰りにも充分間に合う。家族や仲間、恋人と、もちろん1人でも、映画の世界へと旅立つ興奮を味わってみては!?

「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」

会期: 開催中~2017年9月24日
会場: 日本科学未来館1階 企画展示ゾーン
所在地: 東京都江東区青海2-3-6
開館時間: 10~17時(金・土曜、祝前日、お盆期間の8月13~15日は21時まで開館)
入場料: 大人1800円、中人(小学生~18才以下)1200円、小人(3才~小学生未満)600円