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ANA 八重山支店長に聞いた新石垣空港の5年間。ボーイング 737型機から787-9/777-200型機への大型化で高需要に対応

2018年3月7日 実施

新石垣空港の5年間を全日本空輸株式会社 八重山支店長 菅隆宏氏に聞いた

 新石垣空港(南ぬ島石垣空港)は3月7日、開港から5周年を迎えた。開港から今日までを八重山支店長として過ごし、その歴史を見てきたANA(全日本空輸)の菅隆宏氏に、新石垣空港の変化や課題などを伺った(肩書きは当時)。

 菅氏は4月に異動が決まっており、話は5年間を総括する形になったが、八重山の入域観光者数が伸びるなか、ANAは機材の大型化でキャパシティ(座席数)不足に対応してきた経緯がある。一方で、さらなる大型化に欠かせない滑走路の延長、チェックインカウンターの混雑、さらには世界遺産登録後の地元の対応など、新石垣空港やその周辺が抱える問題も見えてきた(関連記事「新石垣空港が開港5周年。羽田直行便就航から5年で年間観光客は約140万人に」)。

――5年間を振り返って大きく変化したところは。

菅隆宏氏:ここはリーマンショックのときに設計が終わった空港で(旧石垣空港は150席前後のボーイング 737型機が主に使われていた)、八重山の皆さんは中型機の導入を期待していました。だったらANAとしては絶対に中型機を飛ばそうということで、開港すぐの3月31日にボーイング 767型機を投入しています。

 すると非常に需要があることが分かって、まず東京線については2便化にしようと。767型機では席が足りないので、335人乗りのボーイング 787-8型機に大型化したのですが、お客さまから席が取れないというご批判がありまして、395人乗りのボーイング 787-9型機を投入することになりました。それでもまだ足りない、という状況を受けて、405人乗りのボーイング 777-200型機が就航しています。

 当初想定していたより大きな機材が離着陸できるということが分かったのが、大きな変化かもしれません。767型機までは想定していましたが、それ以上は県に適用除外を申請して離着陸している、という状況です。ただ、滑走路は離着陸できていますが、エプロンなどは強度が足りないので、いずれ滑走路を延長するときには地盤改良などの補強が必要です。

 滑走路は2500mあれば羽田のD滑走路と同じなので、(514人乗りの)ボーイング 777-300型機でも離着陸できるようになります。現職の市長(中山義隆氏)が滑走路の2500m化を公約に掲げていて、延長されれば777-300型機やボーイング 787-10型機の運用もできるようになります。ただ、土地がないので海側に埋め立てる必要があります。ですので、2~3年程度では作れません。少なくとも5年は必要でしょうね。

※編集部注:インタビュー時は市長選の最中で、その後中山氏が当選して2期目に入っている

 それに、この空港の滑走路はすり鉢状になっているので、500m延長する場合は斜面を削らないといけません。その間、半年から1年くらいは1500mの滑走路として使うことになるので、昔のように中型機が飛ばせなくなりますね。東京までの直行便なども難しい。ですが、やるしかありません。

全日本空輸株式会社 八重山支店長 菅隆宏氏(肩書きは当時)

――カウンターの混雑はどんな策を。

菅隆宏氏:もうやり尽くしていますね。(ベルトパーティションなどで)列を何度も折り返して圧縮していますが、混んでいるときは荷物を預けるのに1時間くらいかかることもあります。それで今は順序を入れ換えて、以前は爆発物検査を先に行なってから預け入れだったのですが、預け入れを先にしてタグを付けて、そのあと爆発物検査としました。

 2017年12月末から順序を入れ換えたのですが、これで30分くらい短縮できることが分かりました。ほぼ半減ですね。あとはビルを拡張してカウンターを増やすしかありません。

――この5年で直行便が増えました。

菅隆宏氏:東日本から西日本の4大都市圏から直行便を飛ばすというのが目標でしたし、3月25日からは福岡~石垣が通年化するので、東京、名古屋、大阪、福岡からはいつでも石垣に来られるようになりますね。通年化で福岡線の旅客は倍増するとみています。八重山の修学旅行先は福岡が多いんですが、通年化する前は那覇を経由していました。それが直接行けるようになります。

 年末年始の臨時便で伊丹~石垣線を飛ばしましたが、今後は大阪路線を関空から伊丹に移すことができたら、商圏がぐっと広がると思います。旅客数はまだまだ伸びるでしょうから、機材も(現状の737型機から)大型化できるのでは。関空はピーチ(Peach Aviation)に任せて、ANAは伊丹という棲み分けができると思います。

 関東以北については、通年は難しいと思いますが、農閑期などに臨時便の可能性はあるのでは。以前、仙台~那覇便の767型機がダイバート(目的地を変更して着陸すること)して石垣に来たことがあるので、問題なく飛べることは分かっています。

――国際線ターミナルの拡張に期待することは。

菅隆宏氏:あくまで国際線ターミナルの拡張なので、ANAのチェックインカウンターなどには何の好影響もないのですが、1つ期待しているのは新設するPBB(Passenger Boarding Bridge:旅客搭乗橋)です。拡張に伴ってPBBを1本増やすのですが、これを国際線専用ではなく、内際兼用にしてくれないかと空港側に働きかけていますが、なかなか難しいですね。ANAとしては国内線のスペースを大きくしてほしいと願っています。

――現状の課題は。

菅隆宏氏:竹富島は昔は本当に静かで、水牛の横を自転車ですり抜けられるくらいだったんですが、移動手段が自転車しかないので、今は島中が自転車だらけになってしまいました。それから、竹富島の白い砂浜は、いつも白いわけではなくて踏み荒らすと下から土が出て来てしまうんですね。それを島の人が年間2回入れ換えているんですが、頻度が高くなってきているようです。よほど人が来ているんですね。

 これが続くと入島規制をかけたり、入島料を取ったりということになるのだと思います。今年は八重山の入域観光者数の予測値が141万人になっていて、2020年までに150万人を目標としています。

 でも議論になっているのは、本当に150万人も来ていいのか、ということです。世界自然遺産に登録されるのが8月なんですが、八重山本来の文化や自然が壊れてしまうんではないかと。賛否両論になっています。市役所や財界は増やしたいと思っていますが、西表島とか竹富町の人たちは「何にも整備されていないし、そんなに来てもらっては困る」と。これからはそういう議論が起きるでしょうね。