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沖縄観光コンベンションビューロー、病気・ケガの外国人観光客への対応法を演芸集団が寸劇で実演するセミナーを実施

2018年3月7日 実施

沖縄観光コンベンションビューローが「病気!ケガ!の外国人観光客対応セミナー」を実施した

 沖縄県を訪れる外国人観光客が順調に伸びるのに伴い、思いがけない病気やケガなどに受け入れ側が対応しなければならない場面も増えている。OCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)は、2017年度インバウンド対応緊急医療態勢整備支援事業の一環として、「病気!ケガ!の外国人観光客対応セミナー」を、3月7日に沖縄産業支援センターにて開催した。

 OCVBと沖縄県は、2016年度に「病気!ケガ!の外国人観光客対応ハンドブック」「症状・病状説明コミュニケーションシート」を作成し、観光産業事業者などに配布している。今回のセミナーでは改訂版を作成し、その活用方法を寸劇を交えて分かりやすく説明した。

 主催者を代表して、OCVB 受け入れ事業部長の加賀谷陽平氏は、「世界水準のリゾート観光地を目指すなか、思いがけないケガや病気に対応できる態勢づくりが必要。そのために、観光事業者、消防、医療機関の円滑な連携を行なうため、どういう行動を取ったらよいかを、デモンストレーションをとおして理解していただければ」とあいさつした。

一般財団法人 沖縄観光コンベンションビューロー 受け入れ事業部長 加賀谷陽平氏

 続いて、沖縄における外国人観光客の現状と対応について説明した。2017年の外国人観光客数は254万人と過去最高で、10年前の2007年の15倍にもなった。それに伴い新たな問題も生じてきたことを、実例を挙げて説明。

 例えば、クラゲに刺されて病院に行きたかったのだが、たどり着いた先が市役所だったという事例。このときは市役所員の機転により無事に病院に向かわせることができ、問題を解決できた。それから、妊婦の旅行者が沖縄で思いがけない早産。保険が使えず多額の医療費がかかってしまった事例では、琉球華僑総会による呼びかけで寄付が集まり、無事に支払いができたとのこと。近年は個人旅行が増え、旅行保険に加入していない旅行者が増えていることも課題に上げられた。

「病気!ケガ!の外国人観光客対応ハンドブック」では、傷病者発生から病院受診までの流れをイラストを交えて分かりやすく解説。また、日本入国後でも加入できる旅行保険の紹介や、救急病院リストなどを掲載している。さらに、応急処置についてもイラスト入りで分かりやすく解説している。

 また、「症状・病状説明コミュニケーションシート」は、言葉が通じないスタッフでも、傷病者が何を求めているのかを理解できるようイラストと多言語(英語、中国語 繁体/簡体、韓国語)表示されたもので、消防や医療機関への引継ぎを円滑に行なえるよう工夫している。

外国人観光客の現状と対応方法について、図表を交えて説明
沖縄県とOCVBが作成した「病気!ケガ!の外国人観光客対応ハンドブック」
言葉が通じない外国人観光客でも、イラストを指さして症状や病状を説明できるようにしたコミュニケーションシート

 続くデモンストレーションは、沖縄のお笑い演芸集団「FEC」が出演。外国人観光客の傷病の発生場所、症状、望む対処方法など4つの違ったシチュエーションで演じた。前述のハンドブックやコミュニケーションシートを活用し、救急車を呼んだり病院を紹介したり、時には止血などの応急処置などを実演。笑いを交えながらのデモンストレーションだったので、とても印象に残り、分かりやすかった。

実際に起こり得そうなシチュエーションを想定し、ハンドブックやコミュニケーションシートを活用して対応する。最後にはオチもあり、分かりやすく楽しく学べた

 観光・医療・消防の各分野からのゲストコメンテーターによる分かりやすい解説やアドバイスもあり、より理解が深まった。最後にはそれぞれより総評も述べられた。

 沖縄県ホテル旅館生活衛生同業組合副理事長の國吉眞和氏は、「医療のプロではないが、それぞれの立場でできることを自覚することが大事だと思う。止血法など対応できることもあるので、現場でも勉強していきたい。意識、知識を向上させながら人に優しい観光を作っていきたい」と述べた。

沖縄県ホテル旅館生活衛生同業組合副理事長 國吉眞和氏(左)

 医療法人博愛会 牧港中央病院事務長の饒平名美千与氏は、「医療機関では、医療費の未収金の問題も起きている。保険に加入してもらう活動も必要だと感じている。コミュニケーションシートの記入はとてもお勧めしたい対応方法。他業種との連携には、ツールを活用していくことが有効」と述べた。

牧港中央病院事務長 饒平名美千与氏(中央)

 那覇市消防局消防司令長・救急課長の屋嘉比勝氏は、「高齢者も増え、救急車の活動頻度が増えている。日本は無料だが海外では有料のところもある。安易に使うと本当に必要な人が使えないという場合も出てくるので、必要な人が使えるようにご協力いただきたい。応急処置については、那覇市では消防で講習会を開いている。那覇市在住、在勤、在学者は無料で受けられるのでぜひ受けてほしい」と述べた。

那覇市消防局消防司令長・救急課長 屋嘉比勝氏(右)

 最後には保険会社から外国人観光客向けの保険や観光産業業者向けのインバウンド対応支援サービスなどの紹介もあり、受け入れ体制の安心化を図るサービスも充実してきていることを感じさせた。

 お笑いを交えたセミナーというユニークな試みは、堅苦しくなく楽しめるように構成されており、内容も分かりやすくとても有益な機会だった。今回は那覇市での開催だったが、沖縄県全体に意識が行きわたるよう、離島も含めほかの地域でもぜひ開催してほしいと感じた。

ホテルやレジャー施設、土産品店などから多くの参加者が聴講。恩納村のホテルから来た人も。ぜひほかの地域でも開催してほしい