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JALとANA、トーイングカーの操縦技術を競った「第2回PUSH BACK競技会」

直径30cmの風船を連続で割る“神技”も

2018年3月8日 実施

JALとANAが「第2回PUSH BACK競技会」を開催した

 JAL(日本航空)とANA(全日本空輸)でそれぞれグランドハンドリングを担当するグループ会社、JGS(JALグランドサービス)とNRTAS(ANA成田エアポートサービス)は3月8日、「第2回PUSH BACK競技会」を開催した。

「プッシュバック」とは、自力で後退できない飛行機を専用の車両(トーイングカー)で押し出して駐機場から滑走路へ向かわせることで、第2回となるこのイベントは、航空機用ダミー器材を使ってトーイングカーの操縦技術を競い合い、安全意識と技量を向上させることなどを目的としている。

 また、今回はIACT(国際空港上屋)も参加し、羽田空港で働くJAL/ANAグループのスタッフを加え規模を拡大して実施した。

 開会式では、JGS 取締役 成田支店長の久保山誠氏の開会宣言についで、各社の代表があいさつ。なかでもJAL 成田空港支店長の石橋正二郎氏は、「歳をとってくるとなかなか感動することがない平凡な毎日だが、今日はワクワクしている。平昌オリンピックは終わったが、選手たちが世界一を目指して頑張っている姿と、この競技会が重なって見えてしまう。この競技会はグラハン(グランドハンドリング)の世界のトップレベルの争いではないかなと思っている。今回は羽田の皆さんも参加して、ますますパワーアップしているが、この次は全国、将来的には世界大会につなげていきたい」と語った。

成田国際空港株式会社 取締役 空港運用部門長 飯島久司氏
全日本空輸株式会社 成田空港支店 副支店長 坂部千恵子氏
国際空港上屋株式会社 代表取締役社長 岡本榮一氏
株式会社JALグランドサービス 取締役 成田支店長 久保山誠氏
日本航空株式会社 成田空港支店長 石橋正二郎氏
第1回優勝のNRTASから優勝カップが返還された

トーイング訓練用の航空機ダミー器材で「90度プッシュバック」と「S字プッシュバック」を採点

 会場となった成田国際空港 整備地区 501番スポット南側ランプエリア(旧県警ヘリポート)に揃った参加チームは、成田空港からJGS、NRTAS、IACT、羽田空港からJGS東京支店、ANAAS(ANAエアポートサービス)の計5チームで、各チームともに社内予選を勝ち抜いた2名で構成されていた。

 競技は、JGSのトーイング訓練用航空機ダミー器材(ボーイング 747型機を想定して作られている)を使用して「90度プッシュバック」、NRTASの航空機ダミー器材(競技ではボーイング 767型機を想定しているが、油圧により航空機機種ごとに設定可能とのこと)を使用して「S字プッシュバック」を実施。ゴール付近には風船があり、器材先端の針で割るように操縦する。

 審査員は採点表に基づいて、選手の技量と安全品質能力を確認のうえ採点を行なう。トーイングカーは共通で、コマツの「WT-500E-1」を使用し、技量審査員はJGS、NRTASの教官4名が担当した。

 実際に競技が始まると、各社のトップレベルのグランドハンドリング技術者とはいえ、なかなかパーフェクトな技術披露にはいたらなかったが、747型機や767型機などの航空機のダミーを、直径30cm程度しかない風船1つ分の誤差の範囲内でプッシュバックさせるという競技内容を考えれば当然のこと。それでも90度プッシュバックでは並べられた3つの風船を連続で割るシーンがあり、会場全体から拍手が巻き起こっていた。

90度プッシュバックのスタートからゴールまでの連続写真。この大きさの航空機ダミー器材を使っての風船割りは至難の業。実際のプッシュバック時には乗客に動いていることを意識させないような操縦を心掛けるなど、正確な場所に移動させるだけでなく、細心の気遣いが行なわれている
トーイングカーで航空機ダミー器材を操り、見事に風船3つを連続して割った瞬間の写真。神技とは、まさにこのこと
S字プッシュバックのスタートからゴールまで。格納庫への機材保管などの際に、このような技術も必要になるとのこと
風船を割る様子を正面から
競技終了後に撮影した、JGS/NRTASの競技参加者とJAL/ANAの航空機のショット。みなよい笑顔をしていた

参加者皆が笑顔になる閉会式の成績発表と表彰式

 閉会式の結果発表と表彰式では、90度PUSH BACK部門 上位3名(全選手対象)、S字PUSH BACK部門 上位3名(全選手対象)、総合優勝1チーム(成田空港のチームから選出)の表彰が行なわれた。

 総合優勝はJGS成田支店、S字PUSH BACK部門1位はIACTの今坂圭佑氏、90度PUSH BACK部門1位はJGS成田支店の高田歩氏が獲得し、NRTAS 取締役の郡司和弘氏とJGS 取締役 成田支店長の久保山誠氏から賞状と優勝カップが贈られた。

総合優勝したJGS成田支店の受賞
IACTの今坂氏は「今回参加させていただいたメンバーのなかでは最年少でしたが、力を発揮することができ1位を勝ち取れました。この競技会で身に付けた技術を、普段の業務にも活かしていきたいと思います」と語っていた
JGS 高田氏は「普段、こういう競技会に参加することがなかったので、高度なサービスが提供できているのだなと実感しました。これに満足することなく、これからも最高のサービスをお客さまに提供していきたいと思います」とコメント
各社の競技参加者、競技会関係者全員での撮影会の模様
競技に使用されたコマツ「WT-500E-1」

【お詫びと訂正】初出時、国際空港上屋株式会社の社名に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。