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原田知世さんの吹き替えスキーヤーや「バーン」の後ろ姿の人も登場した「私をスキーに連れてって」30周年プロジェクト発足イベント

「SALLOT(サロット)」ブランドのスキー用品や沖田浩之さん使用のカメラを展示

2017年12月12日 開催

映画「私をスキーに連れてって」公開30周年を記念した「SALLOT SKI REBOOT PROJECT」が発足。そのキックオフイベントが行なわれた

 原田知世さんや三上博史さんが出演した、当時のスキーブームを象徴する映画「私をスキーに連れてって」(私スキ)が、1987年11月の公開から30年を迎えている。

 同じく発足から30周年を迎えたJR東日本が、「私を新幹線でスキーに連れてって」のキャッチコピーとともに今冬の「JR SKISKI」キャンペーンを展開しており(関連記事)、駅で原田知世さんのポスターを見かけた人も多いのではないだろうか。

映画「私をスキーに連れてって」のポスター
「私を新幹線でスキーに連れてって」の「JR SKISKI」キャンペーンポスター

 そして「私スキ」公開30年に合わせた今冬、劇中に登場した幻のスキーブランド「SALLOT(サロット)」をアイコンに、スノーリゾートの魅力を伝え、スキー需要を喚起する取り組み「SALLOT SKI REBOOT PROJECT」が立ち上がり、そのキックオフイベントが12月12日に東京・神田小川町で開かれた。

 いわゆるホイチョイ三部作の第1作にあたる「私スキ」ということで、イベントには当時のホイチョイ・プロダクションズのメンバーや、SALLOTのプロダクト開発メンバーらが参加してのトークイベントを実施。集まった「私スキ」ファンとともに盛り上がった。

「私をスキーに連れてって」に登場したグッズ類
「私をスキーに連れてって」の台本。映画冒頭、三上博史さんが演じる役がスキーに出かける前に愛車をメンテナンスしているシーン
当時のパンフレットなど

 会場には「私スキ」の台本や、劇中に登場したSALLOTブランドのスキー用品、大きな2つのライトを付けた背負子、沖田浩之さんが「とりあえず」と言いながら使っていたカメラの同型機などが展示され、「私スキ」ファンは「うわ本物だ!」「懐かしー!」と声をあげ、写真を撮っていた。

 トークショーには映画の原作者であるホイチョイ・プロダクションズの当時のメンバーから小杉正明氏(ちなみに劇中では沖田浩之さんが演じた役名でもあり、三上博史さんが演じた役のコールサインの所持者)、吉田浩之氏(沖田浩之さんが演じた役のコールサインの所持者)が、「SALLOT デザイニングボード」からはプロデューサー的な役割だった早見憲氏、主にウェア類を担当した染川光示氏、グッズ類を担当した城井信正氏が登場。さらにゲストスキーヤーとして山崎操氏と、劇中で原田知世さんのスキーシーンを演じた高橋恵美氏もトークショーに加わった。司会は俳優で本プロジェクト発起人の田村幸士氏が務めた。

ホイチョイ・プロダクションズの当時のメンバー、小杉正明氏
ホイチョイ・プロダクションズの当時のメンバー、吉田浩之氏
SALLOT デザイニングボードでプロデューサー的役割だった早見憲氏
SALLOT デザイニングボードでウェア類を担当した染川光示氏
SALLOT デザイニングボードでグッズ類を担当した城井信正氏
ゲストスキーヤーの山崎操氏
劇中で原田知世さんのスキーシーンを演じた高橋恵美氏
司会を務めた俳優で本プロジェクト発起人の田村幸士氏

 トークショーでは成蹊学園で集まったメンバーが自主映画を撮るようになり、それがホイチョイ・プロダクションズが誕生するきっかけになったところから振り返り、「私スキ」の企画がスタートする時期へと至る。

 フジテレビジョン 代表取締役社長の宮内正喜氏が「まだ課長さんぐらいだった」という時代、「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」などを担当していた早見憲氏らが、「10代後半から30代までのもっとも購買欲の高い層に向けた、映画やテレビを中心としたあらゆるメディアを通じてのキャンペーンの集合体」として提出したのが、「スキー天国」という仮題が付けられた企画書。

イベントは東京・神田小川町にある「ici club 神田」の「EARTH PLAZA」で開かれた
「スキー天国」という仮題が付けられた企画書
スライドの写真の左端が「私をスキーに連れてって」で監督を務めた馬場康夫氏。「気まぐれコンセプト」では原作も担当しており、右端に写っているのが作画を担当した松田充信氏

「映画が封切りになって映画館で見る、街に出ると映画に出ていたグッズがお店で売っている、という流れにしようとしていた」と当時を振り返るが、残念ながら諸事情でSALLOTは幻のブランドとなってしまった。

 映画に登場するプロダクトを開発しているときは、「未来やファンタジー過ぎず、平凡でもなく、市販されているものになじむ、1~2年先のデザイン」を目指そうと、馬場康夫監督から指示があったという。

 原田知世さんが着用していた白いスキーウェアは、白いスキー場に白い服はNGだろうという意見が多いなか、白い背景に白いウェディングドレスをまとったアメリカの写真家の作品を引き合いに出し周囲を納得させ、のちに日本のスキー場で白いスキーウェアが大流行することにつながった。

白いスキーウェアはその後、日本のスキー場で大流行する
SALLOTブランドのスキー用品

 2つのライトが印象的な背負子は、当時の技術では大変な重量がありながら短い点灯時間だったため、モックアップ的なものを作り撮影では併用していたという。映画公開後には、とあるレスキュー団体から「どこで購入できるのか」と問い合わせもあったそうだ。

劇中に登場する2つのライトが印象的な背負子。「考えたのは私です!」と城井信正氏
お蔵入りしたものも含めて多くのアイディアを映画に盛り込んだ
劇中のクルマは、当初の予定では某社の有名なオフロードSUVになる予定だったが諸事情で使えず、トヨタ自動車のセリカになった

 撮影当時のこぼれ話を聞かれた高橋恵美氏は、原田知世さんが演じる役はスキーが下手という設定だったため、最初は「おっかなびっくり」な滑り方をしていたら、撮影スタッフから「下手なんだけどガンガン滑って」という注文があって難しかったと振り返った。

 トークショーの観客から当時の撮影スタッフや、劇中で原田知世さんが「バーン」と指で狙い撃つシーンの後ろ姿を演じた女性も登場。SALLOTのグッズ開発担当の城井信正氏は、新開発したという内蔵したLEDが振動で発光するスキー板を持ち出し熱くアピールするなどして、会場はさらに盛り上がりを見せる。

 最後は「ここに集まった皆さんは熱くスキーと私スキを愛してくださっている方々だと思います。皆さんそれぞれが1人、2人と誰かを“スキーに連れてって”くれれば、またスキー人口は増えていくと思います」とメッセージを発し、トークショーは終了した。

「SALLOT SKI REBOOT PROJECT」についてはWebサイトで引き続き情報を発信していく。

「下手なんだけどガンガン滑って」という注文が難しかったと語る高橋恵美氏
「バーン」の後ろ姿の人が登場
内蔵したLEDが振動で発光するスキー板を持ち出し熱くアピールする城井信正氏