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京急、列車内や京急蒲田駅で爆発物を想定した「鉄道テロ対策訓練」

社員や蒲田警察署/消防署から約220名が参加

2017年6月13日 実施

京急は、神奈川新町駅から京急蒲田駅まで走行する4両編成の車両の車内および京急蒲田駅ホームにおいて訓練を実施した

 京急(京浜急行電鉄)は6月13日、神奈川新町駅(神奈川県横浜市神奈川区亀住町)から京急蒲田駅(東京都大田区蒲田)までの車内および京急蒲田駅ホームにおいて、走行中の列車内に置かれた爆発物の処理を想定した、鉄道テロ対策訓練を行なった。

 世界的なテロに対する脅威や、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、初動対応の確認や、関係機関との連携強化を図ることが狙い。

 泉岳寺駅(東京都港区高輪)から浦賀駅(神奈川県横須賀市浦賀)までを本線に、昨今では羽田空港へのアクセスとして空港線が広く知られている京急だが、今回行なった鉄道テロ対策訓練は、避難誘導訓練や関係機関との連携強化を目的に同社が毎年実施している取り組みだ。

 この訓練は2015年は品川駅(港区高輪)、2016年は羽田空港国際線ターミナル駅(東京都大田区羽田空港)で実施され、今年は本線から空港線への起点となる京急蒲田駅で実施。京急グループ社員約170名に加え、警視庁蒲田警察署、東京消防庁蒲田消防署の協力も得て総勢約220名で訓練が実施された。

 訓練では、まず神奈川新町駅に隣接する新町検車区から乗客役の社員らが乗車。京急蒲田駅まで走行する4両編成の列車内で乗客が爆発物と思われる不審物を発見した想定で開始された。

新町検車区で乗客役が乗り込む
出口付近に爆発物が置かれた想定
訓練で置かれた不審物
4両すべてに乗客役が乗車

 不審物を発見した乗客が車両にある「非常通報器」のカバーを開き、「通報ボタン」を押して乗務員へ通報。通報を受けて車掌が後方から急行し、不審物を確認。

 車掌は「出勤途中の職員」や「警備員」と協力し、不審物のある車両から乗客を遠ざけるため、前後の車両へ避難誘導した。

各車両に設置された「非常通報器」
不審物を発見した乗客が通報
車掌とマイクを通じて会話
後方から車掌が現場へ急行
発見者から報告を受ける
警備員も到着し確認
不審物には触れず、避難誘導
車両の前後に分かれて誘導
その車両すべての乗客が別の車両へ移動
なるべく離れた車両に避難する
不審物のある車両から乗客が避難

 運輸指令から駅へ連絡が入り、警察や消防へ通報。京急蒲田駅の5番線ホームに到着した車両から乗客全員が下車し、職員や警備員が乗客を出口へ誘導した。

 ホームには通報を受けた警察や消防が到着し、駅長から状況報告。警察が不審物の置かれたドアの周囲を確保し、金属探知機で不審物をチェック。反応ありのため、不審物へ防爆マットがかけられて、万が一爆発した際の対策を行なった。

駅に到着し、乗客が全員下車
駅員の誘導で出口へ移動
誘導に従って最寄りの階段から避難
関係者は京急蒲田駅で見学
車内の様子はモニターで中継されていた
駅長へ状況を報告
警察が到着
消防も続いて到着
警察が初期対応を開始
不審物の周囲を封鎖
不審物を金属探知機で調査
反応があったため防爆マットで対策
かけ声と共に防爆マットを移動
爆発物に設置
防爆マットによる安全確保を報告

 この安全の確保後、不審物から避難するために車内を移動中に転倒したという想定の負傷者が消防により救助され、出口へ搬送。ホームに設置された指揮本部への報告を実施。警察の初期対応と消防による救助活動の終了を受けて、その後爆弾処理班の到着を待つという想定で訓練を終了した。

 実際はこのあと爆発物処理班による不審物の処理を行ない、安全確認後に運転が再開されるという。

消防により救護を実施
爆発に備えて待機
指揮本部に完了を報告

 訓練後にはホームに訓練参加者が集合し、警視庁蒲田警察署の山崎署長、東京消防庁蒲田消防署の臼井署長、京急 常務取締役鉄道本部長の道平隆氏から講評があり、終了した。

警視庁蒲田警察署の山崎署長
東京消防庁蒲田消防署の臼井署長
京浜急行電鉄株式会社 常務取締役鉄道本部長 道平隆氏

 訓練は、京急蒲田駅でも昼間ほとんど使用されていない5番線で実施されていたため、ほかの乗客への影響はなかった。日々利用する列車の車両で不審物を見つける、というシチュエーションも他人事ではない。訓練を見学しながら、京急で長く通勤・通学していた筆者としては、乗り切れないほど混雑する朝のラッシュ時に発見された場合の混乱も想像して身につまされた。

 ベビーカーで乗車した際も、連結部の移動を考えるとベビーカーはあきらめて子供を抱えて揺れる走行中の車内を移動する必要があるかもしれない。車いすで乗車していた際には乗客同士で助け合いも必要になるだろう。

 京急の場合は列車に警備員が乗っている場合もあるが、第一発見者は一般の乗客である場合が多いはず。「非常通報器」での通報から、車掌の急行、ほかの車両への待避、駅での避難などあらかじめ知っておくことで、駅係員はもちろん、乗客にとっても行動の指針となりそうだ。